「西の善き魔女」の既刊情報&感想
著者 荻原規子 レーベル 中央公論新社 C★NOVELSファンタジア

表紙画像のリンク先はbk1です。

西の善き魔女 1 セラフィールドの少女 タイトル 西の善き魔女1 セラフィールドの少女
初版 1997/9/25
ISBN 4-12-500491-9
感想 前々から目を付けていたのですが、いやぁ、面白い。 村娘フィリエルに訪れる突然の出逢い、不幸、再会。 立て続けに起こるそれらの事件が、やがて背後でつながっている事が明らかになり、 壮大な事件へのプロローグとなっていく構成は見事です。
そしてコテコテにお子様向けでお上品一直線路線と思いきや、 ギャグが実に良いタイミングで入ってきます。 ファンタジア文庫のような衝撃的で破壊的なギャグではないのですが、 「クスッ。かわいいじゃないか(爆)」というような絶妙なバランスなんですよ、これが。(笑)
フィリエルの謙虚さ、聡明さも良いですねぇ。 高潔なんですけれども甘ちゃんなところもちゃんとあって。
続きを読むのがとても楽しみなシリーズを見つけました。既に全巻そろえてあります。(笑)(2001/2/8)
西の善き魔女 2 秘密の花園 タイトル 西の善き魔女2 秘密の花園
初版 1997/11/25
ISBN 4-12-500503-6
感想 もう最高!少女学園モノの傑作ではないでしょうか。
とにかく悩めて、そして笑えます。特にルーン!てめぇ、許せん!えいっ、えいっ。(げしげし)
私はハマリました。 それはこの作品が「十二国記」や「レディ・ガンナー」と同じく、 自分と自分の大切な人に対する理不尽な偏見に対して果敢に挑んで、 見事に自分の運命を切り開いていく物語だからです。 同じ立場に立った時、自分では彼女らのように勇敢に行動することが出来るか? と問い詰められてしまうからです。
その一方で、これはお耽美〜♪なコメディであり、 作者自身が面白がって書いているのもGOOD!(笑)
主役級はもちろん、イグレインやヴィンセントまでもが実に良い味を出しています。 みんな裏があるから、表の華やかさに酔う。その儚さが分かれば分かるほどに、ね。(2001/2/18)
西の善き魔女 3 薔薇の名前 タイトル 西の善き魔女3 薔薇の名前
初版 1998/4/25
ISBN 4-12-500526-5
感想 えええ!宮廷を舞台にしているのはこの1冊だけなの? もったいないです。こんなに華やかな宮廷物語を描くのが上手なのに。 好きなんです、こういうロマンス。 アデイル&フィリエルなんて無敵のコンビだと思うんですけど、 こういう展開になってしまったのはルーンとユーシスの融通のなさがいけないんです!(としておこう)
フィリエルの揺れ動く心理描写が素晴らしいです。 繰り返される決意と失望。 いつでも自分は懸命なのに、すれ違いと誤解が次々と生まれていく。 だからこそ、信じられる人、100%味方になってくれる人の大切さが身に染みます。 特にフィリエルにとってのアデイルの存在はもう友達と言うレベルではないですね。 煙に巻いて誤魔化していますが、いくらアデイルの奇特な性格でも、あれは相当内に抱え込んでいます。(汗)
フィリエルもアデイルもルーンもユーシスも、 それぞれの運命に対してそれぞれ信じた方法で立ち向かっていく。 そのキャラの描き分けも見事ですが、 それぞれの運命が根底でつながっていて、最後は一つの物語に成っていくようにできていることも見事です。(2001/3/6)
西の善き魔女 4 世界のかなたの森 タイトル 西の善き魔女4 世界のかなたの森
初版 1998/11/25
ISBN 4-12-500568-0
感想 3巻まで順調に来ていたのに、ここで狂い始めています。 個々のエピソードは悪くありません。竜の話、吟遊詩人の話、 フィリエルとイグレインの珍道中、それにロマンス。とても良いお話です。 けれども、それが3巻までのように一つの物語としてまとまりを持っているかと言うと、 どうもおかしくなってしまっています。 フィリエルが暴走していく裏で他のキャラが暗躍しているのが感じられていたのですが、 この巻ではそれが消えてしまいます。 フィリエルを描くのも良いですが、やはりアデイルも描かなければ。
本当に全ての謎は解けるのでしょうか?パズルのピースはぴたりとはまるのでしょうか? 全5巻のはずなのに、4巻まで掛かって解けた謎はほとんどありません。 なにか、とても不安になってきました。(汗)(2001/3/21)
西の善き魔女 5 闇の左手 タイトル 西の善き魔女5 闇の左手
初版 1999/5/25
ISBN 4-12-500591-5
感想 というわけで一応完結。ですが、フィリエルとルーンのロマンス以外、全然決着がついていないような。(汗)
ディー博士はどこに消えてしまったんですか。 アデイル、レアンドラ、フィリエルの3人がこの先の困難をどう乗り切っていくかも何も示されていないし。 まぁ、最終的な結論は外伝まで読み終えてからにしようと思いますが、 途中までの期待がとても大きかっただけに、この本編完結はかなり不満が残ります。
せめてもの救いは、ロマンスとしては良い話であった事と、グラール王家の秘密が面白かった事。 女王のモラル観はいろいろなSFを思い出させました。「アップルシード」とかね。 これはファンタジーの観点から見た、安っぽくないSFです。 進歩に対する賢人の持つべきモラルとは何か? その問いかけは嬉しかったです。答をくれなかったのが残念ですけど。(^^;(2001/3/22)
西の善き魔女 外伝1 金の糸紡げば タイトル 西の善き魔女 外伝1 金の糸紡げば
初版 2000/1/25
ISBN 4-12-500635-0
感想 のんびりとしていて良いですよ〜。 これがまるまる1冊使うような内容か?というそこの貴方、1冊必要なんですよ。 ちょうど精神的に落ち込んでいる時に読んだので、この本の有り難たみが分かりました。 スピードを追求して飛ばしていくだけが能ではないでしょう。 かといって、読んだ後で前向きになれるほどのパワーもないですけれど、 それでも心の緩衝材にはなりました。
しかし黄金比は不思議な数ですねぇ。 ルーンが登場する際につぶやくフィボナッチ数列に計算間違いがあるのはちょっと残念ですが。 (私が読んだのは初版なので、重版される時に修正されているかも知れません。) ((ルート5)−1)/2=2/((ルート5)+1)。うん、素晴らしい調和です。(笑)
数式にしてしまうと味気ないですが、 人間を含めてほとんどの生き物がこの調和を無意識のうちに知っているのです。 世界の秘密の一端がそこに見える。そう思いません?(2001/6/9)
西の善き魔女 外伝2 銀の鳥プラチナの鳥 タイトル 西の善き魔女 外伝2 銀の鳥 プラチナの鳥
初版 2000/9/25
ISBN 4-12-500673-3
感想 外伝と言うかなんと言うか、作者も書いていますが、 これがないとシリーズとして成り立たない巻ですね。 逆に言えば、この巻は本編の中に入れてしまっても良かったのではないでしょうか。
グラールの女王制については、やっと説明が出揃いました (本当は本編でやっておくべきことでしょう、これは)。 面白いですね。 「十二国記」の影響を受けているような気もしますが、 作者なりの結論が入っていて、作品としての主張になっています。
けれども、全体の印象が薄いですね。優しすぎます。 児童文学作家にこんなことを求めるのは間違っているかもしれませんが、 もっとゾクゾクする展開とアクションが欲しいです。 「西の善き魔女」は結局、あまり評価されずに終わってしまいましたが、 この作者の他の評価の高い作品、例えば「空色勾玉」や「これは王国のかぎ」はどんな作品なのか、 機会があったら読んでみたいですね。(2001/6/30)
西の善き魔女 外伝3 真昼の星迷走 タイトル 西の善き魔女 外伝3 真昼の星迷走
初版 2003/5/25
ISBN 4-12-500805-1
感想 本編を読み終えたときに 「進歩に対する賢人の持つべきモラルとは何か?という問いかけは嬉しいけど、答をくれなかった」 と書きましたが、その答がここにあります。 なぁんだ、ちゃんとここまで考えてあったんじゃないですか。 どうして本編で書いてくれなかったのでしょう。外伝1はともかく、外伝2、3は事実上本編ではないですか。 C★NOVELSFantasiaってこのシリーズに限らず、構成が無茶苦茶です。 もっと編集サイドが「こんなシリーズ構成ではプロ作家とは言えない」とバシッと言うべきです。
とは言え、内容は実に面白い、ワクワクさせてくれるものです。 フィリエルの旅も良いですが、やっぱりルーンでしょう。 ええ、もう、悩みながらレアンドラに押し倒されちゃうところなんて最高です。(笑)
私はこの人の話が、根本的な部分で好きなのです。いつか、勾玉三部作も読んでみたいと思います。(2003/6/8)

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