緑色の

目が洗われるような緑が広がっている。

ここの全ては、とある人物の所有地である。
その人物は、大金持ちであったが、ぜいたくな暮らしはほとんどせず、その金の大部分を使ってこの広大な土地を買い、そこを、ジャングルのような密林にした。

様々な動物たちが暮らす森も、もちろん私有地であるから、人は入ることができない。また入ったところで肉食の動物たちも暮らすその環境では、人間なんてものはとても弱いものである。

そんな金持ちの行為を人々はバカにしたが、その男は別になんとも思っちゃいなかった。
彼は緑をながめて暮らしたかった、だけなのだ。
その森の端っこに彼の自宅はある。彼はそこでのんびりと、広大な、緑の大地を見て暮らす。
事業の方は多少縮小したが、彼がここで暮らしていくのに何の支障があるわけでもない。

そんな暮らしを皆はしたくないのかね?と言ってはみるが、皆は金儲けに紛争していて、そんな彼を「世捨て人」だと、見向きもしなかった。
しかしそんな皆のことも彼にとってはどうでもいいことだ。
森をながめて暮らすのだ。

そして、その森は独自の進化を遂げ、新しい動物、新しい植物が生まれ始めた。

その中のつる科の植物から、ある成分が発見される。

それはエイズの特効薬となる。

彼のふところには大金が舞い込んだ。

彼は嬉しかった。

これで、また、森が大きくなるね。



わーむほーる