それを森の外れで見つけた少年の名は「ポムタ」
もちろんポムタが見つける少し前まではその男は生きていた。
男の名は「バグマ」
冒険家として生きてきた。
龍の卵を見つけるため大きな険しい山を登ったり、
海の底にある宝物のために巨大イカと戦ったり、
地底人が住むといわれる洞窟を探検したり、
世界中を冒険した。
もちろん危険な目にも何度もあったが、なんとか無事に生きてこれた。
そうしてバクマは冒険の日々を送っていた。
でもバクマはもう年を取りすぎていた。
次の冒険でもう最後にしようとバクマは思った。
その最後の旅の途中、一つの村に立ち寄った。
一人の少女が重い病気にかかっていると言う。
その病気を直すには猛獣が住む山に咲く、紫の花がいると言う。
バグマはまかせろと山に入る。
でもやっぱりバグマは年を取りすぎていた。
ちょっとしたミスで猛獣に噛みつかれた。
そして足をすべらせて谷底に落ちてしまったのだ。
それでもバグマは生きて、這って、進んできたが
この森で死んだ。
ポムタは死んでいる男の手に紫の花が握りしめられているのを見た。
もう一方の手には手紙があった。
死ぬ前に書いたものなのだろう、
とある村の少女にこの花を渡して欲しいと書いてあった。
ポムタはその紫の花を手にとって見た。
きれいだな、と思った。
村に着いて、少女に花を渡した。
ありがとう。ありがとう。とたくさん言われた。
少女の病気はよくなっていった。
ポムタは自分の村に帰る。
数年後ポムタは冒険家になった。