「ナイトウォッチ」の既刊情報&感想
著者 上遠野浩平 レーベル 徳間デュアル文庫

表紙画像のリンク先はbk1です。

ぼくらは虚空に夜を視る タイトル ぼくらは虚空に夜を視る
初版 2000/8/31
ISBN 4-19-905002-7
感想 なかなか良いではないですか。 少なくとも「殺竜事件」「冥王と獣のダンス」の自己満足100%状態からは抜け出す兆しが見えています。 ただ、ブギーポップの最初の4冊で見せた時のあの強さはまだまだ取り戻せていませんね。
これを読んで、何故この人が今まで異世界召還モノという 最も得意そうなネタを使わなかったのか不思議になりました。 同時に、こういう手垢にまみれたテーマをデビュー当時にやらずによかったのではないかとも思います。 自分を見つめる完成度はそこそこにある。 アクションもまあまあ(間近で水蒸気爆発があったのに人が平然と立っていられるのはおかしい... 吹き飛ばされるか、全身大火傷だ...)。 でも、それは他の沢山の作家が既にやってきた事です。 自分が馬鹿であるのは「十二国記」で何年も前に示してしまった事だし、 日常と非日常の意味なら「フルメタ」の方がずっと鮮明に分かってしまった事なんですよ。
上遠野浩平はこの作品でなんとか踏みとどまったと思います。 しかし、今後はこれを最低ラインにして、これ以上のものを発表していかなければ駄目でしょう。(2000/9/30)
わたしは虚夢を月に聴く タイトル わたしは虚夢を月に聴く
初版 2001/8/31
ISBN 4-19-905067-1
感想 上遠野浩平という作家、デビュー作の「ブギーポップは笑わない」以降、 どんどん平凡になっていってしまったように感じていましたが、 久々にある程度完成度を持った奇作を出してきました。 この作者の作品でここまで読後感が良いのは「パンドラ」以来じゃないでしょうか。 ただし、それは私が「ブギーポップ」シリーズを含めてこの作者の作品をほとんど読んでいるからであって、 そうでない人にとってはほとんど言語道断といって良いほど 意味不明な作品になってしまっている可能性大です。 初めて読む人にでも楽しめるものになっていないのが悔やまれるところです。(笑)
それにしても、作者名を伏せて読んでも、誰が書いたか一目瞭然ですね。 実に上遠野浩平らしいというか、この作者にしか書けない文体です。 「VSイマジネーター」や「パンドラ」の頃の、 壮大な宇宙とちっぽけな人の心理を同じ次元で見事に表現してくれた、 あの人間賛歌のような青春小説の復活、と捉えて良いのかな?
とりあえず「ハートレス・レッド」「紫骸城事件」そしてこの「わたしは虚夢を月に聴く」で確認できたのは、 この作者には矢継ぎ早に続編を出させるより、 1年くらい時間をあげた方が良い物が出来あがってくるという事です。(笑)(2001/8/27)
あなたは虚人と星に舞う タイトル あなたは虚人と星に舞う
初版 2002/9/30
ISBN 4-19-905119-8
感想 <ナイトウォッチ三部作>って・・・単に3冊目が出ただけでしょーが。 4冊目が出たら<四部作>にするんですか?(笑)
というのはおいておきまして、単純に面白いです、ナイトウォッチシリーズ。 「わたしは虚無に月を聴く」の奇抜さに比べればオーソドックスですが、 一部のマニア層のための枯れたSFではない、ごくごく当たり前の楽しさがあります。 年1冊のペースではありますが、これだけ面白ければ許せましょう。
一応シリーズものという体裁を採っていますが、 作者の描きたかったのは主人公の少女の奇妙な「日常」でしょう。 それがストレートに伝わってきて凄く気持ち良いです。 ブギーポップも、シリーズ構成や設定に縛られずにこれくらいのびのびと書いてくれたらなぁと思います。
「事件シリーズ」は話題性が先行している、なんだかなぁの作品ですが、 この「ナイトウォッチ」は今のところうまく話題性と娯楽性とSFとしての内容のバランスがとれています。 じっくりと書き進めてくれれば、良い作品になりそうな予感がします。(2002/9/27)

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