2002年1月6日NHK杯戦 3回戦4局 解説塚田

桐山清澄VS田村康介 マシュダ談


 後手田村54歩の中飛車指向で、先手48銀に2分も使い、52飛のゴキゲン起動でまた一分も使うのでは既に桐山気合い負け。田村はずっとノータイム。

 25歩に田村65銀の張り手。面食らった桐山77銀と受けて角が重い形に。後手指しやすい。田村うまそうに煙草吸う。

 なんじゃ?三分刈りのクリクリにしおって。かわいい顔じゃがな。もちっと凄味きかせんと。背中丸めてすまなそうに煙草吸っとる。

 桐山長考で16歩?おい安食、もっとでかい声ださんと。画面で確認。そっか、塚田が大内門下のことしゃべりすぎで声がかぶった。 74歩で銀の退路万全。桐山得意の誘惑はっきり損。ここで66歩は遅い。悠々と54銀と下がられて後手自在に組み替える形。

 桐山、75歩と銀で押さえ込み目指すが、焦りすぎ。後手余裕で受ける。85歩の玉頭位取りも延びすぎ。あとは受け潰し。田村32飛車、一筋端歩も受け、51角と下がり、先手じらされる。当然と思えた26銀が立ち往生。下がって体勢を立て直す心の余裕が桐山にあるか?ここで田村お茶をすする。煽り。

 塚田「後手は守りが飽和状態」そうかね?田村はもう優勢を意識しておるよ。ほっほ!7筋で歩の交換後、位を先手に取らせて悠々73銀!もう桐山頭にきて爆発寸前じゃろ?キーッと叫びそうな長考で玉頭攻めの継続。もう26銀の価値が下がっとる。ここで田村ノータイム92香車で余裕の穴熊。

 受けの終着は当然穴熊。桐山が突っ張り過ぎて誘発。対して先手すでに、焦るだけ。守りを固めようにも途中下車以外ない。これではもう田村相手に勝てない。

 田村絶妙。クリクリ-煙草-お茶-ノーパン喫茶で優勢を築いてしもうたがな。

 桐山爆発して、15歩、24歩と突き捨て2歩損。あとは行くだけ。初心者○だし棒銀で行くが、田村相手にせず悠々91玉入城。桐山24銀の突撃で玉砕コース。香車タダで取られて飛車まで逃げられ柳に風。しかも82飛車!これが巧妙な心理作戦。スダレ鴉も柳の枝では足場もない。すでに10分以上の時間差。桐山あと5分。田村12飛車でやりほうだい。桐山断腸の思いで68飛車と逃げて勝ちはない。

 田村82桂馬と打つ妙手一発!一見桐山に形もつくらせんというクソ桂!桐山大噴火で22歩の桂馬取り。ここで手抜きか?田村初めて真面目に考える。そして飛車で取る。

中倉姉「受けにまわるんですかあ」

それは呆れる。田村は決して女にもてない?不良のオカマ受けは決してもてない?師匠の面目丸潰れ? アホ。田村の作戦は7筋の攻防で92桂を活用する遠大な構想。男の純情!そのためには飛車も隠居させようというおぼこ戦法。見た目とまるで逆。否定論者はじわじわと真綿で首をしめる女王様と呼ぶ。

 桐山怒り浸透に達し、頭から湯気がでているのか、背後の障子に陽炎。目糞とるふりして出てくる涙を拭う。そして角交換後、桂頭に執念の75銀!死んでも負けたくないという銀打!96歩垂らしも手抜きで43角打!首の皮一枚残して攻めあいに。

 田村あぐらかいて余裕。ここで双方残り時間1分。見るも無残な最終盤。桐山の金捨て玉砕を丁寧に受けて形作りが生き造り。一手違いにもさせない丸坊主。しかし最後は男の一途な純情の桂馬が生きて即詰めに。


 感想戦。

中倉姉「中飛車は作戦予定で?」

田村「んん、そうで」と土管で出す声に愛想もない。中倉姉無言。もてない。無言。塚田じっと田村を見る。

 感想戦面白い。ゴキゲン定跡から桐山の玉頭位取りまで田村流桐山流ちりばめて双方気持ちよく飛車交換の読み筋披露。風光明媚。だから桐山は大もて。微笑む田村もかわいいがな。