不動産検索 ハウスクリーニング

■GA■




「蛾の大移動」

雨の中、傘をさして自転車を漕いでいると、蛾が一匹迷い込んで来た。
蛾は私の自転車のスピードに合わせて雨宿りをしながらの大移動を始めたのだ。
ほほぅ、これは蛾にとって大冒険ではあるまいか。

少しすると木陰からもう一匹、さらに一匹と傘の下の蛾は数を増やし、なんだかにぎやかになってきた。
おいおい、もうこれ以上入れないぜ。
と思う間もなく蛾はその数を増やし

遂には

何百何千の蛾が私の傘の元に集まり
自転車のスピードに合わせて前に、前へと進むのだ。

もう既に雨中、私の姿は蛾のカタマリが傘を指して前進している様に見えるのではないのか。
傘を畳むとか、自転車を止めるとかいう考えが起きなかったのが不思議だ。
私は一心不乱にペダルを漕いで、彼らとの大移動を楽しんでいたのだ。

ふと、ペダルの重みがなくなり、いきおいあまりカラカラと私の足は空回りする。
ふわりと。
不思議な蛾のカタマリの様な存在と共に、私と自転車は空に舞い上がったのだ。

前へ、前へ!
進め、進め!
空へ、空へ!

私達は傘をさしたまま雨雲を突っ切り、雲の上に!
もちろん雨はやんでいる。
月は輝き、その光に照らされた蛾は、とても美しかった。

さぁ、子供たち!
伯父さんの大冒険はそうやって始まったのさ。
続きはまた明日だ。
おやすみ。









わーむほーる