「扉の外」の既刊情報&感想
著者 土橋真二郎 レーベル 電撃文庫

表紙画像のリンク先はbk1です。

扉の外 タイトル 扉の外
初版 2007/2/25
ISBN 978-4-8402-3717-8
感想 主役の少年の性格が破綻しているので、キャラクター小説として感情移入して読むのは難しそうですが、 作中に登場する対戦ゲームをコミュニケーションツールとして機能させるユニークな作品です。
SFとして必ずしも斬新ではないかも知れませんが、対戦ゲームが結果的に物語を紡ぎ出すこと、 そのゲーム上の物語にゲームをプレイしている主人公たちが支配されてしまうこと、 つまりゲームの中の方が現実よりも物語の強度が強くなってしまうことにはハッとさせられました。
一方ゲームの外では、主人公はなぜか委員長たちにモテまくるという美少女ゲームさながらのご都合主義的展開を演じながらも 大した物語を作り出すことも無く退場していきます。 特にラストは評価の分かれるところでしょう。 個人的には、作品全体の構造からすると主人公が舞台から中途半端に弾き出されるこのラストが良いんじゃないかとなんとなく思うのですが、 他人に同意は求められない……よなぁ。
続編が出る見込みなので、続きも是非読んでみたいと思います。 電撃の新人シリーズは大抵3巻までは続くので2巻でも決着は付かないでしょうけれど、 次は設定をどう応用してくるのか非常に楽しみです。(2007/4/30)
扉の外2 タイトル 扉の外2
初版 2007/5/25
ISBN 978-4-8402-3849-6
感想 とりあえずネズミのミッキーを最初に吊るしたのはGood!
1巻より主人公の性格が良いので読みやすいと思います。ですが、尖り具合は減ってしまいました。 個人的には見えない相手をゲームで葬り去る無機質な不気味さが好きだったのですが、 今回はゲームの相手が見えているので、ドロドロな割にはあまり怖くないです。 1巻が好きな人は2巻は物足りなく、1巻が向いていない人は2巻が好きそうです。 こういう作風の変化はシリーズで売る場合のネックになってしまいそうで心配です。 カラー口絵が豪華(しかもゲーム仕立て)なのに対して挿絵が極端に少ないのは作品に合っていますけれどもね。
細かいところをツッコむと、鳥籠の設定はかなりアラがあると思います。 男子生徒が中に入った場合トイレはどうするつもりだったのかとか、 シャワーの水やかけられたコーヒーって下に落ちるよなぁとか、 下にクッションやソファーを置けば鳥籠が落ちても大丈夫なんじゃないかとか。 あと紙製の下着が水に流れてしまうという1巻の設定が活かされていないのが(ゲフンゲフン)いや、活かされなくて結構ですが。
ラストはやはり次巻に続くかたちになりました。次巻で決着が付くのか、もっと長く続くのかは人気次第でしょう。(2007/5/27)
扉の外3 タイトル 扉の外3
初版 2007/9/25
ISBN 978-4-8402-3980-6
感想 あああああ。オチない。オチてないよぉぉ。
最後までスリリングで、メッセージ性が強くて惹かれる作品でした。 でも、オチがつかないんだったら、オチがつくように予感させる伏線を書いては駄目ですよ。 どう贔屓目に見ても投げっぱなしということになってしまいます。 無論、最初からオチがつかなそうな作品ではありました。 ならばもっと開き直って「これはオチはないんだよ!」と宣言しておくべきだったのではないでしょうか。
尖り具合は1巻が最たるもので、だんだんマイルドになりましたね。 3巻のゲームもそれなりに不気味ですが、バーチャルなイメージが読者に受け入れられやすい分、 1巻、2巻ほどの得体の知れなさがありませんでした。ただし、その分読みやすいです。
結局このシリーズは、ゲームと言う一見お遊びに見えるものをコミュニケーションツールとして使い、 コミュニケーションの難しさ、集団意思決定の難しさを描き出すものになりました。 まぁ、そういうふうになるよう誘導するルールのゲームなので当然の結末なんですけれども、 結末うんぬんよりもそこに至る過程を描くのが上手かったです。 記録には残らないけれど、記憶に残る作品、と言えるのではないかと思います。
この人は多分、もっとわくわくするものを書けると思いますので、次回作も読んでみたいですね。 次はもっと尖がって行くのか、それともマイルドに行くのか、難しいところでしょうが。(2007/9/30)

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