キャリアアップ

■KODOMOUSAGI■




こどもうさぎと
あかいふうせん

■うーたんはうさぎです。
そしてうーたんはこどもです。
なのでうーたんは
こどもうさぎです。

■うーたんがさんぽしていると
ピエロが話かけてきました。

「おじょうちゃん、ふうせんは好きかい?」

「ふうせんは好きです」

「なに色が好きかな?」

「赤色が好きかも?」

ピエロはふうせんのたばの中から
ひょいと赤いのをつかみだし
うーたんにくれました。

■ふうせんは浮いているので
うれしい!
そして赤色はかわいいから
うれしい!!

あかいふうせんは
2倍嬉しい!!

「ありがとう!」

「どういたしまして」

うーたんはにっこりして言いました。
ピエロもますます笑い顔になった気がします。

■あかいふうせんを手に入れた
こどもうさぎは
大興奮!

とてもゆかいな気持ちで
スキップなんかしちゃったり
知らない歌を歌ったり
とても楽しい気分でした。

■ひらひらべたん。

「ひゃあ!」

なにかが顏にあたりました。
びっくりしましたが
よく見ると
それは
うつくしい羽をもつ
ちょうちょ
でした。

とてもきれい
あかいふうせんと
おなじくらい
きれい。

■しかし
その羽は
キズついていて
そのちょうちょは
生きてはいましたが
もう飛べないようすでした。

あぁ、このまま
もう二度と
青い空にもどれないまま
うつくしいちょうちょは
うつくしかったちょうちょは
消えてなくなって
死んでいなくなって
しまうのかしら。

うーたんは
かなしい気持ちに
なりましたが、

ふと思い付いて

■あかいふうせんのひもを
きように
ちょうちょに
むすびつけて

ぱっ、

と、手をはなしました。

あかいふうせんと
うつくしいちょうちょは

ぐんぐん ぐんぐん

空へとのぼってゆきます。

ゆっくり ゆっくり

上へ 上へ

のぼってゆくのです。

■ちょうちょは思いました。

もうとべないと
思っていたのに
もう一度飛ぶことが
できたわ。
うれしいな。
そうして今、わたしは
いままで生きてきたなかで
一番高く
高く 高く 空の果てまで
やってきたのだわ。
うれしいね。

あかいふうせんと
ふたり
2倍うれしいよ。

■こどもうさぎの
うーたんは
あかいふうせんを
手ばなして
少し、ざんねんな気持ち
でしたが、

どんどん空に
のぼっていく
あかいふうせんと
うつくしいちょうちょを
見るのは

なんだか
とても
すてきなことのような気がして
こころがどきどきしました。

■あかいふうせんが
ちいさな点となり
見えなくなってしまうと

いつのまにやら
もう夕暮れ

真っ赤な夕日が
うーたんの顏をてらします。

あはははは。
ふーせんが
でっかくなっちゃった。

こどもうさぎと
あかいふうせん

■おしまい。









わーむほーる