そろそろあなたもヤバいっス

  偶然あの娘と町で出会ったりなんかして
僕は動揺を隠すため無表情
いつもと違う服だからわかんないかんなって
なんだかいろいろ考える
見ないふりして
実はその娘の顔をちらりちらり見ていたのですよ
ちょっとこっちを見たような気がするけど
気ずいているのかいないのか
僕は電車の時間があったので
ただすれちがっただけで終わった数秒の時
なんだかなぁ
これってやばいよねぇ
あれかな
やっぱ声でもかけときゃよかったかな
脳のなかでぐるぐると

駅から本屋へ向かうとき
突然
前に気になるあの人が
こっち向かって歩いてくるよ
この近所に住んでるのかな
どこいくんだろ
「こんにちは」
って言ったらびっくりするかな
けど、あんた誰?とか言われたらヤだな
何考えてるんだろ私
言えないくせに
顔赤くなってないかな
こんな気持ち
知られたくないけど伝えたい
ああっ、行っちゃった
心のシャッター、パチリと押して脳に映したあの人の顔
やばいよねぇ
この感じ

コンビニで立ち読みしてたら
ガラスごしに見たような顔が歩いてた
二人
たぶん同じ学校のヤツらだ
二人はいっしょに歩いていたわけじゃなくただすれちがっただけ
けどそんな二人はどうでもよかった
オレね昔から変なもん見るのよ
交差点とかでちぎれた体をずっと見てるヤツとか
がけの下から浮かび上がる泣いてる顔とかね
いわゆるユーレーとかボーレーとかいうやつね
最近はもうなれたからたいして気にもとめなくなってたんだけど
二人の頭上50センチ位のところを浮かんでやがるヤツにはちょっとびびったね
ガキだよ
赤ん坊がちょっと大きくなったくらいの
白いんだよなんとなく
そんでもって背中にあったわな
鳥みたいな白い羽
あんなので飛べんのかよとか思うほど小さな羽
にこにこ笑ってましたわねマジで
やっぱりあんだよな頭の上に
なんだかほわんと光っている輪っか
うわーメルヘンだよ
こんなの嫌いなのよオレは

と思ってたらなんか頭の上で
ぱたぱた
ぱたぱた
って微かに音がしたような気がしたんだね
オレは頭の上を見ようとはしなかったけど
思ったね
そろそろ年貢の収め時
やばいよなぁこれは

わーむほーる