生命の星(第3回)
〜お話し〜

昔々西の果て、とある国で長い長い戦争が続いていました
あまりに長いので国の人たちは悲しい気持ちでいっぱいでした
楽しい気持ちはどこにいった、ルーシーは思いました
きっと誰かが取ったんだ、ナティは思いました
二人は楽しい気持ちを探す旅に出ます

「ねぇシンちゃん聞いてる?。」
黒い髪に青い瞳のアリスは言いました。
シンイチは絵本をじっと見たまま動きません。
「聞いてるよママ、早くつづきを読んでよ。」
シンイチはこの絵本が大好きだった。なぜだかわからないけど不思議な魅力を感じていた。
だからママにせがんでは何度も何度も同じ話を聞いている。マリアもよく飽きないものだわと思ってはいたが子供に本を読んであげることは好きなので何度でも読んで聞かせていた。
「それじゃつづきね。」
シンイチは絵本の中の二人を見つめる。

ルーシーとナティは丘の上で一人の老人に会います
おい、じいさん楽しい気持ちはどこにある?ナティは言います
僕たちは楽しい気持ちを取り戻しにきたんだおじいさんはもっているの?ルーシーは言います
ああ持ってるともさ、だけどもこれはワシのものでおまえさんたちのものとはちがうなぁ、老人はパイプから大きな煙の輪を二つつくって言った
どこにある?
だれがもってる?
それならば北の山に住む魔女を尋ねてみるといい、老人はそう言うと地面の中に消えていきました

魔女は暗い洞窟の中で一人で暮らしていました
私は声をあやつるもの、魔女は言います
何が知りたい
楽しい気持ちをつかまえる方法だ!二人は言います
仲間をつくるのだ、いついかなるときもともに歩いていける仲間、私の中には十六人の仲間がいる、私は一人であり一人でない存在だ
僕らは仲間だよ!二人は声をそろえて言う
それはわからない、また不確かなものだ、他人の心というものはわかっているつもりでもそれを確かめることはできない、共有をしなければならない、私は身体共有の術をあみだし、永遠なる仲間を創った
おまえたちも私の仲間にならないかい?
魔女は微妙なる笑みをつくる
少しの沈黙のあとルーシーは言います
あなたと仲間にはならない
ナティは言います
それよりも僕たちを一つにしてくれ
できるか?
おもしろいな、そんなことを言うヤツは初めてだよ、私以外の共有者というのは見たことがない興味をそそられる、やってみようではないか
魔女は大きな声で笑ったあと
二人に術をほどこしました

不思議な気持ちだ
不思議な気持ちだ
黒い瞳はナティの目
緑の瞳はルーシの目
右手は?左足は?だんだんわからなくなってくる
僕はルーシー?僕はナティ?二人じゃない、一人だ!
それから彼らは、いや彼は

ガタッ

第4話へいきましょう

どこまでつづくか
次いってみよう
サイコー