「なんなんだあんたは?」
「オレか?オレは悪魔だ」
「で、その悪魔が私に何の様だ?」
「ふん、オレを悪魔と知ってもその冷静な態度、気にくわねぇな。まぁ、それ以前になにかオマエはオレのカンにさわるんだ。」
「で、どうしようと?」
「きまったこと、オレの力でオマエの想像しうる最悪な出来事を起こしてやるだけさ」
「ふーん」
「ムカッ、やっぱり気にくわねぇ、まぁ直接手出しはできない決まりだが、最悪な出来事ってのは些細なことから始まる。オレはその些細な出来ことを起こしたり起こさなかったりするわけだ。さぁ、想像しろ、オマエにとってもっとも苦痛を伴う未来を!」
「つーか悪魔に出会うってのが既に最悪な気がするが、まぁあんたとは一つだけ気が合うところがあるな」
「なんだと、オレはキサマなどと同じ所などない!」
「そこだよ。あんた、私が嫌いなんだろう?私も同じさ、あんたが大変に気に喰わねぇ!!‥‥ってことさ」
「ふん、ほざいてろ。キサマはオレ様に取り憑かれたのだ、もうキサマの人生など終わったも同然だ!!ふはははははは!!」
「ふぅ、、いや、ありがとう。」
「‥‥なに?」
「いや、これからあんたは私の人生の邪魔をするのだろう?それもそれが悪魔の原因だとはわからないように?」
「そ、そうだが。‥‥そうだぞ!オマエは最悪の人生になるんだ!!」
「よかったー、いやー本当に参ってたんだよ。未来は誰にもわからない。将来どうなるか神にだってわからない。だけど私の人生は君によって確かな道へと決められた!」
「‥‥えっ?いや、最悪の人生なんだぞ?」
「そうだ、最悪の人生だ。しかし、それが既に決定していて、くつがえせないことであるのなら。それは幸せなことだ。希望を持って挫折することもなく、努力をしても報われないのだから努力する必要もない、もし何か重大なミスを犯してもそれはそれ、全てあんた悪魔のせいに出来る。素晴らしい!なんて開放感だ!私はこれから何に迷うこともなく自由に、自由に生きてゆける!ありがとう!ありがとう悪魔!」
「な、なな、なにを!なにを言っているサキマ!言うな、言うな!それ以上言うなーーーッ!!!」
「ステキだ、あんたは素敵だよ!そう、まるで神様みたいだッ!!」
「ギャーーーーー!!!」
一秒先がどうなるかさえわからない
不安と恐怖に満ち満ちた未来に向かって
私は今、揚々と一歩を踏み出した。