お話し(1999年のゲームキッズ偽)

「うわ!なにこの部屋きったな〜い」
僕の部屋に入っての初めの彼女の言葉がこれだった
「一人暮しでパソコンオタクでアニメ好きの部屋ってみんなこんななの」
「うるさいなあ、そんなこというなら入ってくるなよ」
「‥‥ねえ あれなに?」
彼女は部屋の隅にかなりのスペースをとっている銀色のものに目を向けていた
「ああ、あれね」

それはちょうど少し大きな冷蔵庫のような感じのもので正面にとってが一つ 付いている、それだけで彼女の目には何に使うものなのか理解らないだろう
「電磁波って知っているかい?」
「なに?電気?」
「ちがうよ 電磁波!まあ電波みたいなものだよ今、けっこう問題にされて いるんだTVとか携帯電話とかから出ているからどこかしこでも人は電磁波 を浴びているんだ その電磁波が人体に悪影響あたえるんじゃないか、って ことなんだ」
「ふ〜ん であれはその で・で・電気波に関係あるの?」
「電気じゃなくて電磁波!!」
「どっちでもいいじゃないのよそんなこと〜これだからオタクは」
「‥‥まあいいか でね、この電磁波をなくせば人体にとってもいいことは理解 っているんだけどね、この現代社会で電磁波を無くすのは不可能なんだ。  けど、だったら電磁波のないところにいけばいい。そこにいけば体は健康に なるだろうし頭も冴えるし美容にもいいかもしれない‥‥  そんな空間がこの鉛製の箱のなかにあるんだ」

そう言って僕はその扉を開けた。ここに入れば電磁波だけでなく外界のすべて のものが遮断されまさに自分だけの精神空間ともいえる場所ができあがる
「へ〜美容にいいの?本当?‥ちょっと入ってもいい?」
「ああいいよ すごくリラックスできるよ」
そういって僕は箱の中に彼女を入れて扉を閉めた
中は音もなく窓もないから完全な闇になる
そこで頭の足りないあの女は何を考えるのだろう
僕はその扉に鍵をかけワゴンの後に積み込み
予定通り港に向かって走らせた

わーむほーる