赤い

ぼくの血は赤い、そう赤いはずだ。
今、この世界にはピリピリとした空気が漂っている。
虐殺。人間が人間を殺す。
それはあの日から始まった。

夜空に一つに流れ星がキラリと光っていた。あ、すげーと思っていたけれど、それは消えることなくぐんぐんと大きくこちらに近づいてきた。隕石の落下である。
その隕石自体は小さなもので、それが落ちたことによる被害はそれほどでもなかった。
はじめは報道陣や野次馬でたくさんだったが、やがてそんなことも忘れてしまうような事件が発生しだしたのだ。引きちぎられた人間の死体。何かに潰されたような犬の死骸。そんな事件がねずみ算式に増えていった。

そんな被害者の中に新聞社のカメラマンがいた。彼の死体は無残なのもだったが、幸いに彼のカメラは無事だった。新聞社はその写真を発表した。
それはなんと言おうか人間の体から何本もの触手が生えている、モンスターだった。
その写真をたよりに一人の男が容疑者として逮捕される。
その男は警察の前まではおとなしくついてきていたが、突如変化し警官二名をその「触手」で殴り倒し逃亡を計った。突然のことで驚いた警察官たちだったが、なんとか拳銃でそのモンスターを撃ち殺した。

モンスターは解剖される。
結果、彼は人間であり、ウイルスによる突然変異だということだ。
どうやらあの隕石に付いてきたウイルスらしい。そしてもうそのウイルスは蔓延している。
なぜなら殺人事件はまだ終わらないからだ。

全ての人が信じられなくなる状態。
世界は狂い始めた。モンスターの血は緑色だ、それだけが人間かそうでないかを判別できるモノだ。 どんな言葉も信用できない、ほとんどの人達がどこかに一人で隠れているこの状況。
恐怖のあまり「間違って」殺してしまうこともあるようだ。町には赤と緑の血のシミがあちら、こちらに・・・・。

ボクもひっそりととある家の奥に身を潜めていたが、どうも体の調子がおかしい、なにか風邪でも引いたのか、風邪?・・ウイルス?

だからボクはたしかめてみなくてはならない、もどれなくなる前に
なぁに簡単なことさ、今持っているこのナイフでちょっと指先にでもキズをつければいい。
赤だったらセーフ!
緑だったらアウト!だ。

赤い
ぼくの血は赤い、そう赤いはずだ。



わーむほーる