ディエロン

WAY to Go

「で、どこから手をつけたらいいんだ?」
小早川伸哉は魔女であるところのサキの家の中でなげやりに聞いた。
「あーそうねーとりあえずあなたにはコノ世界の魔法の仕組についてみっちり学んでもらうわ。とりあえずそこの本読んどいて。」
サキはその小さな体をちょこまかと動かしながらそう言った。
「はいはいっと。」
しかしこの国の文字なんか僕読めないんだけどなー。そう思いながらも伸哉はそのなんだか薄汚れた本のページを開いた。
おおっなんだ日本語じゃん。これならいけそうだな。しかしなんで日本語なんだ。と他の本も開いて見たがその一冊意外はまるで見たこともない文字だった。
「つまりはこれを読むしかないわけね・・・・。」
そう観念した彼だったが。実際のところかなり興味をそそられていた。妄想世界にある日本語の本に。

作者は李白栄。

本といったがどうもこれは手書きの本らしかった。たぶんこれ一冊しかないのだろう。
読んでみて驚いた。この作者はココを妄想世界だと理解している。・・・つまりは彼はこの僕と同じようにこの世界に引きずりこまれた人間なのだ、それも長い間この世界に滞在しているようだった。
そして、この本の本題である「魔法」のことだが、これが意外なほどボクの頭にすんなりと入ってきた。
この世界には科学文明がそれほど発達しておらず、そのかわりに魔法の文化が育ったらしい。
つまりは魔法を科学、ひいては機械文明に翻訳してやればいいということだった。
魔法、それはコンピューターを使った行動と置き換えられる。簡単に言えば魔法という見えない「コンピューター」を呪文という名の「プログラム」で動かす、と言ったところか。
文章はそこら辺のことを分かりやすくかいつまんで説明されていた。
伸哉は夢中になって読んだ。彼はコンピューター関係など体系的なものに強い、なにより世界の組み合わせのようなものが大好きだった。
途中まで読んだところで、試してみることにした。

「・・・・・・・・・・・・・・。」

呪文体系にのっとり「マホー」のプログラムを唱える。

カッ。
伸哉の手のひらがまばゆい光を放つ。
光の玉のようなものが手から放たれ少し離れたところで小さな炎となった。
部屋が一瞬オレンジに染まる。
「あら、シンヤ。もうできちゃったの?つまんないなぁ、ちょっとしごいてやろうと思っていたのにー。・・・まあリー先生の言った通りだな。」
「おいおい、マジでできちゃったよ!なぁなぁサキすげえね。僕天才?」
「ふっ、チョーシのってないで、それ最後まで読んで理解してよね。」
「おーやるやる、断然やる気でてきたよ!・・・・・ん、今言ったリー先生ってこの本書いた人か?サキ?」
あいかわらず作業を進めているサキは「そうだよ。」と言って、また作業を再開した。
ん、まぁいいか。とりあえずこれが終わらないと先には進めないわけだね。
ゲームみたいだな、まるで。

コンティニューは無しのゲーム。

GO11