降臨


んー今日もいい天気みたいだなぁ。
一人暮しの大学生、ぐうたらな時間を楽しんでいる僕は昼過ぎにむくりと起きる。
のんびりだらりと生きている。
と、そんな空気を読めないやつが邪魔をする。

トントン。
と玄関のドアを叩く男。
「あなたは神を信じますか?」
あぁ、こんな人がまだいたのか。
男はこの世の全ての人間は罪を犯しており、それは許されるべきことではない。しかしそれを正す為に神が再びこの世に生まれ変わり我々を導いてくれるのです。云々、よくある救いの話を聞いてもいないのにしてくれた。
そして今度どこぞで集会があるのであなたも是非参加してくださいと言った。

もちろん僕は丁重にお断りをした。

しかしその男がしつこい男で。何故だ、どうしてあなたは真実を見ようとしないのだ!そんなことでは世界は不幸になるぞ!と、とってもおもしろいコトを言い出したので僕はその男に本当のことを教えて上げようと思った。

「あのね、あなたさっき神様が生まれ変わってこの世にやって来るって言いましたよね?それ実は僕のことなんですよ。はい、そうです僕が神の生まれ変わりなんですよ。」

「はっ?・・・え・・・いやそんなはずは・・」

「まぁあんたが信じようと信じまいがそれはどうでもいいことでだけど、本当のことなんですよ。だいたいあなた神様とか見たことないんでしょ?一体どうやって神の生まれ変わりの人見つけるつもりだったんです?まぁいいや。それでこの僕、神様からあなたに一言いわせてもらえばこの世は滅びませんし、あなたのやってることに意味はないです。そんなことしてる暇あるんなら働いてそのお金で募金でもしたほうが世の中の為ですよ。」

こういう対応されたのは初めてだったのだろう男は目を泳がせてマニュアルの言葉を探していたが、急に顔を紅潮させ「バカにするな!」と叫び走り去っていった。

やれやれ。
傍から見ればおかしな者どうしの会話だなまるで。
ん、あぁ僕が神様だって話かい?
本当だよ。
時々この世界にやってきてはのんびり世界を見ているんだ。
別に人間が何しようが基本的に知ったこっちゃないよ、楽しければそれでいい。
多少死んでもそれは僕にとってはちょっと残酷な娯楽にすぎないんだ。

それでそろそろ僕自身が登場してハデな演出を手がけたいんだけどさぁ、なんかいいアイデアないかな?
この前キリストとかブッダの名前でやった時は結構イイカンジで印象に残る登場と死をやったんだけど、ちょっとそれが強すぎたのかまだその影響が残ってるじゃない。
やっぱあれ以上のインパクトは難しいのかなぁ。
最近の映画とかゲームとかスゲェもんなぁ、多少のことでは誰も驚かないしな。
スピルバーグとかに演出頼もううかしら?
悩むところだよ。
でも実際、僕は神だからこの世界をポンと消滅させることもできるんだけどね。でもそれはまだ当分しないよ、だってさ、もうすぐドラクエの新しいの発売すんでしょ?僕もやりたいもの。

そうそうなんかさ、この時代は悲しい世界だ。とか言ってるやつ多いけど、何言ってんだか。おもしろいちゅーの。もっと楽しめよ、楽しむ為に人間の人生は短く設定したんだぜ。短いからこそ光るんだよ、バカ。
うん、神様の言うことなんだから、ちょっとは信じて人生楽しんでみなさいって。
ん?ああそうだな、とりあえず最後に聞いておこうか。

「あなたは神を信じますか?」



わーむほーる