「将棋倶楽部24を10倍楽しむための棋譜集」

数十万局のプロアマ棋譜を会員以外にも3月初旬一般販売

棋譜がPDとなる群盗理論をついに将棋界は容認?

3月初旬、燃えろシュピーゲルベルク!

2002.1.15 15:45


「3月上旬発売予定で価格6,476円(予価)とのことですが?」

「値段は関係ない。卸業者経由なら4-5割取られる。直販で500売れて採算路線。下手すれば赤字。人件費を削るだけ。いずれにしても商売の対象ではない。これで金儲けと勘違いする者は子供。問題は知的著作権の扱い。近い将来、悪しき前例となるかもしれない」

「どうなります」

「収録の棋譜はすべて会員が自分たちだけで楽しむ目的としてあった。ところがこの公の二次的使用を全会員にメールで直接打診せずに、しかも申し出により拒否できるが、期待に添えない場合があるという一方的な告示があった」

「企画者はボランティアのつもりでしょうか?」

「無料で場所を提供したのだから、そこに来た者は協力すべきという暗黙の了解。実は法の落とし穴がある。国内で通用しても、形になると外国では既成事実として認識される。証拠物件だから販売個数は関係ない」

「無料で対局できるという蜜に引き寄せられたんですね」

「ほとんどの者は自分の棋譜の二次使用を知らないから騙されたことになる」

「でも自分の棋譜を形にして公に残してくれるのは誰もが有り難いのでは?」

「アマチュアはそれでいい。プロは困る。なにせ数十万局という前例がないデータ公開」

「でも日本将棋連盟は容認したんですよね?」

「黙認だろう。町道場の少ない顧客はますますネットに流れる。道場に行けば強い人と指せるという構造は幻想。道場組合でもあれば阻止しただろうが、不況下で連盟さえ弱体化している現状では体力がない。聞かれれば普及の為という一言で美化する構図。実際にはプロの燦然と輝く棋譜が混入しているが、HN使用だからと甘く見ている」

「大変な勘違いですね」

「じっちゃんは最初から公式戦しか興味ないんだろうけど、十傑の棋譜は見たの?」

「Nは++だとか言っていました。しばらく夢中でした」

「実際プロより面白い部分満載だからね」

「戦法著作権法はどうなりますかね?」

「種本がPD=パブリックドメインである場合、現行法ではどう解釈しても盗用にはならない。現実に米国がそれで雁字搦め。USISからNASAのデータまで商用利用された。だがそれは税金で作ったデータだったからだ。しかも自由主義を謳う手前他国にもPDを認めた。もし将棋界のような貧しいインディペンデントが自らの聖域を守りたいなら、じっちゃんの言うとおり、戦法著作権法を公式戦にのみ認めるとしなければならない」

「でも今でも公式戦の棋譜は守られていますけど」

「公式戦そのものが弱体化している。その先を三手読んでごらん」

「1=プロは守られる」

「そう。逆にアマの戦法はだだっぴろく盗まれてプロが活用する」

「2=アマには自分が最初に指した手だという名誉が与えられる」

「そう。逆にアマの戦法や棋譜は、チェス界と同じようにPD」

「三手めがわかりません」

「じっちゃんの憂慮どおり今のようなプロもアマもなくなる」

「ところで群盗とは?」

「シラーの戯曲」