生命の星(第14回)
〜始まりと終わり2〜

「そんな・・そんなこと信じられないわ。だけどもしそのことが本当だったとしてもあなたがそんなことを決めるなんて、私はそんなかってなこと許せない!」

とにかく何か言わなければ私は落ち着くことはできなかった。そんなきまぐれで私のこれからの人生をナシにするなんて、イヤだ!

「ふぅん。だけど君もいつも思っていたんじゃないのかな?こんな最低な世界なんて壊れてしまえと。」
「そ‥それは。だけどイヤなものはイヤなの!私の人生よ。私の好きなようにやらしてよ!」
「ふふふ、本当に?コレカラは自分で?・・・・できるのかな君に。さあ思い出してごらん、これまでの君の人生で自分自身で決めたコトなんてあったのかな?誰かから言われたコト、誰かのまねごと、あなたにしかできないコト。」

ははハハははははははは。渦を巻く笑い声。
彼の姿が眼前から消える。
広がる映像。私のこれまでの人生の映像。私自身の目で見てきたもの。
楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、悔しかったこと。全てが流れていく。
しかしそれら全部たしてもいつか見た「つまんないなぁ。」と思った見てたテレビドラマよりも面白くなくて、私は無意識のうちに「チャンネルを変えよう。」と思いリモコンを探し始める。だけれどもどこにもそんなものはなく、目は映像を見たまま、手だけがせわしなく動く。

イタイ、痛い痛い!分かっていいるんだ、そんなことは。だけどだけど。コレカラハ・・・・・。

画面の視点が変わる。私の後頭部が見える。
そのまま視点はゆっくりと後ろにさがっていき、私の後ろ姿が映像に収まる。
その、前にいる私は何かに気付いたのか振り返る。
振り返る私。
その顔は

‥‥私じゃぁなかった。

誰?

だけど、それじゃあ今まで見てきた人生は?私の人生じゃなかったって言うの?

「君の人生に似た体験をしたものは何人でもいるんだよ。」
ルーシーの声だ。
目の前の私じゃない誰かはそんな声で喋りだす。
「君が今日着ている服と同じ服装の人間はこの世界に何人もいるだろうね。それと同じだよ。君と同じ体験をしている人間だってごまんといるのさ。」
彼は髪をサッとかき上げる。髪は伸び、その肉体は変化し、再び私の目の前には彼の姿。

「さあ、もうそろそろいいだろ?私に時間は沢山あるが、無駄なことはしたくないのでね。」

私は少しは理解したつもりだ。だけどもやっぱり・・・・。
「でも、やっぱりイヤ。そんなこと許せない私は私で決める!あなたの好きにはさせない!」

「で、どうするの?」

「えっ。そ、それは・・・・・・。」

するどい視線が私を射抜く。
顎に手をあてじっと私を見ている冷たい目。
そして沈黙。
その間が何年にも感じられる長い長い静寂。

私は汗をかいていた。その水滴が頬をつたい顎から下に落ちる。

終章へ

はいはい
あとちょっとだけ
ごゆるりと