掃除

やっぱり私のことを恨んでいるのね
そして最後はやっぱりそう、私を殺すことを考えだしたのね。
し、し、し、しかたないわね、コ、コ殺されるくいなら、いっそのこと私が・・・
あなたを・・・・

最近世界規模で人口が増えすぎているのはみなさんご承知のことだとは思います
我が国でももちろんそれに対するいくつかの対策がこうじられています
実は私、国家のそういう機関の者でしてそんな対策を日々頭を悩ませいるのですよ
人口抑制、子供を生むなと言ってもそれはそれ、デキるときにはデキちゃいますし、こればっかりはなかなか思いどうりにはいかないものです。
でも、これは抑制、つまり抑える方法なのでうまくいかないのです。人間ダメだといわれるとやりたくなってしまうものです。
そこで私は少しピーンときましてね。ああ、そうだ実際に人数を少なくすればいいんだ。

そう、少しの人間がいなくなってくれれば、あとの人間は楽しく暮らせるじゃないですか。

簡単なことですよね。
えっ?国家の機関がそんな酷いことをしてもいいのか?

ええ、そうですよね。いくら国の仕事だと言っても実際に人を殺すわけにはいきませんし、その選別には細心の注意が必要となります。
だけどね、そこが私のスゴイところ、いやちょっと自慢話になりますがね。聞いてくださいよ。

私はこういう仕事やってますから国民の情報はたいていのことわかります。
ちょっと秘密なんですが電話番号やメールアドレスなんかはすぐにわかります。
現在ほぼ誰もがメールを日常に使っていますよね、そうそう携帯電話ででも使えるようになっています。
それにこういう文章を国民に送ってみたのです

「あなたを明日殺そうと思う。」

次の日は大変でしたよ。
全国で殺人事件が大発生!
こんなメールを見ても大抵の人は間違いだ、とか、たちの悪いイタズラだ、とかで気にも止めないと思っていたんですが・・・・・いや、思ったより結構多かったんですよ。一番多かったのはあれなんですよね親が自分の子供を殺すってのがダントツで一番でした。子供の遺体が死因検査のため病院にはこばれていったんですが、これがそろいもそろって全身アザだらけ、火傷の跡が多数ある子もいました。実際の死因は首を締められたことによる窒息死なんですがね。
はい、つまりは今ちょっとハヤリの児童虐待ってやつなんですよ。
あとは恥情のもつれとかもあったんですがそんなのは者の数に入りません。

もちろん子供を殺してしまった親たちにはちゃんと刑務所に入ってもらいます。
あーっと。これはあんまり言っちゃダメなんですが。
その刑務所、私らの中では通称「夢の島」と言われておりまして。
そこから生きて帰ってきた人はいない、まぁというかそこで既に生きていな・・・・ゴホッ!ゴホン!
・・・ふぅ危ない、これはあなただけに教える秘密ですからね。

え、何?子供がかわいそうじゃないかって?
・・こういうデータがあるんですが、いいですか?
「過去、虐待を受けた子供は、彼等が大人になり自分の子ができると、同じことを繰り返す」
これは遺伝子的なことなのか、そのとき親に抵抗できなかったストレスなのか、わかりませんが。
その確率は89.5%とかなりの高確率なのですよ。

だからね私はこの仕事を誇りに思いますよ。
言い方を変えれば人類を救ったということなのですから。

ああ、少し長くなりましたね。
私もあと少し仕事が残っています。いなくなった彼等の国民データを消してしまうことです。
そうして彼等は完全に「いなかった」ことになるのです。

明日、朝ちょっと外に出て見てください。
空気がとても澄みきっていることに驚くと思いますよ。
では楽しい未来を



わーむほーる