「天高く、雲は流れ」の既刊情報&感想
著者 冴木忍 レーベル 富士見ファンタジア文庫

表紙画像のリンク先はbk1です。

天高く、雲は流れ 1 タイトル 天高く、雲は流れ 1
初版 1995/7/25
ISBN 4-8291-2632-9
感想 (あまりに昔に読んだので感想省略)
天高く、雲は流れ 2 タイトル 天高く、雲は流れ 2
初版 1995/10/25
ISBN 4-8291-2654-X
感想 (あまりに昔に読んだので感想省略)
天高く、雲は流れ 3 タイトル 天高く、雲は流れ 3
初版 1996/10/25
ISBN 4-8291-2708-2
感想 (あまりに昔に読んだので感想省略)
天高く、雲は流れ 4 タイトル 天高く、雲は流れ 4
初版 1998/1/25
ISBN 4-8291-2792-9
感想 「マンネリ」「二番煎じ」と言われるかも知れません。 でも私は好きです。この優しさ、悲しさ、せつなさが。
「夢天」が「星の大地」を連想させるように、 これを読んで<卵王子>を思い出した人が多いのではないでしょうか。 そしてパジャとカイルロッドを、テティとミランシャを重ね合わせたんじゃないでしょうか?
それでいいと思います。少なくとも私はそれを二番煎じだとは思わない。
そしてパジャ、あなたはきっと幸せにはなれない。そんな気がするのです。(1998/2/1)
天高く、雲は流れ 5 タイトル 天高く、雲は流れ 5
初版 1998/7/25
ISBN 4-8291-2823-2
感想 特にこれといった取り柄はないですし、ストーリーもあまり進んでいません。 でも、この雰囲気がとても好きです。これで良いんじゃないかと思います。
文章が奇麗で、といっても飾り気があるわけじゃなくて、さりげなくて爽やかなんですよね。 読んでいて、とても落ち着きます。 このシリーズが何巻まで続くのか、今のところ予測できませんが、 最後までこの緩やかなペースを守っていって欲しいですね。
ちょっと影のあるオルジェイが心配ですが...。(1998/7/31)
天高く、雲は流れ 6 タイトル 天高く、雲は流れ 6
初版 1998/10/25
ISBN 4-8291-2849-6
感想 このシリーズって、<卵王子>と違って、全体のストーリーよりも 1話1話のエピソードを重視するようになってきましたね。 特に今回はライフォンもユメも出てこないし、パジャもチェリンカもほとんど出番ないですし、 前巻の終盤〜この巻だけで独立した話と考えてよさそうです。シロももう出てこないでしょ。(^^;
恐らく、作者はアンクとハガル、そしてその一族について書きたかったでしょう。 親殺し、子殺しはファンタジーの基本って言いますけど、 ここまでやってくれると、なかなか陰湿なものがありますねぇ。(^^;
でも出来栄えは相変わらずGoodです!マンネリだけど切ないハートフルファンタジーは健在です。
ああ、しかしロスメスタはまた余計なことを...次巻の口絵はパジャで決まりだな。(^^;(1998/10/31)
天高く、雲は流れ 7 タイトル 天高く、雲は流れ 7
初版 1999/4/25
ISBN 4-8291-2882-8
感想 これはですねぇ...あんまし売れないかもしれない(^^;。 冴木忍ファンには売れるだろうし、私も大いに共感するところはあるのですが、 いかにせん繋ぎのストーリーだし、アクションも少ないし、やばいなぁ...。
面白いですよ、はい。ただ冴木ファン以外に対して訴えるものがないのです。 この作者は恐らく末永く売れるでしょう。 切なさ、優しさ、冷酷さという面でやはりこの作者は素晴らしいものがあります。 でも良さが分かるまでに時間が掛かりますから、こういう作風は大ヒットにはならないのです。 流行に流されずに作者の思う所を追求してくれれば、それで良いのですけれど、 やはり沢山の人に読んでもらいたいのですよねぇ...。
キャラはオルジェイとテンシャ、この2人の悲惨さに尽きます。(1999/5/2)
天高く、雲は流れ 8 タイトル 天高く、雲は流れ 8
初版 1999/8/25
ISBN 4-8291-2905-0
感想 つくづく思うのですが、ファンタジア文庫って素晴らしいですよね。 神坂一、秋田禎信といったバリバリの超売れ筋を前面に押し出すのは当然として、 冴木忍の様な落ち着いた作家もちゃんと発掘し、育てているんですから。 ルゲイラングもあるし、私は密かに期待してしまうぞ。
で、天雲8ですが、イケてます。渋いぞ、パジャ。 なにかもう主役がパジャとオルジェイという典型的な冴木キャラ2人になってしまいましたね。 やはりフェイロンでは役者不足なのです、悲惨じゃないから。(をひ)
なんだかんだ言ったところで、キャッチャーでハチャメチャなものがウケる時代。 でも冴木忍はその中で頑なに自分のスタイルを貫き通して、 少しずつではあるけれども、本当に純粋なファンを獲得しています。 時間は掛かるけれども、良いものは良いと分かってくれる現実世界の包容力に感謝です。(1999/8/28)
天高く、雲は流れ 9 タイトル 天高く、雲は流れ 9
初版 2000/7/25
ISBN 4-8291-2978-6
感想 これほど救いのない話は珍しいです。意外ですし、なんとも虚しいです。 せっかくフェイロンがギャウルーの暴走を止めたのに、 それをライフォンが全て台無しにしてしまうとは...。 いや、本当はそんな事を言いたいんじゃなくて、 派手な大立ち回り抜きで、 憎悪と疑心暗鬼で藩王家が自滅して行くストーリーに感心しました。 そう、これが冴木作品、冴木忍流のファンタジーなのです。
個人的には王位を追われたオルジェイの行方が気に掛かります。 いつのまにか完璧に主役になってしまったパジャも、 まさか死んでないですよね。頼むよジャンガン。
次の舞台は第五藩王地か第一藩王地なんでしょうが、 都に戻ってからの話を入れると、あと4、5巻で完結でしょうか。 とにかく、ゆっくりマイペースで書き続けて行って欲しい作品です。(2000/7/29)
天高く、雲は流れ 10 タイトル 天高く、雲は流れ 10
初版 2001/2/25
ISBN 4-8291-1333-2
感想 幸薄い冴木作品の真骨頂! 後ろ向きなオルジェイがどんどん私を暗くさせてくれました。 この静かさがたまらないんですよ。この人の作品の良い時は。
「ルゲイラング」の失意から、 人気シリーズの新刊を出すことによってかなり持ちなおしたのではないでしょうか。 マンネリではありますが、それで良いんです。 この作風が続く限り、流行り廃りとは無関係に心を落ち着かせてくれるこの作者の本を私は読み続けます。
深い心理描写が業界の主流になりましたが、 冴木作品の昔ながらのハートフル路線はそもそも目指すところが違うようですね。 あくまで淡々と物語を語っていく。 それがこの作者の余裕なのか限界なのか分かりませんが、 何年か後にファンタジー全体の流れが変わってしまっていても、 やはり冴木作品は今のままのスタイルでいてくれるような気がします。 そしてその時に、またこの切なさが再評価されると良いな、と思っています。(笑)(2001/3/2)
天高く、雲は流れ 11 タイトル 天高く、雲は流れ 11
初版 2001/9/25
ISBN 4-8291-1378-2
感想 もはや作者は1巻ごとに区切れの良いところで終わらせようなどとはこれっぽっちも思っていないようですね。 でも、まぁ、しかし、良い味出してます、冴木忍。これです、これ。この自然体で良いんです。
さらに典型的な冴木キャラ、パジャの復活。不幸です。やっぱり不幸です。(笑)
冴木作品というのは、今までに何度も書いたように、 淡々とハートフルな物語を紡いでいくものなのですが、 あえてスレイヤーズ、フルメタ、棄てプリといった ファンタジア文庫&ドラゴンマガジンの売れ筋作品と共通項を探すならば、 それは基調があくまでシリアスにあるという点ではないでしょうか。 そして冴木作品にギャグとシリアスの間の極端な落差がないのは、 そもそもそんなものが必要ないからだと思えるようになってきました。
「ルゲイラング」みたいに中途半端では駄目ですけれども、 この「天雲」の様に切なさを塗りこめていく作品では、 シリアスな基調に時折ささやかなユーモアを挟むくらいがちょうど良いのですよ、きっと。(2001/9/24)
天高く、雲は流れ 12 タイトル 天高く、雲は流れ 12
初版 2002/8/25
ISBN 4-8291-1453-3
感想 いよいよ主役達が決戦場に集まってきました。 パジャ、フェイロン、ロスメスタ、みんな良いキャラになりましたねぇ。 特にパジャがフェイロンと分かれて行動する羽目になっていたことが、 ここに来てとても効果的に雰囲気を盛り上げています。 そしてライフォン!良い!悪役だけど付いて行きたくなる魅力があります。 もちろん最後はライフォンが負けちゃうんでしょうけど、滅んでも印象に残るでしょうね。 いやこの作者のことだからなぁ・・・「星の大地」みたいなとんでもないラストになったりして。(笑)
最近のシリーズはどうも調子をつかみ損ねているような冴木忍ですが、 こうした数年前から続けているシリーズは今でも味のある作品を書いてくれます。 流行りのハートフル作品のように心理描写を前面に押し出している訳ではないですが、 ツボはちゃんと押さえて懐の深さを見せています。 なんと言っても、この人の本を読むと安らぐんです。(笑)(2002/9/15)
天高く、雲は流れ 13 タイトル 天高く、雲は流れ 13
初版 2003/2/25
ISBN 4-8291-1493-2
感想 春であります。私が精神的に危機に陥る時期であります。 そんな時にこれを読めたのは救いでありました。やはり冴木忍作品は、私の魂の原風景のようです。
この人の本は、特に今回などは一体どこが良いのか説明するのがとても難しいですね。 「ドラゴンズ・ウィル」「ブギーポップ」以降の分析的で赤裸々な心理描写も好きですけれど、 冴木忍作品はそれとは別の、綴っていく文章の中から控えめに香ってくるような心理描写を持っています。 そういうすべてを語らないやさしさも好きです。 「ルゲイラング」の時の空回りのように、いつも上手く行くとは限らないのですが、 今回のように良い出来だといつまでも冴木忍作品を読んでいたくなります。
しかし私はこのシリーズをもう7年も読んでいるんですね。時間が流れるのは速いものです。 7年の間にパジャは打たれ強くなり、ライフォンは随分人間らしくなりました。 ライフォンが敗れるのは分かりきっていますが、どんな結末が待っているのでしょう。(2003/3/5)
天高く、雲は流れ 14 タイトル 天高く、雲は流れ 14
初版 2003/10/25
ISBN 4-8291-1550-5
感想 ストーリーが大きく大きく進みました。 ライフォン陣営、フェイロン・パジャ・ロスメスタ陣営とも今までになく都で活発に動きました。 というか、もう勝負あったなという感じですね。フェイロンの勝ちです。
悪行の限りを尽くしたライフォンですが、ここにきて悲しい面ばかりが目立ちます。 それでも腹心セチェンがいたからなんとかなっていたのに、 そのセチェンも失ってしまって孤独街道まっしぐらです。 完結まであと1、2冊だと思いますが、ライフォンには悲しい結末が待っているのでしょう。
フェイロン、ライフォン、セチェン、パジャ。 彼らの置かれた状況は、最初の時点ではそんなに違いはなかったはずです。 なのに結果はこうも違ってしまった。 どうしてなのか?フェイロンやパジャの強さとは何なのか? 作者の書きたかったことがそこにあるように思います。 今流行りのバリバリの心理描写はありませんが、 こういうオブラートに包んだようなハートフル・ファンタジーも、やっぱり好きです。(2003/11/23)
天高く、雲は流れ 15 タイトル 天高く、雲は流れ 15
初版 2004/9/25
ISBN 4-8291-1649-8
感想 サイトを始める前から読んでいたこのシリーズも、とうとう終わりました。素晴らしい。 悪役を倒すようなありきたりなパターンでないところも、 すべてを書かずにエピローグを読者の想像に任せるところも、本当に素晴らしいです。 特にパジャやオルジェイを巡る心理描写は秀逸。 冴木キャラは不幸だと言われますが、不幸であればあるほどその描写が見事になります。
思えば、この人の作品をもう60冊以上も読んできました。 このやさしくせつない作風が売れた時代はもう過去のものになりました。 はっきり言ってもう冴木忍は人気作家の座からは半分以上転落してしまっています。 けれども私は冴木忍作品を読んで何度も泣きましたし、それを忘れることなどできません。 むしろ、今のライトノベルが忘れていってしまったものがここにあるんじゃないかと思ったりもします。
かつてほどのペースでなくても良いので、良い本を出していって欲しいものです。(2004/9/29)

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