2002年2月5日 順位戦C1 降級点の恐怖編 原文は臨時茶室

Name : T. Serisawa Time : (2002年2月8日<金>02時39分)


降級点の恐怖編1

2月5日のC1の順位戦です。今回も、結果を知らずに棋譜を眺めるのは同じですが、14局の将棋を一度に見るとかなり疲れることを前回に経験しましたので、少しずつ分けて見ることにしました。どこまで行けるかわかりませんが、まず第一弾は、降級ライン上の対局です。 対局前の降級の可能性がある棋士の勝敗は以下の通り。このうち、降級点がつくのは5人です。

有森  3勝5敗

勝又  3勝5敗

淡路  3勝5敗

所司  3勝5敗

堀口弘 3勝5敗

飯塚  3勝6敗(抜け番)

東   2勝6敗

大内  2勝6敗

石川  2勝6敗

室岡  2勝6敗

児玉  1勝7敗

小林宏 1勝7敗

小林裕 1勝7敗

今回も、20手ずつ見ながら、4局か5局同時に観戦し、メモを入れます。ただし、後で見やすいように、編集上、終局までつながるようにしてあります。

メモの中で、改行してあるところが20手の区切りです。

では、はじめます。


小林裕士(ひろし)(1勝7敗)−淡路(3勝5敗) <相矢倉>

小林裕は関西の有望な若手の一人。去年C2から上がって、今年は順位戦不調ですが、今年ダメでも、来年以降は昇級争いにからむ棋士でしょう。まっとうな矢倉の出だしで、淡路も受けてたちます。棋譜眺める立場としては、1局目から矢倉が出るのはなんとなく嬉しい。

▲37銀、△64角から、淡々と駒組み進む。淡路陣は、△53銀で、受けてたとうという感じだが、先手は、▲15歩、▲25歩まで伸ばせた。小林が先攻するでしょう。まぁ、相手は不倒流だし、その展開の方がおもしろい。

小林は▲17香に▲18飛。▲26銀に▲37桂。先手の攻めは飛車角銀桂香。理想形ですなぁ。淡路も飛車6筋まわって、ちょこちょこ味はつけてるけど、ともかく小林の攻めが決まるか。

49手目、▲24歩からいった。淡路は、△33金寄で、ふんばろうとしているが...。 淡路陣玉頭の勝負となりました。小林、3歩もっているんで、まず切れないと思うけど。淡路、△12銀でなおもがんばる。小林、攻める。もう、後手陣、やばいと思うけどね。淡路、馬は△39に作っていますが、攻め合いはない。まだ、淡路の玉は△22で動かず。いつ逃げる?どこへ逃げる?

83手目、▲25銀を見て、ついに淡路玉動く。△33玉。小林、まってたとばかり▲63歩、▲64歩と飛車の頭たたく。いいねぇ。小林、▲15飛!この手、ただ浮いただけなのよ。まぁ、横に利かすか、大技ねらいかもしれん。淡路、じっと△49馬。おお。プロの将棋だ。そして93手目、▲85銀!小林の矢倉についてた銀が出る!これを△同飛ととると、6筋に、と金つくられる。淡路、早逃げ、△43玉。▲74銀で飛車とり!△84飛と逃げ▲63歩成。挟撃体制ができた。

さすがに、ダメでしたな。淡路、▲82飛など粘るも及ばず。結果的には、小林快勝ですが、楽しめました。小林!最後の対畠山戦、頼むぞよ!淡路は最後、対小倉戦か...。昇級争いのほうは、これ書いてる時点で、誰が勝ってるか知らないのだけど、ことによっては、最終戦がこのふたり、重要な対局になりますね。 <127手目、53と、まで、小林裕勝ち>

矢倉は最高!淡路不動流も貫禄。セリちゃん、かなり笑ってしもうた▲15飛!なるほど8筋か!飛車角が踊っておるねー。挟撃の醍醐味!小林ユー巻くね!マシュダ


順位戦C1 降級点の恐怖編2

小林宏(1勝7敗)ー石川陽生(あきお)(2勝6敗) <左美濃対後手四間飛車>

5−6手目で9筋の歩を突きあい、後手石川の四間飛車。17手目▲86歩から、小林は左美濃へ。急戦か?持久戦か?

先手はふつうに左美濃という手順なんで、藤井流の左美濃つぶしなどコワイかとも思うのですが、まぁ、居飛車先手だし、これは順位戦。持久戦にすすんでいます。小林、▲78飛から、7筋で1歩入手に成功。後手は銀冠に組んだので、先手はもうちょっと玉を固めたいだろう。コバヒロ序盤筋色気満載。切れすぎ。この贅沢な7筋歩交換も飛車切りの凄い筋あるけど誰もそこまでやらんかね。デザート感覚。M

左美濃対四間飛車。石川は△65歩で、左美濃はともかくこの位が焦点になる戦いが多いもの。で、小林は、6筋の位奪還にいく。が...。後手の手順、勉強になるね。△54歩、△22飛とまわり、△42角。先手が位奪還にかかる手順の間に、飛車角を組み替え、△42の角が左美濃の玉頭を直射だ。△85歩から、玉頭に火がついたぞ。石川四間ネンキもの!三間もようやっとるね。飲み慣れた地酒。△42角は石川好み。M

やはり、石川のさっきの順がうまく、作戦勝ちでしょう。小林は必死の防戦。結局、美濃についてる桂馬も交換になって、石川がよいのでは。

石川手堅い。先手の飛車角おさえこむ。なおも玉頭からの攻めつづいている。小林、危うし。手数はまだかかるだろうが。 石川、押さえこみも成功して、102手目、△67銀打の金取りに、▲66金と逃げる。石川の持ち駒は歩3枚のみ。△64金と桂馬とって、▲同歩、△同角とさばく。銀冠で、もと△83から△94にいた銀を△95銀とでて、▲同銀、△同香。ふむ。111手目、小林、▲63歩のタタキ。これは取れず、△22飛車。石川が67に打った銀はどうなるの?小林、▲65金打つ!いや、これは後手、誤算があった感じだねぇ。十数手前までは、石川良いと思ってたんですが。△34桂打の飛車取りに▲16飛!116手目、△27銀打で、せっかく押さえ込んでた大駒取りにいくようだと、この将棋、わからないですよ。119手目、△67金!石川が打った銀が取られました。石川、持ち駒飛車1枚。これは損したねぇ。 小林、攻防の角を放つ。ああ。やはり逆転だったか。わからないもんだ。やはり、この前のところ、石川おかしいでしょう。押さえ込んだところだと、後手良しと私はみたけどねぇ。でも、100手前後のところで、後手から、持ち駒銀一枚で、どう指すのか難しかったのかもしれない。これは意外な結末でした。最終節は、小林対児玉、石川対中田功。 <137手目、▲63同玉まで、小林宏勝ち。>石川銀の指向性能昔から変わったとこある。ヘドロの終盤戦も凄まじいー。自虐地獄好きかも。M


2/5 順位戦C1 降級点の恐怖編 (3)

所司(3勝5敗)ー児玉(1勝7敗) <矢倉・後手急戦>

所司の先手で、矢倉の出だし。と思いきや、19手目▲77銀を見て、20手目で△53金!。児玉のカニカニ銀などの戦法はあまり詳しくないんで、△53金がどんな手なのか、私には推測つきかねますが、面白くなりそう。

児玉...。22手目△55歩から、▲同歩に△44金。先手、▲25歩に、△55金と歩をとった!盤中央の金。他の4局と比べて、ここだけが異次元。所司は、▲68銀左、▲77角、▲79玉で迎撃体勢は万全。定跡を愛する所司としては、この将棋は負けられないだろう。児玉はなおも、△73桂から、とにかく攻めるんでしょうな。 児玉面白い!大伽藍に放たれた風船爆弾。M

40手目で△65歩。 所司は、▲24歩打ちから、飛車走って、▲34飛車と横歩をとった。児玉は、△86歩、△85歩の継ぎ歩攻めなんだけど、所司の▲64歩まで入って△52銀バック。所司、攻め合いを選んだということですか。所司、角で△55の金をとって、駒わりは、角と金桂の2枚がえ。児玉、60手目で△25角打ち!ややや..、所司の34の飛車は行き場なく、切るしかない。うむ。児玉、有望。

64手目、△39飛打ちの王手。▲59歩この一手だが、△58歩とつづくのでは、児玉よさそう。8筋もつめられてるしなぁ。こらえる所司、▲66角打で、△39の後手飛車に当てて、△29飛成に▲39金打!△19竜。手順に桂香取られてしまった。まだ、勝負になるのかね?▲44桂の両取り?後手に△58と金となっては、苦しいと思うけどなぁ。78手目、児玉、△39竜と、竜きって金とった。

80手目、△87桂と決めにいく。 やはり、児玉の竜切りで決まってたね。最終戦は、所司は対中田宏、児玉は対小林宏。 <96手目、△86飛まで、児玉勝ち>


室岡(2勝6敗)ー神崎(5勝3敗) <相がかり>

相がかり。先手、室岡は、7手目で▲16歩の様子見。後手が先に飛車先の歩を交換して、△84飛の浮き飛車。腰掛け銀になりそう。神崎、角道あけて、先手も19手目▲24歩です。

両者、浮き飛車になった。神崎、△54歩、△55歩と位とりにいったので、腰掛け銀にはならないね。手将棋模様。どちらも玉は薄いんで、技がかかると一発で終わるんじゃないか。室岡、右銀が、▲47から▲36の方に出た。後手の主張は5筋の位ならば、室岡は棒銀にでて、飛車先からいくのか。

室岡の銀が▲24まで来て、とりあえず後手△25歩で先手飛車▲28飛と下がった局面。次の▲23歩打あるから攻め合いにでるか?と思っていると、神崎、△12香!はぁ?角が穴熊みたいに△11に逃げれるようにということかい!ふうむ。私には形勢不明です。こんな銀多伝下手みたいな手え神崎にさされて室岡アッタマこんのかねー。M

神崎、△37桂(飛車あたり)、△45桂となっては、後手の駒がさばけた感じ。室岡の棒銀が空をきったか。 中盤以降、神崎うまくさばけたね。後は、一方的に攻めて、相がかりのうすい玉では受からない。室岡はこの敗戦で苦しくなったが、最終戦は対東、神崎は対勝又。 <102手目、△28飛まで、神崎勝ち。>


順位戦C1 降級点の恐怖編4

大内(2勝6敗)ー東(2勝6敗) <先手中飛車から飛車交換>

大内の先手中飛車。7手目で早くも▲55歩、△同歩、▲同飛でもう王手。たがいに玉を3筋まで移動してから、▲78金、△86歩。大内は、87歩を打たずに、19手目▲96歩。先手、桂馬はねて飛車交換なんて順? まさか、ほんとに飛車交換になったよ。いやぁ、けっこうすごい。自陣の飛車打ちのスキを消して後、東、△13角とのぞく!このままだと57に成られるので、大内、▲66角で受けた。

31手目、大内、なんと▲89飛車と自陣飛車打っちゃった。ふむ。先手はとりあえず片美濃。後手は△82歩と受けています。どうなるんだろ。 飛車が駒台にある東が受けにまわり、ゆっくりとした展開になったかに見えたんです。▲54歩打に、△52歩。大内、角を自陣にひき、角筋の転換を見せながら、53手目、▲59飛車と狙いを5筋へ。そこで東の手番。△45歩で角道開けたのだが、大内、▲36歩、▲37桂で、次の▲45桂が受けにくい。東、なくなく、狭いところに△44飛打ち。これでは大内優勢でしょうが、順位戦という雰囲気を感じる一手の△44飛。

再び飛車交換へ。東、さっきの順がつらかったろうね。大内、手筋の▲52歩が入り、金もはがされ、後手玉は丸ハダカ。79手目、▲71飛車打ち。 大内優勢から勝勢なんでしょうが、順位戦ですね。後手、まず馬を引いて、△44玉の中段玉。そこから、東、△56香打ち。△35飛車打ち。見ていて、ため息がでますな。大内、▲27金打と自玉守りながら、後手玉を圧迫。東の△44飛から終局までの手順は、順位戦の怖ろしさを感じさせます。

107手でまで指し東、無念の投了。降級点ラインに入った東、最終局は対室岡。勝負将棋を制した大内は、最後は対北島です。 <107手目、▲14金まで、大内勝ち。>嵐の後、難破船が島で救助待つようなドラマじゃねー。大内のうねりはスケールでかい。M


ーーー とりあえず、ここまでなり。それにしても、C1、1勝7敗の3人が、皆、勝ちましたな。いやいや、十分面白かったですね。A級は、どうせ棋譜流出されて、いろいろ言う人いるだろうから、私は見るだけの楽しみにします。携帯iモードは、ここのところ、二日後に棋譜アップされているから、A級の棋譜でるのは土曜日かな?ただ、週末はさむんで微妙だね。

相当楽しませていただき感謝!感謝!M