シーン7
REAL REAL REAL

わからないことが多すぎる。
なんとなくここまでやってきたが、何故ジョン高松は宇宙船を盗むのか、そして何故ここ「カグヤ」なのか、疑問は早く解決したほうがいい。
高松には何度も聞いたが肝心なところは話さない。ただ宇宙に行ってみたかったんだよ。とだけ言った。
盗む奴が言わないんじゃしかたない、盗まれる側に聞こうと、そういうわけだ。
まあ本人に聞くわけじゃないが、何かひっかかるところがある。何か。

森絵の案内で建物の最上階を目指す。
エレベーターを二回乗り継ぎ上る。103階だ。
一回下の102階で下りる。社長室はエレベーター直通になっているらしいので、階段を使う。
監視カメラは俺達を捕えてはいるが何の警報も無い、ジョン高松がうまいことやってくれたらしい。
「森絵のIDカード使えるのか?」
「さあね、私もこの部屋入ったのは一回だけなのよ、今使えるかどうかはわかんない。」
階段を上った廊下の影でドアの方をチラリと見る。
まあ、なんとかなりそうだ。
警備員らしき者はいない、入った時から感じていることだが静かだ、あまりにも静かだ。
まあ気にしないことにする。
「んじゃ行こうか。」
俺はドアの前に向かって一歩、足を踏み出した。
ガーーーーーー!!!!
突然の轟音、警報のサイレン、赤いランプが点滅する。
「何?どうしたの?」
森絵が驚いた顔でマリオにたずねる。
「わかんねえ、見つかったのか!?」
しかしもう引き帰すにしても時間がかかりすぎる。行くしかない。
そう思い、俺はドアに向かって走った。森絵も後に続く、そうして俺はドアの前でコンピューターを出して作業に取りかかろうとした。その瞬間、ドアが開いた。ロックされてるはずのドアが静かに開いたのだ。
俺も森絵もあっけにとられていた。
これは罠か?それとももうとっくに俺達の侵入に気付いていてこの部屋に招待されていたのか?
そっとドアをくぐり抜け中に入る。もうこうなったらしかたない煮るなり焼くなり好きにしろってんだ。
俺達が入った後、静かにドアは閉まった。
銃を持った男達にでも取り囲まれるのかと思ったが、違った。
奇麗に整理された部屋、人はいなかった。
「何だよ遊ばれてんのか?」
「何なのよ、本当に。」
そう二人がつぶやいた、壁一面がガラス張りになっていてそこから外の景色が見えているのだが、その瞬間その景色が消えた、そのガラスはモニターとなって一人の男の映像を映し出した。
「やあ、こんにちは、ようこそ我がかぐやの国へ。」
その中年に差し掛かろうといった感じの男がしゃべりかけてきた。
「・・お父さん。」
森絵が言った。

シーンに続く