秘密の部屋

木が違うと感ずる人のノート〜其の吾〜

7/3 マジシャンは言った。「これからこの帽子を消します、はい!」僕らの目の前でそれは消えた。でもそれほど驚くことでもない。しかしマジシャンはかんぱつ入れずにこう言った。「では次は私を消します、はい!」僕らの目の前に彼は消えた。さすがの僕もこれには驚いた。ここは大した舞台装置もない演芸場なのだ。客がざわつき始め出したころ、僕のとなりの男がいきなり立ち上がり拍手を始めた、そしてその男にスポットライトが当たる。マジシャンだった!それがこの男との始めの出会いであった。


4/25 「256番目の魔法使い」「ギガミックス」
4/1 俺は新入社員だ。
まだ入社一ヵ月目のほやほやなんだが、恐ろしい事実に気が付いてしまった。
この会社は知る人ぞ知る一流の企業でありながらその社員の数は驚くほど少ない
少数鋭制のエリートが集まる会社なのだ。
したがって今年の新入社員も俺一人だけ。
そのことを俺も誇らしげに思っていたのだが、、そう!この事実に気付くまでは。
それはささいなことからわかったのだが、そうと気付いてみると廻りの人間が全てそうなのだった!
いったい何が?だって?
いや、そうだなはっきり言っておかなければなるまい。
「この会社の上司、つまりは俺以外の全ての人間がズラだったのだ!」
ズラ、つまりはカツラだ。
これはいったいどういうことなのだ?
俺は思ったさ。
これはみんな知っていることなのか?
だけどそうだろ?聞けないじゃないか。
「あの課長ってズラなんですか?」なんて!
それも全ての人間がそうなのだから俺は誰に相談することもできずにいたのだった。

その日から苦悩の日々が幕を開けた。

もし、本人がひっそりとズラをかぶり誰にも気付かれてないと思っているのならば、部下としての俺ははその秘密をばれないように守らなければならない。
それはとても大変なことだ。本人に悟られず護衛をするシークレットサービスの難しさが今の俺には痛いほどわかる!
取り引き先の相手の前であわや!などといった時は血の気が引く思いだった。
そう、そんな生活はストレスとなり俺の体を蝕んでいった。。
髪にキたのである。
なんてこったい!しかしこのまま会社に行けば俺の頭が薄くなっていることを上司達も話題にしないわけにもいかない、逆に無視するほうが不自然だからだ。
くそっ!いったいなんでこんなことに。
そう思っていたときに直属の上司斎藤係長がぽんと肩をたたいた。
「合格だ。」
いったいなんのことだ?わけがわからずうろたえる俺に斎藤係長はことのあらましを説明した。

つまりはこういうことだったのだ。
この会社は全員がズラだという秘密を共有することによって発展をしてきたのだという。
互いの弱みを知った上で自分も全てをさらけだし協力し会社の為に貢献できるのだと。
そして新入社員には多少酷だがこういう試練を受けてもらうのだとう。
斎藤課長の手には一つのズラがあった。
「さぁ、君もこれで本当に我が社の一員となったのだ。これを被ってみんな一丸となってがんばっていこうじゃないか!」
「あぁ、、そうだったのか、、不自然に見えたズラは、俺を一人前にするための。。。」
「ほら、涙は似合わないぜ!」
「......。ってそんなことのためにこんな頭にー!!」

気がつくと驚いた顔の斎藤課長に俺は拳を何度も何度も打ちつけていた。
そして会社をやめ今はこうやって世界を旅してるというわけさ。
あぁなにもかもが懐かしい。


帰る(どこに?)

過去の☆キラリん

ここに書いてあることは意味もなければあなたを救ったりもすることもありません
どすこい