「まじしゃんず・あかでみい」の既刊情報&感想
著者 榊一郎 レーベル ファミ通文庫

表紙画像のリンク先はbk1です。

まじしゃんず・あかでみい1 女神降臨!? タイトル まじしゃんず・あかでみい1 女神降臨!?
初版 2003/2/5
ISBN 4-7577-0985-4
感想 どうしたんだ、榊一郎、いつもと同じじゃないか?(笑)
ええ、もうどこからどう見ても、榊一郎作品です。 魔術の設定はいつも通りです (この人の作品は、みんな魔術の基本設定が同じです。完成度は高いし、バリエーションもあるけど。)し、 キャラの置かれた境遇も「プリンセス・サキュバス!」「すてプリ」系列とほとんど同じです。 個々のキャラの性格は変えてありますが、「すてプリ」のキャラと対応させると、 タナロット=パシフィカ、拓人=シャノン、鈴穂=ラクウェル、神々=ピースメーカー達、悪魔=アーフィ達 になるでしょうね。 タナロットの外見からすると「すてプリ」よりも「プリンセス・サキュバス!」に近いかな?
ただ、その・・・「萌え」狙いだそうですけれども、 重い影を背負った主人公達の設定が「萌え」を引き立たせられていないように感じます。 「ドラゴンズ・ウィル」などではキャラの明るい外面と暗い内面の対比が素晴らしいんですけれど、 今回は「萌え」と暗い内面とが分裂してしまっていて、うまく繋がってこないんです。 私は「萌え〜」じゃないんで、そこのところを掘り下げて説明できないですけれどね。(2003/2/11)
まじしゃんず・あかでみい2 聖母抹殺!? タイトル まじしゃんず・あかでみい2 聖母抹殺!?
初版 2003/3/4
ISBN 4-7577-1319-3
感想 萌えに特化すると言う作者の目論みは見事に外れて、 この人ならではのハートフルファンタジーとなりました。 1巻からその傾向はあったのですが、2巻ではもう完璧に「ファミ通版すてプリ」になっています。 ですが、自分の存在意義をどこまでも問い続ける姿勢が、マンネリに陥ることを防いでいます。素晴らしい。 「ストラグル・フィールド」は残念ながら売れませんでしたが、 この「まじしゃんず・あかでみい」は売れて欲しいものです。
「すてプリ」のメディア展開によって、(メディア展開作品のでき映えに関わらず)榊一郎の知名度は上がるでしょう。 その時この作者の、必然的に組み上げられた緻密な世界観と、 単なる流行りを越えた強いメッセージ性が広く評価されることを願います。 まぁ、今が駄目でも、何年か掛けてはい上がってくるだけの底力を持っていますけれども。(笑)(2003/3/12)
まじしゃんず・あかでみい3 魔王発生!? タイトル まじしゃんず・あかでみい3 魔王発生!?
初版 2003/9/1
ISBN 4-7577-1544-7
感想 榊一郎はデビュー時から(というかデビュー前から) 「ファンタジーの持つ意味とはなんだろうか?」ということを意識してきた作家です。 それがギャグの方向へ向かうと、 こういうお約束を逆手に取ったダークなファンタジーになるんでしょう。 少々下品ではありますが、「そうだ。そーなんだよ!」と頷きながら読んでしまいました。
そしてギャグ色が非常に強くても、 設定やストーリー展開はこれでもかというくらい典型的な榊一郎作品で、芯がしっかりとしています。 ちょっと設定が「すてプリ」に似過ぎていますが・・・、3巻ではだいぶ隠せていますね。 コミック化も決まったようですし、 イラストのBRADEという人も上手い(デフォルメが無理なくデッサンに乗っているのが凄い!)ですし、 このシリーズは売れるかも知れませんね。(2003/9/19)
まじしゃんず・あかでみい4 聖夜爆走!? タイトル まじしゃんず・あかでみい4 聖夜爆走!?
初版 2004/1/1
ISBN 4-7577-1670-2
感想 本来のストーリーはひとまず小休止。1冊丸まる馬鹿話です。 しかしこの馬鹿さ加減が半端じゃありません。 鈴穂、タナロット、ファルチェの話も面白いですけれど、 それ以上に榮太郎の同人誌作成秘話が笑えます。 端から見たら「こいつら何をやってるんだ?」と疑問に思うのが当然ですが、 本を作っている本人たちは大真面目であることが涙ぐましいです。 店が開いてない時間に画材を切らして代替手段を使ったり、仮眠時間を削ったり、 なんかもーそれはやっちゃいけないだろうの連発です。 そういうことをやると結果的にミスが増えて、修正時間が増えて、 質か量のどちらかを落とすことになるのがオチです。
それでも食事係が居るだけでも恵まれてますよ。コンビニに買い出しに行かなくて良いんですから。 「買い出しが一番楽しいんだよ」なんて言う人もいますけれど。 あ〜同人描きにならなくて良かった〜。(笑)(2003/12/22)
まじしゃんず・あかでみい5 雪原沸騰!? タイトル まじしゃんず・あかでみい5 雪原沸騰!?
初版 2004/12/1
ISBN 4-7577-2032-7
感想 シリーズ全体のストーリーが少し動きました。 そこに新キャラ麻雪の境遇と心理描写が絡み、さらに鈴穂の心理へと繋がっていきます。 新たに登場する組織「連盟」の狙いは拓人とタナロットのようですが、この巻の主役は鈴穂でしょう。 ギャルゲーの中のようなキャラが作中でギャルゲーをやっているのもシュールで面白いです。
でも苦し紛れに出してきた超能力に関してはなんだかなぁ、です。 さすがにとってつけたような不自然さは上手く隠せていますが、 必然性という面ではやはり無理がありありです。 それに魔法とは違うよく分からない力・・・って、これは設定と呼べるレベルのものじゃないでしょう。 やっぱり疲れてないか、榊一郎?
作品世界に対するこだわりと言うかポリシーというものは、 ぱっと見た目には出てこない部分ではあっても榊一郎作品の大事な要素であるはずです。 表面がソフトでも中身には骨が入っている、 そこに「お、この作者は一味違うな」というものを私は感じています。 だからこそ、表面がソフトでも中身までグニャグニャであって欲しくないのです。 今はまだ、反則であることを分かって書いているようですが、 これが日常茶飯事になるとちょっとやばいかも。 もちろん、反則を作風にする作家だっていますが、そういう場合は徹底的に大反則をしないと、ね。(2004/12/29)
まじしゃんず・あかでみい6 乙女分裂!? タイトル まじしゃんず・あかでみい6 乙女分裂!?
初版 2005/8/11
ISBN 4-7577-2359-8
感想 やられたぁ!
榊一郎さんの作品で、ここまで設定に驚いたのはすてプリ5巻「捨て犬少女の夜想曲」以来です。 鈴果の正体が判明した時の、ストーリーと設定の歯車がぴたりと一致するこの爽快感! 凄い必然性!よくぞここまで考え、そしてストーリーに織り込んだ! まぁ、「すてプリ」にしてもこの「まじしゃんず・あかでみい」にしても時々設定にボロが出て自己フォローしていますが、 基本ストーリー&設定でここまで頑張ってくれると、些細なボロなんて問題なし!
ライトノベルは軽いから簡単に書けるなんて思ったら大間違いで、軽いなりの高度な技量が必要なんです。 そのことを思い知らされました。 ブームなどとは関係なく、運もコネも関係なく、 榊一郎さんは実力で作家として生き残る技量を持っていると思います。
シリーズを通してのストーリーはちゃんと進行しているし、 マニアックなネタとくだらないギャグも盛り込んであるし、 了解を得て他の作家さんのキャラを使うんなんて実験的なこともやっているしで、文句なしの出来です。(2005/8/20)
まじしゃんず・あかでみい7 父親奪還!? タイトル まじしゃんず・あかでみい7 父親奪還!?
初版 2006/4/11
ISBN 4-7577-2621-X
感想 ストーリー面はイマイチ。折角父親を出してきたのに、あまり有効に動かすことができていません。 シリーズ進行もほとんど停滞。本当にラストへと繋げていけるのか、をい。
でもしかし、この巻にはそういう欠点を補って余りある突き抜けた点があります。それは
ツッコミきれないほどお馬鹿
なことです。 4巻「聖夜爆走!?」の同人本製作も鬼気迫るものがありましたが、 今回の戦隊物+合体型巨大ロボット(メガネ装備)はもう感動を通り越して悟りの部類と言うか、 榊一郎さんとうとう本格的に壊れてきたな、という感じです。 必然性を自ら否定してるし。
それでもお馬鹿ネタをなんとかそれなりのストーリーに織り込んでいる力量はたいしたものです。 普通ならばもっと破綻してしまうでしょう。暴走しているように見えて、一応コントロールされてはいるのです。
でもはっちゃけは短編集の方に集中させて、長編はストーリーを進めてもらえないものかなぁ。 このシリーズって下手すると短編集の方がシリアスだったりして。(2006/7/28)
まじしゃんず・あかでみい8 学園封鎖!? タイトル まじしゃんず・あかでみい8 学園封鎖!?
初版 2007/5/10
ISBN 978-4-7577-3451-7
感想 ストーリーが急激に動き出しました。って完結編の上巻ですか。 前巻までゆっくりしていたのに急すぎる感じがしますが、進まないより進んだ方が良いのでこれで良し。
伏線の回収の仕方は、うーん一通りできているとは思うのですが、もっと上手くできたんじゃないでしょうか。 例えばタナロットって、その神魔としての設定は最後に活かされていますが、キャラクターとしての影は薄くなってしまっているんですよね。 というかこれってラブコメじゃなかったのか? ラブコメとしての面とファンタジー面とを分離してしまっている点が、イマイチ最後のクライマックスに繋がって行っていないかも。 拓人には焦点が当てられているんですが、鈴穂への言及が弱いし、タナロット、ファルチェはほとんどストーリー上おまけになっています。 とは言え、この先のシリーズ展開を見据えると、あえてここは拓人にストーリーを絞るのも一つの手ですね。
あと、毎回放り込まれるパロディネタが今回はまた一段と古くて濃いですな(褒めてます)。 しかもどんどん自虐的になっていませんか。大丈夫ですか榊さん。 メタネタも冴えていると言うか、壊れていると言うか。 「等身大フィギュアで代わり身」なんて一般人じゃ絶対に考え付かないですよ(笑)。(2007/9/30)
まじしゃんず・あかでみい9 学園逆襲!? タイトル まじしゃんず・あかでみい9 学園逆襲!?
初版 2007/9/11
ISBN 978-4-7577-3628-3
感想 学園ラブコメファンタジー完結編。
終わってみたら「スクラップド・プリンセス/プリンセスはお年頃!」と同じ「貴種流離譚」の物語構造を持つ、実にまとまった作品となりました。 最初からこうやって締める構想だったのか分かりませんが、落ち着くところに落ち着きました。 榊一郎さんはライトノベルを書いていながら、物語の基本構造の面でとてもオーソドックスな、普遍性を持った作家さんなのです。 キリスト教の影響が強いのもこの人の特徴ですね。 「スクラップド・プリンセス」「ストレイト・ジャケット」「イコノクラスト!」そしてこの「まかでみ」と、 榊一郎さんの長編シリーズの多くは、明らかにキリスト教をモデルにした宗教が物語の根幹と関わってきます。 恐らくこれらの特徴は今後のシリーズにも形を変えながら出てくるでしょう。
さてさて、本編はこれで完結ですが、シリーズは主人公を変えて「まかでみ・えくすぺりめんと」としてまだ続くようです。 メディアミックスを意識しつつ、物語はここで一度仕切りなおし、ということなのでしょう。 「ファミ通文庫SP」の方では既に「えくすぺりめんと」の一部が掲載されていますが、 ちらっと読む限り、世界観は同じでも視点はかなり違う作品のようです。 そこで榊一郎さんが描きたいもの、伝えたいものは何なのか、見てみることにいたしましょう。(2007/9/30)

まかでみ・らでぃかる1 誘われちゃったんですけど。 タイトル まかでみ・らでぃかる1 誘われちゃったんですけど。
初版 2004/8/1
ISBN 4-7577-1931-0
感想 この本は恐らく、まかでみ本編の4巻とともに、榊一郎がこれまで書いた中で最も軽い部類に入ると思います。 にも関わらず、この作者が書いたとはっきり分かる、つまりこの作者の個性が失われていないことが嬉しいですね。 表題作「誘われちゃったんですけど。」は短編集の開幕にふさわしい、 メッセージ性の強いハートフルなコメディ。 素晴らしい。これぞファンタジー。これぞライトノベル、これぞ榊一郎作品です。
他の2話「犯罪なんですけど。」「妙にモテるんですけど?」はほとんど馬鹿話ですが、 「犯罪なんですけど。」のガンアクションへのこだわりは笑えます。 ブレンテンを構えて、気分はドン・ジョンソン。「動くな!マイアミ・バイス!」(意味不明)。 でも対象読者層に「ジーパンで全力疾走」とか「なんじゃこりゃあ!」って分かるのかなぁ? 分かるのは作者の歳と趣味だけのような気もします。(笑)(2004/7/31)
まかでみ・らでぃかる2 復活の先生なんですけど。 タイトル まかでみ・らでぃかる2 復活の先生なんですけど。
初版 2005/4/1
ISBN 4-7577-2199-4
感想 収録されている短編3作のうち、 表題作「復活の先生なんですけど。」は訳の分からない変な作品。 これは何も考えずに笑えば良いんか!?まぁ、たまにはこういうのも良いでしょう。(そうか?)
残る「変身みたいなんですけど。」「メカなんですけど。」はいつも通りのハートフル&ギャグ。 特に「メカなんですけど。」は榊一郎作品に繰り返し登場する 「人間っぽくて人間でない存在が自分について考えること」をテーマにしていて面白いです。 トリンシアって、「棄てプリ」のアーフィ、「世界で一番優しい機械」のキャロル、「キミボク」のネレイド などと同系列のキャラなんですね。 作中で「攻殻機動隊」のセリフを引用していますが、 榊一郎さんも人工知能に自我が生じるようなSF+精霊信仰的な発想を持っているようです。 それはロマンティックな妄想とも言えなくはないですが、私は「自分とは何だろう?」という問いかけの バリエーションだと思っています。 逆に「イコノクラスト!」などでは人間がロボットじみて描かれたりする訳で、 こういうところ、榊一郎作品は痛烈です。(2005/5/7)
まかでみ・らでぃかる3 正体不明なんですけど。 タイトル まかでみ・らでぃかる3 正体不明なんですけど。
初版 2005/12/12
ISBN 4-7577-2199-4
感想 短編3作収録ですが、なんといっても凄いのが表題作「正体不明なんですけど。」。 あとがきで「オタク関連は自嘲・自虐ネタ」って書いてありますが、 榊一郎さんは本当にこういうところが自覚的で、しかも突っ走っています。 本編4巻の同人誌作りもかなりイッてましたが、 今回のオンラインRPGの経験値稼ぎ&アイテム集めとか、ギャルゲー作りも強烈です。 オタク趣味というのはやはりはたから見たらイタイですよねぇ…… でもそれを乗り越えて、ふっと笑えるところにダンディズムがあるかも知れません。(ないかも知れません。)
他の短編もギャグでありながら、シリアスな面を持っていて、作品に深みがあります。 根はシリアスで、それにギャグを被せて作っているような感じ。 そしてその作り方は才能と言うより、システマティックな感じがします。 榊一郎さんは後進作家の育成に熱心のようですが、 そういう作品に深みを持たせる方法を上手く説明出来るようになれば、 新人育成も進むんじゃないかと思ったりするのですが、どうなのでしょうね。(2006/2/25)
まかでみ・らでぃかる4 妹なんですけど。 タイトル まかでみ・らでぃかる4 妹なんですけど。
初版 2006/8/10
ISBN 4-7577-2867-0
感想 あー。本編でおバカなことをやりまくっているので、 こちらで改めてふざけたことやってもあまりインパクトがないですな。 むしろ本編の方がシリアスとギャグのギャップがある分、面白いのではないかと思います。
そんな中で最後に収録されている「骨董品なんですけど。」は、 メッセージ性が含まれている分、メリハリが利いています。 ファルチェをアーフィに置きかえると同じような話が「棄てプリ」にもあったような気がしないでもありませんが、 やっぱりこの作者はこういう合理主義に疑問を投げ掛けるハートフルな作風だと抜群の技量を発揮します。 世界設定は理屈っぽいし、キャラクターも理屈っぽいのに、 実際のストーリーでは無駄に見えること、非合理的なことをやってみせる。 でもそれは短命作家にありがちなその場しのぎではなくて、 「その無駄っていうのが実は大切なんじゃない?」という問い掛けのためのものなのです。 まぁ、そういうメタな問い掛けばかりやっていると、それはそれでマンネリに陥りそうな気もしますが、 まだ大丈夫そうです。(2006/8/28)
まかでみ・らでぃかる5 テロリストなんですけど。 タイトル まかでみ・らでぃかる5 テロリストなんですけど。
初版 2007/1/10
ISBN 4-7577-3119-1
感想 表題作「テロリストなんですけど。」はマニアネタを書きたかっただけだろ!というような中篇。 「怪傑ズ●ット」なんてこの作品の読者層で分かる人がいるんでしょうか。(笑)
対してもう一つの中篇「可能性の問題なんですけど。」は、この作者が得意とするハートフル路線の佳作。 SFとしては平凡かも知れませんが、ドラマとしてちょっと感動しました。 「軽小説家」などと自称していますが、榊一郎さんは「自分とは何者なのか?」というテーマでは決して軽薄なものは書きません。 そこに描かれる人間の脆さ、弱さ、それゆえの絆には、なかなかに「ぐさっ!」と来るものがあります。
文章が上手い人は沢山います。しかし文章技術とは別に、文を書き連ねて伝えたいものがあることが、作家には重要だと思います。 その「伝えたいもの」はきっと誰にでもあるのでしょうが、でも多くの人はそれが何なのか得てして気付きません。 榊一郎さんはその「伝えたいもの」を見付け出してくるのがとても上手いです。 これは作家講座を受けて一朝一夕に身に付くような技能ではなさそうです。
だからと言って他人へ伝授できない技能という訳でもないでしょう。 榊一郎さんは作家講座の講師や創作集団のリーダーもしているそうですから、 そういう「伝えたいもの」の見付け方を後進の人に教えて欲しいですね。(2006/12/29)
まかでみ・らでぃかる6 宇宙人なんですけど。 タイトル まかでみ・らでぃかる6 宇宙人なんですけど。
初版 2008/1/4
ISBN 978-4-7577-3915-4
感想 第1話「フードファイターなんですけど。」はひたすら馬鹿なだけの話。オチも弱し。
第2話「宇宙人なんですけど。」はマニアックさで突き抜けていますが、説教くさいオチに持っていくところがちょっと強引な感じです。
しかし第3話の「ヒーローなんですけど。」が良かった! 冷めたメタな視点から始まりながら、そこからハートフルな展開にもっていくのは実に見事です。 なんて言うのかな。 作り物、紛い物、人工物、そうしたものは確かに作為が入っている。 けれども、だからこそ、作り手の想いが、魂がそこには入っているんだという逆説的なロマン。 榊一郎さんはそれがとても好きなようです。
確かにこれはイタイ話ではあるのです。自覚的で自虐的でもあります。 でもイタくても良いのです。大事なのはイタイのを避けることではなく、イタくてもそこから先に進むことができることなのです。 イタイ経験は忌み嫌われるからこそ、考えようによっては少しの、ほんの少しだけれども、次への糧にできるのだということ。 そのしぶとさ、たくましさの指針をこの作品は示してくれています。 ジャンクな短編・中編でこういうハートフルなことが書けるところが、榊一郎さんの凄いところです。
で、この「まかでみ」、アニメ化が決まったようですが、はたして版権的に大丈夫なのでしょうか?原作の内容のままじゃ、ヤバイですよね、これ。(笑)(2008/1/29)

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