■HACHI■


■「うっかり八兵衛」と「忠犬ハチ公」を混ぜてみた。



●「忠犬八兵衛」

「おい!はちべえ!あんたは犬だ!小汚い犬畜生だよ!!」
「はい、その通りでございますご主人様!」

パチン!!

「ひぃ!」
「ご主人様じゃないだろ?あんたは犬なんだよ、なんで人間様の言葉を喋っているんだい?あぁん?」
「あ、その‥」

バチン!!

「ひぃ、、ワ、ワン!!ワンワン!!」
「ようし、よぅし、それでいいのさハチベエ。おまえは私の忠実なシモベなのさぁ」
「わんわん!!」
「うるさい!この犬畜生が!!」

バチン!!

「わ、わぉ〜〜〜〜ん!!」



●「うっかりハチ公」



その少し老いぼれた小さな柴犬は、はっと思い出したようにつぶやいた。

「あぁ、うっかりしていたワン。本当にまったくうっかりしていたのだワン」

そう、彼はもう本当にうっかり屋さんだったのだ。

「うっかり、うっかりだワン。もう…‥ご主人様は帰ってこないのに。本当にまたうっかりと…‥」



通い慣れた道を歩き
見慣れた駅前の風景へ
いつものようにご主人様の帰りを待つ。



本当はもうわかっているのだ。
ただ、ちょっとうっかりしてただけなのだ。
だけどもたぶん、明日もうっかりやってきてしまうのだろう。
わかっている、わかっているのだワン。
だけども、もう少しだけうっかりさせてはくれまいか。



あぁ、うっかり、うっかりだワン。



雪のちらつく寒空に、うっかりハチ公、ほて、ほてり。
天は鈍色、曇るとも、あなたの笑顔、いつまでも。






わーむほーる