| 感想 |
この作品は単純に謎を解くことがテーマの作品ではないような気がしますね。
ミステリーにおける謎というのは大抵解かれる前提にあるものですけれども、
探偵役の奉太郎にとっての最大の謎とは、
解かれる保証のない「事件の推理を通して古典部へと参加して行く自分自身」じゃないかな、と。
探偵というのは観察者ですから、事件を客観的に見なければいけない訳で、
となると純粋な探偵は事件から影響を受けてはならない存在だ、と私は思うのですが、
奉太郎は全然そんなことがありません。
事件そのものからも影響を受けていますし、また古典部による謎解きという行為にも影響を受けています。
ミステリーを大して読んでない私が言っても説得力もなにもないのですが、
普通のミステリーが見失っているかも知れない人間らしさがこの作品にはあるんじゃないでしょうか。
もう何冊か読んでみないとはっきりしたことは言えませんが、
米澤穂信さんが描こうとしているのは、ライトノベルによくいる成長しないキャラでも
ミステリーによくいる(らしい)成長しない探偵でもなく、「成長し、変化する人間」のように思えます。(2006/5/31)
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