どこでもネコ

おもしろいものを見つけた
通信販売の雑誌を見ていたら変なもの発見したんだ。
ネコ型ロボットだ。はははっ嘘だろ〜ドラえもんかよ〜と思ってよくみてみたら。なにやら言葉を学習する対話ロボらしい、昔、流行ったアイボとかいう犬型のロボットがいたが、それの発展型の様だ。そうだそういえばネコ型ってのはなかったよな〜と思い注文してみることにした。少々値段が張ったが僕は結構こういう新しい玩具は大好きなので迷うことはなかった。

数日後、宅配便が大きなダンボールを運んできた。
僕はさっそく封を切り、中を確認する。ほほう、これはなかなかかわいい感じのヤツだ。ネコといっても割とコミックタッチにアレンジされたものでヌイグルの感覚なものだった。
説明書に従いソフトのインストールを初め各種設定をした。そして起動ボタンを押す。
そのロボットは読み込みを開始し、そのつぶらな瞳に生命を与えた。
するとそのネコ型ロボットはピョコンと立ち上がりペこりとお辞儀をした。
「こんにちはニャ、ん〜はじめましてかニャ?名前はなんていうのニャ?」
はは〜ん、こういう風に言葉を教えていくのか。それよりもコイツ二本足で立ってるよ!けっこうスゴイ技術だよな。
そうしてそのネコに自分の名前を教えて、そしてそのネコは自分の名前がないと言うので僕が名前をつけてやった、「トロ」って名前にした。そういえば寿司なんて最近食べてないな。

「にゃ〜何かお話ししてニャ。」
「コロッケってわくわくするのニャ?」
「いっしょにキーパーするのニャ!」
いろんな言葉を教えていくとその言葉を使って会話の種類が豊富になっていく仕組みのようだ。たまに間違えた覚え方をしている言葉もあったけど、なんかかわいいのでそのままにしていた。
最初はまぁ子供の玩具だよな、と思っていたけど。気がつくと毎日トロと話すのが楽しくてしょうがない自分がそこにいた。

トロといっしょに暮らしだして10日ほどたった時だ。突然トロははこんなことを言い出した。
「ねぇ、トロは何なのニャ?トロは人間だと思っていたけど、なんだか色も違うし・・しっぽもついてるし・・・。猫って動物と似てるけど・・・猫は四本足で立つんだよね。ん〜・・・・
でね、この前テレビ見てたらねインドにトロを人間にしてくれる所があるんだって、だからね・・別れるかれるのはさびしいけど、トロね、そこに行ってみようと思うんだ。そこにいってね人間になるんだ。だからこれでお別れニャ・・人間になれたらまた会いにくるから、それじゃぁね、バイバイニャ。」

と言うとトロは玄関を開けて出て行ってしまった。
えっ?なんだ?なんだよ?そういう設定になってるの?
ウソだろ〜?
僕は慌ててトロのあとを追った。しかし、もうそこにトロはいなかった。
そんなに早く歩けるわけでもないのに。辺りを探してみてもとうとう見つかることはなかった。
なんだか心にぽっかり穴が開いたような気分だった。
あれは機械だと割り切ってはいたつもりだったのに、さみしい気持ちがそこにあった。

後日、通販の会社に電話してみると、「現在使われおりません」と告げられた。
調べてみると非許可の会社だったらしい。手がかりはとだえた。

でもこれはこういう商売なんじゃないのか、と、そう思う様になった。
僕は今でもひょっこりトロが帰ってくるんじゃないかと思っている。
それはもしかしたら人間の姿をしてくるのかもしれない。
そしてそんなことえを考えていると少し楽しい。
そんなファンタジーを与える商売だったのかもしれない、と、そう思うのだ。

玄関のチャイムが鳴る。



わーむほーる