先週のB2、一括観戦メモ Name : T. Serisawa

Time : (2002年1月25日<金>03時02分)


一昨年より、主に携帯iモードサイト「名人戦・王将戦」から手に入れた、順位戦の棋譜を眺めるのを楽しみにしているのですが、いろいろと、どうやって眺めるのが、面白いかを模索しています。

今回は、あえて、結果を知らずに、先週のB2順位戦を一斉に見ることを試してみました。 順位戦に在籍する棋士なら、誰の将棋でも見ることができるこのサービスは素晴らしいものだと思います。かなり中毒性高いですが。最近は、棋譜アップロードがとても迅速になって、これで、消費時間表記さえ実現すれば、ほんとにすごいんですがねえ。

というわけで、先週のB2の11局を、それぞれ20手ずつ見ていきました。以下は、眺めながら、つけていったメモです。実際に棋譜なしで見ても、たぶん、何がなんだかわからない部分が多いとは思いますが、まあ、はじめての試みとして、許してくだされ。

左が先手、右が後手(棋士の段位など省略。いつも書いてないけど。)

どの将棋からいこうかな。まず、棋風が好対照なこの二人から。

初校はこちら。以下段落ごとに20手ずつ進行したものを対局者別に編集)

セリちゃん、ええもん書いてくれてあんがとー!これソートー楽しー。これぞ順位戦という受けと血が吹き出る攻めあい。凄まじい熱戦、有り難く一行一行拝読。あんまり面白かったんで是非是非毎週リクエスト!


塚田(4勝3敗)ー森けい二(3勝4敗) (居飛穴対四間飛車)

相がかり系で、塚田攻め、森受けの展開期待したが、森、藤井システムで塚田、居飛穴模様。拍子抜け。予定狂ったな。しゃあないから、四間飛車まとめて見よ。

塚田、すんなり穴熊へ。森は高美濃。長引きそう。

長い序盤終わり、やっとさばけてきて銀交換。面白くなるのはこれから。塚田怒濤の攻めに、森の受けの魔手を期待。

森は前譜、塚田の飛車走りに△22歩と受け、塚田▲24に飛車ひいていたのだが..。64手目、森、△23銀打ち!きた、きた!森の受け。塚田、77手目、▲86銀打ちとは、変なところに打ったねえ。死ぬんじゃない、と思いきや、えっ!この銀が、ジグ、ザグ、ジグ、▲73まで進んで桂と交換!思わず、84手目まで超過してみてしまった。塚田、やってくれる。

塚田、しかけはじめ。ジグザグジグは面白かった。まだまだ。この将棋も長そう。

▲35桂で、飛車銀両取り。▲45にも桂馬いるから、V2でしたっけ、これ。ふむ。塚田、▲23飛成が角あたり。銀で受ける。ん?▲34歩打ち。森、銀で竜取った!塚田、角とって▲33歩成。森、△62飛車と逃げる。あやしい..。後手、反撃開始。後手の持ち駒、飛車、桂3枚に歩6枚。△85桂打ちから、120手目、△96歩いった。

森、端から攻勢に転じ、穴熊にジャブ。ジャブ。殴るだけ殴ってから、△53銀打!これだから、この人コワイ...。塚田行く!反撃!▲64歩のたたきに森、手をぬいて、△44銀!角入手!塚田、金取って▲63歩成、△同飛、再度の▲64歩のたたき!この将棋も玉の耳が急所か。森、△99角の王手から、金取って△66角成!塚田の159手目が▲67香打ち、馬と玉の田楽刺し。どっちが読み勝っている?ああ、塚田の守りの金がはなれた。やはり、森か。△67馬と田楽が空砲になってしまった...。それでも、塚田王手ラッシュ。森玉、宇宙遊泳。スルスルスル。塚田、無念。 <178手、69金まで、森勝ち。>


中川(6勝1敗)−畠山成(4勝3敗)(居飛穴対四間飛車)

畠山の四間は当然として、やはり居飛穴。後手まだ△95歩ついてない。

畠山、左銀を早くくりだして、▲76の歩をかすめとる。中川、穴熊にはするも、一歩損。

中川、さらに穴熊固める。畠山、やはりというか、攻めてくれます。△71玉で、いつでも飛車を展開可能。60手目、端から、△96歩、いきました。

畠山、端攻めの猛攻。ガンガン攻めるねえ。中川、▲88銀打ちで受ける。ふむ。△44角で王手直撃。畠山、決められるか。

中川、▲88金打ちとさらに駒補充。中川穴熊は、銀1枚、金3枚、角と桂。依然、畠山の猛攻つづく。86手目、△92飛。飛車まわってきた。中川受ける。ふむ。△66角打で飛車あたりも、中川▲78飛車。ふむ。畠山、▲19の香車を角でとる。お、▲44角の王手。畠山銀打ち。ん?中川馬筋とめる、▲37歩打に、畠山自陣にさらに△33銀打!角にあてる。ありゃー。方針変更だ。

畠山、結局、穴熊をつぶしきれず、へんなところに銀うって、▲26角。安心させちゃったねぇ。ともに、持ち駒は桂、香、歩だが。玉形の差で、中川か。まだつづいてる。

中川、ジワリと▲32銀打。飛車あたり。逃げると、先手の26の角がきく。畠山、途中から、やや冴えなかった。中川1敗キープ。 <135手、▲53銀まで、中川勝ち。>


佐藤秀(3勝4敗)ー小林健(2勝5敗)(矢倉)

小林が矢倉やってる!小林降級点やばいんじゃなかったけか。佐藤は振飛車想定して▲26歩ついてしまってるから、後手が飛車先不突型。それにしても、戦形予想あたらんなぁ。

佐藤、早囲い成功。小林は後手ながら、飛車先保留で、角を△51,△84へと展開。1−2筋方面は佐藤、手得っぽい。8ー9筋は何も手がついとらん。小林、6筋に飛車まわるが、成功するかねぇ。

小林の仕掛けにのって、佐藤の金が▲55まで出る。佐藤、押さえ込み成功するか。

いかんね。佐藤、押さえ込み成功から、終盤へ。もう読み切っている感じだ。小林の陽動作戦での矢倉選択、失敗。

100手は越したけど...終わってるだろ。あ、終わった。小林の△84の角、最後まで何もできず。 <103手、▲22金まで、佐藤秀勝ち。>


石田(3勝4敗)ー泉(4勝3敗)(横歩取り) 

横歩取りなり。横歩は3局以下希望。

泉、飛車を△82まで引いちゃった。泉の囲い、ヘンなんで、石田、十分チャンスありますぞ。

石田は、ほんとに教科書通りの手を指すなぁ。▲23歩の手筋から、▲22歩打、泉それを手抜きで攻め合いへ。

泉、手抜きの攻め合いから、なんとか△89飛車成り。石田、▲79に金底の歩。泉、△86歩打ち?と金づくり、間に合うのかね。石田、▲55銀ぶつけ!▲33桂王手!おお。▲76飛車!さっきの銀ぶつけで飛車の横ぎき通ってた。泉、玉で受ける?▲54銀、取った。終わった!泉投了!やった、石田完勝! <77手、▲71銀まで、石田勝ち。>


西川(3勝4敗)ー浦野(3勝4敗)(無理矢理矢倉?)

西川が横歩取らせ嫌って、角道とめちゃった。田中寅みたいな指し方。

全部囲わず、浦野、△66銀、△44銀と二枚くりだし、仕掛ける。西川、銀交換さけて▲88銀バック。ここをしのげば、西川優勢か。

(先手無理矢理矢倉模様に後手急戦) 西川、後手陣の不備をついて、うまく指してるね。浦野、玉で受ける非常手段。浦野の駒が働いてない...。

浦野の攻めの銀が死んでる。よほどのことがないかぎり、形勢動かぬと思うが、西川、攻め駒が少なく、すぐ決め手でなければ、浦野粘りモードに入るかというところ。

ふむ。浦野△44銀打ちで、西川の馬が自陣にバック。ふむ。西川、浦野の飛車を歩でたたいて、ベタ金うって、飛車銀とり。でも、この二十手の間で、西川玉狭くなる。99手目、▲53銀王手に、△51玉。まだ後手玉寄らないね。

西川、101手目は、▲23歩成。先手持ち駒は桂一枚。浦野、△56角打!。厳しそう。この角打ちができるのでは、たぶん、前に西川しくじってる。先手かまわず、と金寄った!後手、△52金。▲55桂打ち!どっち勝ってる?あいや!浦野、飛車切った。やっぱり後手玉寄らないのか...。よくわからん???そうか、西川、▲25飛車と出られないのね。だから▲55桂だった。△79銀で投了?先手、詰んでるんですか?この将棋、よくわからん。 <116手、△79銀まで、浦野勝ち>


有吉(2勝5敗)ー深浦(7勝0敗)(横歩取り) 

こっちが横歩取りか。深浦オッズ高し。

有吉、ひねり飛車風に回るも、深浦に54角うたれ苦しそう。

41手目の有吉、▲77角と自陣に打つ。これで、互角の展開にみえる。苦しそうなんて書いて、失礼しました。

おお。有吉の▲88の銀が、▲79から▲68へ。有吉陣、美しい中住まいが完成した。いいぞ!一発食わせたれ!

深浦...この男。有吉陣を見て、82手目△31玉。84手目△21玉。後手、これは堅い。先手陣は、5筋手がついた。深浦、二度の△28歩打ちで、手かせぎ。やはり、深浦ムードか。

108手目、歩頭に△48桂打ち。同歩なら、角成り。深浦の技が入った。△84桂を飛車にあてて利かし、それを跳ねた△76桂が詰めろなんだろうねえ。有吉、▲59桂打つも、及ばず。深浦の中盤の玉の早逃げは丸山っぽく。桂馬の使いかたは羽生っぽい。深浦はあんまり、個性感じない棋風なんだけどねぇ。将棋から人間が見えん。 <122手、△56馬まで、深浦勝ち>


行方(5勝2敗)ー富岡(3勝4敗) (角換わり棒銀)

おお、はじめて2手目△84歩の将棋。角換わり。これみて富岡が雑誌の付録で角換わりやってたの思い出した。後手の富岡の手順が妙なのを見て、行方棒銀へ。なんか嬉しい。

行方、棒銀からふつうに端から銀香交換。富岡、△19角、さらに△18銀まで打って、飛車いじめる。富岡陣は、△61の金が不動のまま。富岡、研究手順という感じ。

富岡の研究っぽいことは予想できるんだが、やはり前に△19角、△18銀まで打ったのが、どうだったかなぁ。行方、居玉から冷静に早逃げして、富岡の打った銀が遠い。行方、角を馬をぶちあてて、富岡の馬逃げる。行方、角きって、逃げていた飛車が動き出した。次、▲34飛車とまわるぞ、きっと。

行方の飛車が暴れまわっとる。▲73桂と打ちこんで、竜になった。手筋の歩打ちから、▲75香の田楽。行方、快調。まだ勝負はわからないかもだが、富岡の2枚の角、行方玉にまだ届かず。

ん?▲33歩のたたきを、富岡△同玉。▲34銀王手。△24玉!おお。▲25歩王手。△14玉。おそれいりました。富岡入玉が構想だったのね。行方くんも、今頃、▲29桂馬なんて打ってるよ。うわ。行方、▲82銀打ち!大駒、取りにいった。この将棋はたいへんだー。

富岡の入玉確定。行方、小駒とってます。点数勝負なら、富岡が行方陣の残骸をどれだけ取れるか。行方の玉はまだ、▲79から動いていません。行方、竜が2枚。富岡、馬が2枚。富岡、行方玉をとらえることできるか。こんな将棋になるとはねえ。

富岡、自陣にひいた馬が竜と差し違え!持ち駒に飛車はいる。行方も入玉ほぼ決まり。いよいよ、駒取り...。あ!終わった。富岡、竜つくって駒とって点数逆転。行方、ギヴアップ。 <142手、△82歩まで、富岡勝ち。>


ならば次は、B2でいちばん渋い、この二人だ!

土佐(5勝2敗)−小野(2勝5敗)(矢倉)

当然のごとく矢倉へ。土佐の5手目は▲77銀。最近先手5手目▲66歩だと、後手から急戦流行ってる。熱戦期待。

土佐、25手目で、▲35歩早仕掛け。一歩を持つ。11局もあるんでちゃちゃっと見てるけど、じっくり見ればこの将棋がいちばん面白いんだろうな。B2順位戦が面白いのは、この二人の存在が大きいのです。

両方の端歩つきあって、がっぷり四つ。面白いなあ。これぞ、本格居飛車党どうしの矢倉。ゆっくり時間かけて見たい。まだ中盤の入り口。どっちが勝つかまったくわからない。

ほんとに、期待どおりだ、この二人。前から好きな棋風だったけど、あらためて惚れなおした。こういうのに、棋は対話なり、という言葉を感じるねえ。将棋は、ついに土佐、2,4筋をつきすてて、▲77桂馬。小野も9筋から味をつける。

小野、△86歩から継ぎ歩。▲同歩に△85歩、そこで土佐手抜きで▲45桂はね。△44銀、▲55銀で銀交換へ。見応えある応酬。△86歩の取り込みはいるも、土佐も反撃。▲53銀打ちから、後手の飛車とった。土佐、▲61飛車打ち。先手、若干攻め駒不足か。後手やれそう。

あー、終わっちゃった。土佐、▲81飛車成でできた竜が、先手玉の守りに利いて、小野、反撃できず。ウーン。小野、先手陣の飛車をいじめにいくようでは手にならず。受ける順なかったかなぁ。土佐の寄せが鮮やかに決まった。良い勝負だったのに、終盤すこし残念。 <109手、▲34桂まで、土佐勝ち。>


田中魁秀(1勝6敗)ー脇(3勝4敗)(横歩取り)

横歩取りなり。

脇、▲55まで歩ついて、▲54飛車とまわる。40手目ちょうどで、脇しかける。ふつうにいけば、脇が勝つのかなぁ。

脇のしかけにのって、角交換から魁秀猛攻!竜つくった。すごい迫力。いちばん早く終わるかも。でも、脇も粘っこいぞ。

魁秀。え?竜切って...あらぁ。切れちゃったよ。自滅?んなバカな。あの猛攻が、はじめから無理だったのかねぇ。 <74手、△89飛成まで、脇勝ち。>


そうだ、田丸いたの忘れてた。

北浜(5勝2敗)ー田丸(2勝5敗)(居飛車その他?)

うーん。先手だけ、飛車先の歩を切って、早くも先手十分な気が。ここからどうするんだろ、後手。△85歩まで伸ばしてしまってるし。むりやり、力戦にもっていくんでしょうな。

田丸、わりと穏やかに雁木にしてから、5筋で歩交換へ。北浜は玉を固めてる。

(矢倉対雁木) 田丸、端から角のぞいて、角交換。北浜あくまで冷静に手厚い。58手目で、田丸△59角打ち。これが空振りなら北浜勝ち。

北浜、あくまでも手厚く指す。北浜、銀香得。田丸に勝ちはないだろう。

北浜ー田丸(矢倉対雁木) 北浜、83手目、▲54歩から、寄せに入り、何事もなく終わり。 <95手、▲45銀まで、北浜勝ち。>


大介(5勝2敗)ー内藤(3勝4敗)(相振飛車)

ここだけ、ちょっと詳しく。 3手目ー大介、▲75歩!ギャー、三間くる! 7手目ー大介、▲48玉。穴熊かい..。 10手目ー内藤、△33角。お、雲行きあやしい。 11手目ー大介、▲38銀。穴熊断念。 14手目ー内藤△22飛車で相振り決定!大介、唯一の得意戦形。B1の久保ー中原も相振りです。 20手目ー中原のわけわからん相振りとちがって内藤はふつうに金無双に囲う気配。大介、先攻できそうな展開。

40手目までは駒組みと、互いに飛車先の歩を交換。大介陣は高美濃、内藤は金無双。

(相振飛車・高美濃対金無双) ふうむ..。43手目、大介▲77桂から、45手目、▲97角。やはりこいつ、相振りなら心得てますという感じか。50手目、内藤△84歩。51手目、大介▲86歩。この交換はどうなのか。まだ終盤考えてるわけじゃないよね。52手目、内藤△16歩。端からいった。いや、これは味つけとくという手かな。59手目、大介▲66飛車。ああ、こりゃ、大介、玉の耳からくる。だめかなぁ。

大介、内藤の講座どおり、玉の耳からちゃんと攻めてます。ダメそうです。

81手目、大介、歩頭に▲54桂打ち。うむ。84手目△55桂。形づくりか。終わった。残念。大介の相振り強し。 <103手、▲83金まで、鈴木大勝ち。>


感想ー ちょっと無理攻め気味な試みでした。結果知らないで見ること自体は面白いのだけれど、11局同時というのは、しんどいですね。最初は、順位戦最終局の実況みたいに盛り上がれるかと思ったのですが、コメント書きながらはしんどい。これでも、5−6時間はかかりました。しかも、メモの表現も雑で、これ読んだだけでは、わけわからないでしょう。自分でも、もうひとつ、集中しきれなかった。1局ずつ見たほうがよかったかと思います。 将棋で楽しめたのは、塚田ー森、土佐ー小野戦でしたが、他はもうひとつでしたな。でも、最初に石田が勝ったのは、わくわくしましたねぇ。 今節は、B1のほうが、むしろ面白い将棋が多くて、そちらは結果知ってて見たのですが、久保ー中原戦、阿部ー南戦など、かなり楽しめました。やはり、将棋の内容がいちばん、ということです。 「棋譜パラダイス」発刊を!