デル戦に浮気
〜「デルフィニア戦記/王女グリンダ」の既刊情報&感想〜

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著者 茅田砂胡 レーベル 中公文庫(再版)
デルフィニア戦記 第1部 放浪の戦士 1 タイトル デルフィニア戦記 第1部 放浪の戦士1 (原題:放浪の戦士)
初版 2003/1/25(再版)
ISBN 4-12-204147-3(再版)
感想 「レディ・ガンナー」以来、是非とも読まなければと考えていた「デル戦」に着手しました。 どういう内容かうすうす予測できていたんですが、やはり「楽しい」作品ですね。 「面白い」じゃなくて「楽しい」。読んでほっとする、元気になれる話です。 良いです。こういうハートフルな作品を捜してたんです。
新刊に限って言えば、今年に入ってから読んだ中でのベストは「破妖」の外伝と「フルメタ」の長編です。 けれど新刊ではない本まで入れれば、小野不由美の「十二国記」、榊一郎の「ドラ・ウィル」「棄てプリ」、 そしてこの「デル戦」がとても印象に残りました。(十二国記とデル戦は、かじった程度ですが)
とにかく読んだ後に「これは読んで良かった」と思えるのです。 人間として生きるのに大事な事、作者がファンタジーを通して読者に伝えたい事、 それが伝わってくるのです。 それはモラルだけじゃないですし、ユーモアだけでも前向きな姿勢だけでもありません。 堅実な文体と構成の上に、巧妙に築き上げられた一途で多面的なメッセージなのです。 なんて、ただの私の妄想だったりして。(笑)
少し気になったのが、脱字があること。 私が読んだのは12版なのですが、そこまで重刷する間に気付いて直せよ〜と思います。(^^;(2000/8/4)
デルフィニア戦記 第1部 放浪の戦士 2 タイトル デルフィニア戦記 第1部 放浪の戦士2 (原題:黄金の戦女神)
初版 2003/2/25(再版)
ISBN 4-12-204162-7(再版)
感想 むむ。残念な事に、「楽しい」から「面白い」作品になってしまっています。 だって戦記ものなんですもの。(それはタイトルから明白だろうが...)
これで面白くなかったら読むのを止めるところなんですが、面白いので読み続けます。(笑)
何が不満かと言うと、人間としての葛藤が少ない事です。 特にウォルとリィは余裕綽綽で、そこがまた面白いのですが、 なんかねぇ...話がうまく行き過ぎてます。 まぁ、このまま万事うまく物事が進んでしまえば4、5巻で終ってしまうので、 この後一波乱も二波乱もあるんでしょうが。 ウォルの出生の秘密、リィの正体、共にまだ謎ですしね。 リィの故郷の話も是非とも読んで見たいものです。
逆に安心したのは、今さら何をか言わんやですが、やはりこの作者は文章が上手い事。 これなら「レディ・ガンナー」がシリーズ化しても、何の心配も要りません。 って、私は一体どういう物の見方しているのやら。(^^;(2000/8/5)
デルフィニア戦記 第1部 放浪の戦士 3 タイトル デルフィニア戦記 第1部 放浪の戦士3 (原題:白亜宮の陰影)
初版 2003/3/25(再版)
ISBN 4-12-204173-2(再版)
感想 これはなかなか来ます。 中盤までの北の塔への潜入の迫力と、 その後のフェルナン伯爵を巡る人達のやるせなさ、そして終盤のウォルの据えた憎悪。 ぎりぎりのバランスを保っている話の危うさが心地よいです。 久々にやばい気持ちにさせてくれました。(笑)
ここに来て「レディ・ガンナー」のキャラとの関係が分かってきましたね。 リィがダムーの原形、ウォルがキャサリンの原形のようです。 特にリィ=ダムーは、復讐と人道のどちらかを選ぶならば、 迷わず復讐を採ってしまう先鋭的なキャラですよね。 「十二国記」や「破妖の剣」もそうなんですが、 何がなんでも守らなければならないものは、 相手を傷付けてでも守る、という傾向は少女ファンタジーで強いようです。 少年向けのファンタジーでは、意外にもこういうのはあまりないですよ。
さてウォルがコーラルを奪還するまであと1冊です。(4巻をちょっと見て分かってしまった。) どういう落とし前を付けるんでしょう。 ウォルとリィが勝ち残るのは目に見えてるんですが、問題はペールゼンとバルロですよね。 せめてバルロには生きていて欲しいですが...。(2000/8/9)
デルフィニア戦記 第1部 放浪の戦士 4 タイトル デルフィニア戦記 第1部 放浪の戦士4 (原題:空漠の玉座)
初版 2003/4/25(再版)
ISBN 4-12-204191-0(再版)
感想 という訳でコーラル奪回編、大団円であります。 なんとなんと国王派の主だった面々で命を落としたのはフェルナン伯爵だけですか。 思い直すと、3巻は伯爵のためにあったようなものですね。ふむ。
これで一応一段落なのですけれど、この後の14冊は一体何が書いてあるのでしょう。 私は大陸書房刊の方を読んだことがないので(中央公論新社から再版されるようですが) 全く想像が付きません。だって戦争終っちゃったよ? 普通だったら、この先は書かないですよね。 でもこの作品の場合、ここから先を書くのが そもそもの目的だと言うんですから、額を抑えてうめいて笑うしかないようです。(笑)
もちろんパラストとタンガが出てくるんでしょうけど、 ウォルが他国を侵略する話にだけは間違ってもならないですし、 そもそもそういう武勇伝が売りじゃないですからね、このシリーズは。戦記ものなのに。(笑)
かと言ってウォルとリィが人生守りに入る訳もないし、やはりここは愛の逃避行か? まぁ、いずれにしても笑える話にしかならんでしょう。(2000/8/11)
デルフィニア戦記 第2部 異郷の煌姫 1 タイトル デルフィニア戦記 第2部 異郷の煌姫1 (原題:異郷の煌姫)
初版 2003/6/25(再版)
ISBN 4-12-204216-X(再版)
感想 どういう話に持って行くのかと思ったら、やってくれたなぁ。 ストーリーも良いですが、なんと言ってもシェラでしょう。 銀髪で女装の美少年ですよ? もう、この外見だけで使い捨てキャラでない事は明々白々です。 どう見たって金髪で男装の美少女(じゃないんだけど)リィと対ですぜ。旦那。(笑)
ウォルの腹の煮えくり返り様も良いですねぇ。 個人の力ではどうにもならない限界にぶつかってしまった時の悩みを こういう形で書いてくれるファンタジーってあまりありませんから。 組織内での葛藤なら「破妖の剣」や「ブギーポップ」でも描かれていますが、 あれは結局組織から逃げ出してしまってますからね。 どちらの行動が良い事か悪い事かはともかく、 既存のものと折り合って行く人間の一面をきちっとカバーしてくれるのは、作者の懐の深さでしょう。 ちょっと人徳が優先しすぎてるきらいはありますけれど、 ここまでやってくれれば、今は充分です。 敢えて言うなら、4巻からの3年間がはしょられている事、 非常に区切りの悪い所で本巻が終っている事が残念ですが、 そこはこの後の巻で挽回してくれる事を期待しましょう。(2000/8/12)
デルフィニア戦記 第2部 異郷の煌姫 2 タイトル デルフィニア戦記 第2部 異郷の煌姫2 (原題:獅子の胎動)
初版 2003/7/25(再版)
ISBN 4-12-204229-1(再版)
感想 また、中途半端で終らせていますね。 続きをすぐに読ませたくなるという点では良いのですが、 どう見てもこれは意識的な構成ではないですよね。 ちょっと作者の構成能力に不安を感じさせます。 これに比べると「レディ・ガンナー」は1冊で随分と良くまとまっていたと思います。 ひょっとして編集の力の差でしょうか?
とは言え、内容の方はキャラもストーリーもとても楽しめます。 この巻のキャラでは特にシェラ君。 美形キャラというものは、何につけても得をするか、いじめ抜かれるかのどちらかになる事が多いですが、 彼の場合は典型的な後者でしょう。 ハートフルファンタジーでは、 こうした敵方の身から既存体制に疑問を投げかけさせるキャラは珍しくありませんが、 何故か可愛い美形という印象が強いですね。「棄てプリ」のクリスとか。
そしてストーリーは、収束というものを知らずどんどん風呂敷きを広げて行きます。 これでは、あと10冊以上必要な訳ですねぇ。 私はシリーズ完結後に読んでいるので、それなりに安心していますが、 リアルタイムで読んでいた人の心中は、察して余りあるものがあります。(笑)(2000/8/13)
タイトル デルフィニア戦記 第2部 異郷の煌姫3 (原題:コーラルの嵐)
初版 2003/8/25(再版)
ISBN 4-12-204243-7(再版)
感想 やってくれるぜ、まったく。
結婚してどうすんじゃ〜!(笑)
いやはや、ここまで無茶をやるファンタジーを読むのは久しぶりです。 ある意味、スレイヤーズ以来の衝撃と言っても良いでしょう。 地がシリアスな文体とはいえ、 これはファンタジア文庫のコミカル&シリアス路線に通じるものがあります。 当時のファンタジア文庫には、こんなロマンスはなかったでしょうが(あってたまるか)。
しかしこのギャグとシリアスの落差の凄まじさ、目をみはるものがありますね。 口絵のシェラとリィの組み合わせや、出歯亀する5人組なんてギャグとしか言いようがないのですが、 キャラの身の上が皆余りにシリアスなので、なんとも言えない雰囲気になってしまうのですよ。 都合が良すぎるきらいはありますが、エンターテインメントとしては文句なしです。 とにかく傑作です。(笑)(2000/8/14)
デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章 1 タイトル デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章1 (原題:風塵の群雄)
初版 2003/11/25(再版)
ISBN 4-12-204286-0(再版)
感想 ついに出た!男装の麗人!(笑)
もはやこの作品の目的の一つが、 作者の妄想を実現するためである事は疑いようのないものとなってきました。 男装のワイルドな金髪美少女(?)、女装のしとやかな銀髪美少年、妙齢ではかない未亡人、 そして勇ましいアッシュブロンドの男装の麗人。 どうだ!これだけ証拠が揃えば反論できまい!(笑)
という戯れ言は置いておきまして、 ストーリーの方はネタが一通り出揃い、ようやく収束の前兆が見え始めましたね。 私としてはタンガ、パラストに勝つのは目に見えているので、 リィが故郷に帰る手段を手に入れた時にどうするのかがとても気になります。 過去を採るのか、現在を採るのか。どちらが本当の自分なのか。 さすがのリィも結婚までしてしまった手前、これには悩むと思うのですが。 仮にリィが悩まなくてもウォルはどういう行動に出るのか。 不安と期待が否応無く高まります。(とか言っておいて肩透かし食らったらどうしよう...)(2000/8/14)
デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章 2 タイトル デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章2 (原題:動乱の序章)
初版 2004/1/25(再版)
ISBN 4-12-204313-1(再版)
感想 どハマリと言いますか、精神的に追いつめられている時に限って こういう痛烈な本に当たってしまうんですよね。 「グラスハート」や「破妖の剣」を読んだ時も、非常に不安定な時でした。 あるいはそれを読んだために不安定になっていたのかも知れませんが、 突きつけられる選択と喪失にやり込められてしまうのです。
シェラの選択、リィの選択。私はこういうのが好きです。 傍目からは自棄な感情に走っているようにしか見えないのですが、 そこには覚悟とか決意とか言ったものを越えた、 刃物の上を走るような尖った心地よさがあるのですよ。 大切なもののために全てを賭けてしまう事。そして絶対に負けない事。 それに心酔できない人は、少女ファンタジーを読まない方が良いかも知れません。
残念なのは(作品の質が残念という訳ではないですよ。)クマさんとリスのお見合いが 戦乱で吹き飛んでしまった事。 こういう展開だと、自分から動いて行くことのできないポーラはとても損な役回りです。 逆に動く事ができて、成長を読者に見せつけられるシェラはおいしいキャラですよね。(^^;(2000/8/19)
デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章 3 タイトル デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章3 (原題:憂愁の妃将軍)
初版 2004/3/25(再版)
ISBN 4-12-204339-5(再版)
感想 ナシアス!あんた何の役にも立ってないぞ!
という突っ込みは置いておきまして、 このシリーズの特徴の一つは、手を変え品を変え読者を揺さぶる事ではないでしょうか。 「破妖」でも「オーフェン」でも「フルメタ」でも、 作風というか展開にある程度パターンがあって、 読む方もそれを承知の上でその完成度に唸らされる訳ですが、 このデルフィニア戦記には敵方がリィを侮り、 最終的にリィとウォルが勝つという以外はパターンがなかなか見当たりません。
最初のテーマは自分の存在価値を見い出す事であり、それから正義を貫く事になり、 社会の中で自分の役割を築いて行く事になり、 そして何もかも投げうって大切なものを守る事へと変わってきました。 この10巻に限れば、リィとウォルの絆は1巻のそれと同じです。 しかし2〜9巻もそうであったかと言うと、どうも違いますよね。 乱暴に言えば軍記もの+シェラの話でした(「らぶろまんす」もあったけど)。 それが、この10巻では久々に2人の自由戦士の物語に戻ってきました。懐かしいです。 吉田縁の「マスカレードの長い夜」なんかを思い出しましたし。 できればこの後ず〜っとこの2人の話を読みたいのですが。(笑)
ところで、魔法惑星ボンジュイって「レディ・ガンナー」の世界ととても良く似ていますね。 レディ・ガンナーが書かれたのが’95年。 ボンジュイが初めて登場する「風塵の群雄」も同じ年に書かれていますから、 ボンジュイのイメージが固まって行く過程で「レディ・ガンナー」の設定が派生していったのでしょう。(2000/8/20)
デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章 4 タイトル デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章4 (原題:妖雲の舞曲)
初版 2004/5/25(再版)
ISBN 4-12-204363-8(再版)
感想 これは凄いです。夫婦喧嘩に始まり離婚騒動で終るファンタジーを私は初めて読みました。 もう、こんな貴重な経験はこの先の人生で二度と来ないでしょう。
全体の構成を見れば、あまりまとまっているとは言えません。 けれども、最初と最後をこういう強烈な形でくくってしまうと、読んだ後の感触が実に良いですね。 これまで色々なシリーズもので、巻を重ねるごとに失望や不満を溜めて行く事がありましたが、 この「デル戦」は11作目まで来てもまだまだ屈託なく笑わせてくれます。
本を読む人にとって、良い本を読んで「これは良い本です!」と人に言えるのはとても幸せな事です。 なかなかないのですよ、こういう事は。 だからこそ、何年も前の作品であってもこのシリーズを読んで本当に良かったと思っていますし、 この本を読む機会が得られた事に感謝しています。 陳腐な言い方しかできませんが、完璧にしてやられました。(2000/8/23)
デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章 5 タイトル デルフィニア戦記 第3部 動乱の序章5 (原題:ファロットの誘惑)
初版 2004/7/25(再版)
ISBN 4-12-204393-X(再版)
感想 をぃをぃ、地図が「ディルフィニア」になってますよ。(謎)
前半は笑わせだけ笑わせておいて後半一気にシリアスに落とし込むのは、 この手の作品の常套手段なのですが、 果たしてこの作者はそれを意識しているのやらいないのやら。 区切りの悪い所で終らせるのは完全にわざとでしょうけどね。(笑)
まぁ、思う存分笑わせてもらいました。 ただレティシアの描写には疑問が残ります。キャラとしては良いのですよ。 ウォルとは違った点でリィと対等な存在というのはなかなか面白い趣向です。 しかしそれをシェラという常人の視点から見せて欲しくありませんでした。 安易な理解を超えたレベルでの心の交流というのは、 「グラスハート」でも分かるように、当事者が主体であって初めて響いてくるものではないですか? わたしはリィの台詞を聞きたいんじゃない。 リィがどう思っているかを知りたいのでもない。リィになりたいのです。
レティシアの主張もリィの反応も思い当たる節があるだけに、ちょっと残念です。(2000/8/25)
デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉 1 タイトル デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉1 (原題:闘神達の祝宴)
初版 2005/1/25(再版)
ISBN 4-12-204475-8(再版)
感想 平和ですねぇ。無論、凄惨なシーンもありますが、式典と縁談話ばかりが印象に残りました。 それを書くのが作者も苦手ではないらしく、色々と宮廷の話を盛り上げてくれるのですが... なんだか切ないですね。
というのも、再版された「王女グリンダ」の前書きを読んで、 リィが最後は自分の世界、魔法惑星ボンジュイに戻ってしまう事を知ってしまったのですよ。 そんな事は読み始めた時から覚悟していたのですが、改めて宣告されると呆然としてしまいました。 いささか反則的な感想ではありますが、それと同時に、 たかだか作り話にここまで心を動かされてしまうというのはどういう事なのかとも思いました。 別に読まなくても死にはしません。 しかしこの作品がただ本屋の棚に並んでいる事と、 自分の目に触れた事とで、たったそれだけの、他の人には見分ける事が不可能に近い違いだけで こうまで自分の行動が変わってしまうとは不思議なものです。
「王女グリンダ」を含めてもあと6冊。 私にとって「デルフィニア戦記」とは何だったのかを総括しなければいけない時期が 近づいてきた事をひしひしと感じるようになりました。(2000/8/26)
デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉 2 タイトル デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉2 (原題:紅の喪章)
初版 2005/3/25(再版)
ISBN 4-12-204502-9(再版)
感想 アクションには迫力が必要です。 「ラグナロク」のリロイも、「フルメタ」の相良宗介にしても、 そのアクションシーンに戦慄してしまうのは、 「負ける訳がない。でも、今度こそは勝てないのではないか?」と思わせる迫力があるからです。 そしてこの「デル戦」も、少女ファンタジーでありながら、 「ラグナロク」「フルメタ」と比べて遜色ない迫力あるアクションを持っています。
リィが窮地に陥ってからのシェラとウォルの闘いが泣けます。 自分と、そして自分の大切なものを傷つけられた事に対する彼らの行動と怒りの前に、 全てのものが色褪せてしまうのです。 素晴らしい。とにかく素晴らしい。 リィとウォルにいつかやって来る別れに対して、 もはや何の不安も感じなくなりました。 これは作り話です。現実の人間はここまで高潔でないかも知れません。 でもこういう話を創り出せるという事は、 人間にそれを達成しうる可能性がある事も示しているのです。
もう「デル戦」は忘れる事のできないシリーズの一つです。間違いなく。(2000/8/27)
デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉 3 タイトル デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉3 (原題:勝利への誘い)
初版 2005/5/25(再版)
ISBN 4-12-204532-0(再版)
感想 タイトル通りの展開な訳ですが、 この作者はこうした淡々とした話はあまり得意ではないように思います。 タイトルを見た時点で分かってしまうのですよ、誰が勝つのか。 そうなると後はイヴンの手柄話を消化して行くばかりのようで、 あまり盛り上がれないのです。 もっとキャラが前面に押し出されて、作者の制止も聞かずに突っ走っていく話でないと。
と言っても、そういう展開はこの巻が最後でしょう。大勢は決してしまいましたから、 あとはネタが残っているキャラ、すなわちリィ、シェラ、ヴァンツァー、レティシア、そしてルウが どういう落とし前を付けるかになるはずです。 特に気が気でないのがヴァンツァーとレティシア。 この2人はいまだ余裕綽綽ですが、悲劇的な最期が待っているのではないでしょうか。 大勢がどうこうでなく、リィ、シェラと戦わざるを得なくなった時点で、 もう救われる道を自分から絶ってしまっているようでならないのです。 この変な予感が当たらないと良いんですが。(2000/8/30)
デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉 4 タイトル デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉4 (原題:伝説の終焉)
初版 2005/7/25(再版)
ISBN 4-12-204553-3(再版)
感想 最初のあの溌剌さは少し陰ってしまったとは言え、 設定に呑み込まれずにここまでしっかり書いているのはさすがです。 ヴァンツァーとシェラの闘いも迫力充分ですし、 その後のレティシアの行動も、意外と思いこそすれ、 それまでのキャラや設定と矛盾するものではない、これが凄い事なのです。 どうすれば説得力を持たせつつキャラを活き活きと動かせるか、 プロ作家と言えどその壁にぶち当たってしまう人が多い中で、 この作者の力量はもっと注目されて良いものです。
そして終盤のウォルとルウが最高! 少年ファンタジーでは逆立ちしてもできない素晴らしい漫才(?)です。 クールを気取った陳腐な理屈ではなく、もっと研ぎ澄まされたもの。 それはもう分かる人だけが分かれば良い、そうでなければ意味を持てないもの。 ちょっと間違うとただの自惚れになってしまうとても危うい、 (実際、多くの人が自己満足に陥ってしまう)けれど他に換える事のできない譲れないもの。 これが無ければ駄目なんですよね。 久々にプロは違うぜ!と思わせてくれました。
さて、あと2冊です。色々忙しいのですが、なるべく早く読みます。(2000/9/2)
デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉 5 タイトル デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉5 (原題:遥かなる星の流れに(上))
初版 2005/9/25(再版)
ISBN 4-12-204584-3(再版)
感想 大詰めです。大詰めにきて妄想が炸裂してます。全てルウの仕業です。(笑)
このシリーズはファンタジーと言えども派手な攻撃呪文が飛び交ったりする話ではないのですが、 ルウの闖入から雰囲気ががらりと変わってしまいました。 やること、やらせること派手なこと、派手なこと。 主要キャラの中で最も遅く登場したにも関わらず目茶苦茶に目立ってます。 しかも男のくせに女性キャラよりお色気振りまいてるし。 少女ファンタジーでは珍しくはないでしょうが、特に後半は恥ずかしいのなんの。(笑)
一方で他の部分も良くできています。 今回は戦役のシーンも楽しめますし、主役4人の妙な関係も笑えます。 ルゥが強烈すぎますが、ウォルとシェラの行動もなかなかに心を動かされるものがあります。
タンガの話はもう終りですね。あとはパラスト、忘れ去られているレティシア、 そしてリィがどうやって自分の世界に帰って行くのか。うぅ〜、泣けそうな気がするなぁ。(笑)(2000/9/2)
デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉 6 タイトル デルフィニア戦記 第4部 伝説の終焉6 (原題:遥かなる星の流れに(下))
初版 2005/11/25(再版)
ISBN 4-12-204612-2
感想 なんと書いたら良いのでしょう。呆然自失状態です。 恐らく今後1週間ほど、私は人間として使い物にならないと思いますので、 周囲の方々は大目に見てやってください。(笑)
最後まで笑わせてくれました。そして読み終わってから泣きました。 最近、良い本を読んだら泣いても良いのだと気付いたので、泣いて泣いて泣きました。 全18巻をちょうど1ヶ月で読み終えたのですが、とてつもなく有意義な1ヶ月でありました。 かけがえのない一夏の思い出かな?(笑)
これはもう間違いなくライトファンタジーの最高傑作の1つです。 これだけの文量がありながらこれだけの完成度を持っているシリーズ作品は、 私の記憶には存在しないし、世の中の既刊の作品中にざらに存在するとも思えません。 むしろ、今後書き重ねられていく作品に、これを越える事を期待しましょう。 とても高いハードルですが、どんなに高くても越える事ができるのだと、 この作品は教えてくれました。
本当に、本当にデルフィニア戦記を読んで良かったです。 正直言うと、ここ2〜3年そう思わせられる事が何度もあるのですが、 だからこそライトファンタジーを読むのはやめられないのですよ。 こんな素晴らしい本に出遭えるなら、あと1000冊でも2000冊でも読みましょう。 最高に幸せです。(2000/9/3)
大鷲の誓い デルフィニア戦記外伝 タイトル デルフィニア戦記外伝 大鷲の誓い
初版 2006/3/25
ISBN 4-12-500939-2
感想 「暁の天使たち」「クラッシュ・ブレイズ」のストーリーの停滞に我慢できなくなってしまった私ですが、 今回はせっかく大好きなデル戦なんだからということで読みました。 あああ、面白い。なんでこんなに面白いんですか。(笑)
外伝にしておくにはもったいない、しっかりしたストーリーです。 前の世代→自分たちの世代→次の世代と代替わりしていく中で、 変わっていくものと受け継がれていくものを描こうとしていますよね。 後半の合戦シーンも素晴らしい迫力と臨場感です。 この人やっぱりこういう凄い作品が書けるんですね。 でも「デル戦」と「暁の天使たち」「クラッシュ・ブレイズ」の合流はやめてください。お願い、プリーズ!
あと沖麻実也さんの描く若いバルロとナシアスを見ていたら、「望園鏡」の小次郎とサラを思い出してしまいました。 外見も性格もなんとなく似てるなぁって。 リィに「なんだい、男」と言われたガレンスも懐かしいですね。 でも極めつけは執事のカーサでしょう。茅田砂胡さんの作品に出てくる執事は最高です。 メイドの時代は終わった。やっぱりこれからは執事ですよ、執事。(2006/3/29)

王女グリンダ タイトル 王女グリンダ
初版 2000/8/25(再版)
ISBN 4-12-500666-0(再版)
感想 興味本位になってしまうのですが、やはり読んでおくべきだと考え、読みました。 当然といえば当然ですが、「デルフィニア戦記」の方が洗練されていますね。 これはこれで悪くはないのですけれど、ウォルにしてもシェラにしても、 書き直して正解だったと思います。ナシアスもいないし、爆笑できるところも少ないですしね。 シェラは確かにこの「王女グリンダ」の方が出張っていますが、 彼の場合、ヴァンツァー、レティシアとまで絡まって初めて 「デル戦」での魅力が引き出せたと思っていますので。
しかし、それで割を食ってしまったのが、カミール王子。 彼はサンセベリアのオルテス王の原形なのでしょうが、まさかこんな美形だったとは(笑)。 サロマ?そんな奴は知らん。(笑)
あと驚いたのが、ボンジュイの設定。’92年の段階でここまで出来ていたのですね。 するとレディ・ガンナーの設定は大分あとになってから派生したのかも知れません、ふむ。 この辺りはもうちょっと掘り下げて研究できそうですね。(謎)
続編、外伝の噂もあるようですが、とりあえず「デル戦」の既刊と呼べる物は読み終わりました。 いやぁ、良かったです。洒落てますもの。 ライトファンタジーを読むのをライフワークとする私にとって この作品は絶対に避けて通れない道だったと思います。 さぁ、次は十二国記を読みましょうか。(2000/9/10)

shera

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