シーン5
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砂漠の仲に点在する町々、それは廃虚であったり、スラムであったり、国であったりするところ。
もちろん生活に必要な資源があるところは限られている。大きな国は広大な範囲の土地で資源を掘り出しており、またそれ以外にも過去の遺物の掘り出しも大事な仕事だ。
今、俺達五人の乗っている大型トレーラーもそんな過去の遺物であり、掘り出したものを国に運ぶ輸送船である。ジョン高松はこれは俺らの仕事だ、と言って数時間後にこのトレーラーを調達してきた。たぶん砂漠の真ん中にはパンツだけの作業員がなす術もなくたたずんでいることだろう、彼等の制服は高松とオレンジが持ってきていた。高松はすでにそれを着ていて、さらに少し変装していた。どこから見ても作業員のオジサンだ。オレンジの方はサイズが合わない、と言ってマリオにその制服を渡した。これで国の検問を抜けるのだ。
高松の運転するトレーラーの助手席にはマリオ。あとオレンジ、ジンノ、森絵の三人は後ろの荷台にいる。
「さあ、到着だ。準備はいいかな?マリオ」
高松がぼそりと言う。
「ああ、いつでもいいよ、あの建物だな?どうやら電波妨害やらは使ってないみたいだ。楽賞だよ。」
マリオの小型携帯コンピューターの画面に建物の立体透視図がグルグルと動いている。キーボードの上をマリオの指が走る。
「ははは、こりゃえらく古いシステムを使ってるよ。えっ・・・とパスワードは…‥っと。はい、おオーケーいつでもどうぞ。」
「よし、やるじゃねえか。そんじゃちょっと役者になってくれ。検問所だ。」
砂漠の中にぽっかりとそびえ立つ、まわりを城壁のような壁でかこまれた国、「カグヤ」。今までにみてきた町なんかとは比べ物にならないくらいデカイ。その入り口の大きな大きな門が目の前にせまってきていた。

「カグヤ」は割りと大きな国だ。しかし、なんだこの警備の安っぽさは、そう検問所だが、たいしたチェックもなく、なんなく通り過ぎてしまった。てっきり赤外線センサーなど各種装置が待ってるもんだと思っていろいろ準備してきたのにな。
トレーラーは町の中を進んでいく、なかなかいい町だ。生活はそこそこ潤っているような感じがした。可もなし不可もなしと言ったところか、しかしその中にも少しかげりが見えていた、検問所の装備の薄さが物語るようにこの国も財源がそろそろ危ういんだろう。
そうしたところの宇宙産業への進出。
最後の時以前に作られた宇宙コロニーへの輸送業は莫大な財源になる。この地上とは別のシステムを持つコロニー、そこは世界が最後を向かえる前に選ばれた者達だけが送られた場所である。しかしゴキブリよりもしぶとい人間だ。残された者達も少ないながらも生き残った。つまり俺達、地上に生きる者は人類の落ちこぼれ達なのである。
何故コロニーの人間が戻ってこないのか?そして地上の人間がコロニーに行こうとしないのか?
そこんとこはよくわからない。しかし、それはそういうものなのだ。俺だって今の生活に満足してるとは言えないが、かといって宇宙に行く気も起こらない、どんな場所であろうと捨てられないのだ、そう簡単には。

シーン6に続く