星空にキス
〜「レディ・ガンナー」の既刊情報&感想〜

catherine

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著者 茅田砂胡 レーベル 角川スニーカー文庫
レディ・ガンナーの冒険 タイトル レディ・ガンナーの冒険
初版 2000/4/10
ISBN 4-04-423101-X
感想 これだからスニーカー文庫は分からない。 行き詰まったと思いきや、茅田砂胡+草河遊也という外の血を持ち込んで、 目からウロコが落ちる作品を出してきました。上手い!圧倒的に上手い! 思えば、私がロマンスファンタジーにハマッたのも、 スニーカー文庫の前田珠子「隻腕の神の島」でありました。 いやはや、こういう人を見る目があるというのは、角川編集部のかけがえのない財産でしょう。
作品の内容は痛快、爽快!に尽きるでしょう。 世界観も文体も爽やかで心地よいのですが、特に、初めて目にする異世界の中で、 特殊な能力を持たないにもかかわらず敢然と生きていく主人公キャサリンの人間性が素晴らしいです。 そして、これは榊一郎の「ドラゴンズ・ウィル」にも言えることですが、 ストーリー全体がファンタジーでなければならない必然性をちゃんと持っています。
シリーズ化されるかどうか、まだ未定だそうですが、読んだ後なら自信を持って言えます。 これは「ラグナロク」と並んで、スニーカー文庫を支える人気シリーズになりますよ。(2000/4/30)
レディ・ガンナーの大追跡 上 タイトル レディ・ガンナーの大追跡 上
初版 2002/1/1
ISBN 4-04-423102-8
感想 待望の、待望の、待望のレディ・ガンナーの続編です。 上巻だけではまだはっきり言えませんが、 前作の「冒険」があまりに良過ぎたので、ちょっと物足りないですね。 シリアス一辺倒なのですが、迫力がイマイチ伝わってきません。 デル戦の方がもっと鬼気迫るものがありました。
しかしこのメッセージ性の強さは凄いです。 この人の作品で本当に感心するのは、まず読者に伝えたことがはっきりとあって、 そしてそれをファンタジーという手段で表現しているところです。 ファンタジーを書くこと自体が目的ではなくて、 ファンタジーを使って普通の小説では伝えにくいメッセージを書くことを目的にしているようなのです。 こうでなくちゃファンタジーである意味がないですよね。
そしてその事さえ忘れなければ、たとえ1冊、2冊つまずいても、 最終的に読んで良かったと思える作品が必ず出てくると信じています。 私がこの作者の本にこだわり続けるのは、そういう確信があるからなのです。
でも草河遊也さん、仕事が重なってちょっと疲れているみたいですね。(笑)(2001/12/27)
レディ・ガンナーの大追跡 下 タイトル レディ・ガンナーの大追跡 下
初版 2002/2/1
ISBN 4-04-423103-6
感想 上巻がシリアス一辺倒だったのでちょっと心配でしたが、 下巻はちゃんとコメディとのバランスを取ってくれました。 ロマンスになってないロマンスも入ってますし。(笑)
とはいえやはり茅田作品。シリアスで凄惨です。 今までは威嚇に銃を使うだけだったキャサリンもとうとう人を撃ってしまうし、リンチはやっちゃうし・・・ って本当に外交官の娘がこんな過激なことに参加して良いんでしょうか。 いくら相手を自滅に追い込もうとしているとはいえ、過剰防衛じゃないですか。 アナザーレイスの間でも沿岸国家群の間でも一躍有名人になって、 もはや普通の生活はできなくなってしまうような。(汗)
そりゃあ面白いですよ。凄く面白い。 でも茅田砂胡の作品はちょっと人間を信じ過ぎているというか、 個人の人徳や尊厳を前に出しすぎて、 集団の規律や法治体制をおろそかにしてしまっているきらいがあります。 リィやケリーのように世間を超越した暮らしをしているバケモノならばそれでも押しきれるのでしょうが、 一般人としての生活があるキャサリンに同じことをやらせるのは無理があるんじゃないかなぁと。
しかも今回の様な復讐劇ではノンフォーマーとアナザーレイスの対立を解決できず、 むしろ対立をエスカレートさせることになりかねません。 その時、キャサリンは今までの生活を完全に捨てて冒険に出るのでしょうか。出ちゃいそうですね。(爆)
ちらっと登場しただけで、活躍がお預けになっているキャラも沢山居ますし、 他作品とのからみも明かにされないままですし、続きが読みたいです。 なにしろ今回は「いずれは書かなければならない部分を早めに片付けた」だけだそうですから。 1巻の時に角川に読者カードを送りましたが、今回も送ります。(2002/2/1)
レディ・ガンナーと宝石泥棒 タイトル レディ・ガンナーと宝石泥棒
初版 2003/3/1
ISBN 4-04-423104-4
感想 前話が厳しい話だったので次は明るい話ということでしたが、その通りになりましたね。 いつもの強いメッセージ性は抑えられて、 新たに明かになった世界観もなくあまりインパクトのない話になっていますが、息抜きみたいなものでしょう。 デル戦にだってこういう巻はありますから、長い目でシリーズ全体を見ていこうと思います。 そのためにも、続巻は出てくれないといけません。また読者カードを送ります。(笑)
前話の終盤の暴走劇は、だいぶフォローが入りました。 キャサリンは当分ノンフォーマーの社会で生きていくようですね。 そのためにはある程度の束縛が必要な訳で、 この作者の作品にしては珍しく主人公がその束縛に従っています。 やはりちょっと暴走していますけれど。(笑)
話全体としては無難にまとまっています。 ヴィンスに乗った件をノンフォーマー側に誤魔化し切れるかどうかは疑問ですが、 その他はこれといった欠点はないのではないでしょうか。 悪役がアナザーレイスだというのも、今までの悪役=ノンフォーマーというパターンを壊していて面白いです。
ああ、大きな欠点がありました。草河さんのイラストで、ドレスが今回からバスルスタイルになってしまったことです(爆)。 これまでのクリノリンスタイルに拘って欲しかったですね。私にとっては大問題なんです。(笑)(2003/3/1)
レディ・ガンナーと二人の皇子 上 タイトル レディ・ガンナーと二人の皇子 上
初版 2004/3/1
ISBN 4-04-423105-2
感想 キャサリンの義憤がまたしても理不尽なノンフォーマーの世界にぶつけられていきます。 「スカーレット・ウィザード」や「暁の天使たち」だと、 ここで人外生物である主人公が何もかもぶっ壊していくのですが、 「レディ・ガンナー」のキャサリンには人間としての限界があり、理想と現実との間の葛藤を持っています。 どちらが面白いかは好みの問題なのでしょうが、私は「レディ・ガンナー」の方が好きです。
上巻の大まかな流れは茅田さんの同人時代の作品「幽艶花 望園鏡番外編」とよく似ています。 ただし「幽艶花」は女装の少年が王女の身代わりをしていますが、 「二人の皇子」では少年が男装の皇女の身代わりをしています。 キャラの性別を入れ替えたのですね。性別不詳キャラの多いこの作家ならではアイデアでありましょう。 茅田さん好きだな〜こういう耽美なの。(笑)
「幽艶花」ではこのあと、予定通り宮殿で儀礼が始まるものの、 肝心なところで大衆の目前でハプニングが起き、クライマックスへと繋がっていきます。 「二人の皇子」の下巻でも同じ展開になるでしょうか。(2004/2/29)
レディ・ガンナーと二人の皇子 中 タイトル レディ・ガンナーと二人の皇子 中
初版 2005/2/1
ISBN 4-04-423106-0
感想 1年間待ったかいがありました。しっかりと作られた作品です。 「暁の天使たち〜クラッシュ・ブレイズ」系列の方はどんどん世界観が希薄になっていますが、 「レディ・ガンナー」の方は今でも「デルフィニア戦記」の頃のような骨太な作品世界があります。
ストーリーはやはり著者自身の同人作品「幽艶花 望園鏡番外編」に近い流れですね。 皇子の身代わりを依頼された側は騙されていた訳ですが、 本物の皇子(?)も身内に騙されていまいました。 これは「幽艶花」や「レディ・ガンナーの冒険」でも見られたパターンです。 それに「幽艶花」のロムル(=小次郎)と今回のダムーは役割が似ています。 ロムルはダムーの原型なんでしょうか?名前も風貌も似ていますし。
あとはキャサリンが戴冠式か披露宴か舞踏会か、とにかくそういうパーティーに殴りこみをかければ完璧ですね。 パーティーが行われるかどうかすらまだはっきりしませんが、 私はパーティーが開催されて、そこにキャサリンが殴りこむことを確信しております。 是非とも派手にやってもらいましょう。 本当にあと1冊で終わるのか不安ではありますが、 派手さという面では全く心配しておりません。 豪華絢爛さは、今も昔も茅田砂胡さんの最も得意とするところですから。(笑)
それにしてもこの人の作品は親子の相続に関するものが多いです。 「望園鏡」「デル戦」「桐原家」「紅魔女」「レディ・ガンナー」、みんなそうです。(2005/2/11)
レディ・ガンナーと二人の皇子 中 タイトル レディ・ガンナーと二人の皇子 下
初版 2006/4/1
ISBN 4-04-423107-9
感想 派手なパーティーが開催されてそこに分かりやすくキャサリンが殴り込むのを予想していたのですが、 見事に外れました。 エルディア王宮が外側から変わると思っていたのですが、内側から変わりましたね。 ですので、殴り込みよりもむしろ策謀がメインに書かれています。 エルディアの王位継承の慣習を覆すのには、この巻での駆け足の展開と説明では ちょっと説得力が足りないかな?と思いますが、 キャサリンをあまりエルディアの内部に関わらせる訳にもいかないでしょうから これが程よい着地点なのでしょう。
と、不満点が先行してしまいましたがよく出来ていますよ。 なによりストーリーが進んで一段落ついたことに満足しています。 キャラに頼った方が売れるかも知れませんが、 茅田さんにはちゃんとしたストーリーがあるものを期待してしまいます。 私の勝手な期待なのですが、でも茅田さんは折角それができる能力があるんですから。 フェリーシアは今後もアンジェラ、ミュリエルと共に登場しそうですが、 それぞれのストーリーを背負って登場して欲しいです。
さて、名前が判明している沿岸国家群6ヶ国のうちこれで5ヶ国が登場しました。 という訳で次は沿岸国家群の最後の1つ、クレスト編ですね。ゆっくり待つといたしましょう。(2006/4/29)

vincent&villaford

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