ビデオ「超越神力・天耳通(てんにつう)」全内容

1996年11月4日初版,1999年2月9日復活

 サティアンショップで買ってきたオウムのビデオ「超越神力」の全内容を打ち込みました。

出演者

麻原彰晃尊師               麻原彰晃
松本知子・ヤソーダラー正悟師(当時)   ヤソーダラー
上祐史祐・マイトレーヤ正悟師(当時)   マイトレーヤ
飯田エリ子・サクラー正悟師        サクラー
青山吉伸・アパーヤジャハ正悟師      アパーヤジャハ
遠藤誠一・ジーヴァカ師(当時)      ジーヴァカ
中川智正・ヴァジラティッサ師(当時)   ヴァジラティッサ
芦川順一(仮名)             芦川順一
                    (石川公一です)
芦川君の父                シンガーラピタル
芦川君の母                アバヤマーター
裁判官                  エーラカ

特別出演
神々の声A      シャクティー・ドゥルガー
神々の声B      シャクティー・カーリー
神々の声C      ウマー・パールヴァティー・アーチャリー
スチュワーデス    マハー・ケイマ
看護婦        ウッパラヴァンナー


あらすじ  熱心な在家信者であり、5月に出家予定だった東大生の石川公一君、あ、じゃ なかった芦川順一君が、このところ姿を見せない。心配する尊師が超能力(天耳 通)で芦川君の安否を調べると、何と芦川君は監禁され(あのねえ!)、しかも 薬物が使われている(うわああ!)という。  そこで何としてでも芦川君を救出すべく、真理の弁護士の青山さんが、ジーヴ ァカ(遠藤誠一・サリンを作った人)・ヴァジラティッサ(坂本弁護士をポアし た中川智正。通称「注射魔」っす)らといっしょに芦川君を「救出」に向かう。 ひええええええ。
内容  (1990年5月。オウム真理教東京本部で、受付をしながら尊師の本を読   むサクラー正悟師。すると、背広を着た青年が入ってくる。在家信者の芦   川君だ。) 飯田:あれ、芦川君、今日は随分早いのね。    あれえ? どうしたの、背広なんて。珍しいじゃない。 芦川:エヘヘ。実はこれから、ちょっと田舎へ帰って来るんですよ。 飯田:徳島まで結構大変ねえ。 芦川:ええ。出家をするために、両親と話し合って来るつもりです。 飯田:説得はできそうなの。 芦川:母は信徒ですから、良く話をすれば分かってくれると思うんです。問題な    のはオヤジの方ですね。父親は僕に、果たせなかった自分の夢を託そうと    してるんですよ。だけど僕には僕の人生がありますからね。何とか説得し    てみせますよ。  (東京本部から芦川君が意気揚々と出ていく。それを心配そうに見送るサクラ   ー。)
(主題歌が入る)『超越神力』 (セリフ)  人はだれでも心の奥底に、神秘的な力を宿している。  そして、正しい修行によって、私たちの魂が光り輝く時、それは驚くべき力 となって現れて来るのだ。  私はこの素晴らしい力をこう呼んでいる。人間の能力を遥かに超えた神の力、 すなわち、超越神力と。 1.人はだれでも持っている みんなの心に持っている   遥かな無始の過去から持っている   人にだれでも隠れてる みんなの心に隠れてる   無明の闇を超えて 超越神力だ   功徳によって サマディによって 修習(しゅじゅう)によって 得る世界   悟りによって 解脱によって 自由自在に 君は使える   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   無明の闇を超えて 超越神力だ 2.人にだれでも必要だ まさかのときに必要だ   あなたの少しの努力が実を結ぶ   人にだれでも役に立つ まさかのときに役に立つ   苦悩の波を超えて 超越神力だ   善行によって 寂止によって ダルマによって 得る世界   思念によって 観慧によって 自由自在に 君は使える   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   苦悩の波を超えて 超越神力だ 3.心の中に現われる 心の中に聞こえる   遥かな神秘の国からやって来る   宇宙を超えてやって来る 光を超えてやって来る   タマスの無智を超えて 超越神力だ   布施によって 奉仕によって 調気によって 得る世界   持戒によって ムドラーによって 自由自在に 君は使える   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   タマスの無智を超えて 超越神力だ 4.人はだれでも必要だ みんなのために必要だ   真実の救済のために必要だ   覚者はだれでも持っている 済度のために持っている   悪魔の軍勢を破って 超越神力だ   慈悲によって 覚支によって 五力(ごりき)によって 得る世界   念処によって 如意足によって 自由自在に 君は使える   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   悪魔の軍勢を破って 超越神力だ
 (1990年7月、富士総本部道場で瞑想する尊師。すると、芦川君の叫び   声が聞こえてくる。) 芦川:た.....すけて。たすけて、くれー。た、助けてくれー! 尊師:今のは、芦川君の声じゃないか。間違いない。彼の身に、何か起こったの    だろうか。 尊師(ナレーション)  芦川君は、東大医学部の学生である。オウム真理教の中では、熱心な在家信徒 として知られており、彼自身が、多くのイニシエーションや、修行をすることに よって、自分の瞑想ステージをあげているというだけではなく、これまでに、多 くの人を真理に導いてきた。  自らの悟りを求めて修行をしつつ、「びだ」の心を持って他人を救済する人を、 「到達真智運命魂」と呼ぶが、そういう意味で言ったら、彼は大変優秀な「到達 真智運命魂道」の修行者であったといえよう。  「到達真智運命魂」の修行を行い、徳を積んでいる弟子は、修行上の指導者で あるグルとの間に、あるいは神々との間に、特別な関係が成立する。これを現代 密教では、加持という言葉を使い、私は守護という言葉を使うが、今のこの出来 事は、まさにこの神秘的な力が働いていたに違いないのだ。   (再び蓮華座を組み瞑想する尊師。    天耳界の神々に芦川君の様子を聞く。) 尊師:天耳界の神々よ。芦川君の身に何か起こったのだろうか。 神A:救え、救え、救うんだ! 神B:まさに、これ以上おいておくと危険だ(正確に聞き取れず)。 神C:救い出せ! 尊師:それは、監禁されているということか。 神A:そうだ。 尊師:場所は、家で間違いないか。 神B:間違いない。 尊師:薬物は、使われているのだろうか。 神C:使われている。 尊師:ということは、薬物が使われていて、家の中で監禁状態にあるんだな。 神A:その通りだ。 神B:あと一週間が限界だ。 神C:これ以上おいておくと、彼の人生が破壊されてしまう。何としても救い出    せ(正確に聞き取れず)。 神A:救え、救え、救い出せ! 神B:急げ、急げ! 遠藤:あのお、尊師.... 尊師:おお、ジーヴァカか。ちょうど良い、入れ。   (遠藤、尊師の部屋に入る。) 遠藤:実は、芦川君の事なんですけども、何かおかしいんですよ。 尊師:うん。 遠藤:彼は5月に出家する筈だったんですけども、家に戻ったきりで連絡もつか    ないんです。 尊師:連絡がつかないとは? 遠藤:電話をしても本人は出ないし、「じゃあ後でこちらにかけて下さい」と家    族の人に頼んでも、全然かかって来ないんです。彼の友達も同じ様な状況    で、大学にも行ってないというし、みんなの話を総合すると、彼は監禁さ    れているかもしれないんです。どうしましょうか。 尊師:ジーヴァカ。芦川君は、間違いなく監禁されているぞ。私はたった今、瞑    想中に神々から、そのことを聞いたところだ。 遠藤:天耳通を使われたのですか。尊師の神通力によって知られたのなら、確実    ですね。 尊師(ナレーション)  天耳通とは、修行によって身につく神通力、つまり、超能力の一つである。瞑 想で天耳界に入ることによって、遠くや近くの音、またや神々の世界や人間世界 の声を自由に聞くことができるのだ。  その声や音は、地球のどこにいようとも、瞬間的に伝わってくる。なぜなら、 天耳界というのは、アストラルという異次元世界の中の一つであって、この特殊 な空間を使って、音や声が伝わってくるのである。この天耳界において伝わる音 声は、大変正確なので、修行によってある程度のステージに到達した修行者にと って、空耳などということは、決してありえないのだ。 尊師:弁護士のアパーヤジャハが道場にいるはずだから、かれと相談して動いて    くれ。 遠藤:わかりました。そうしましょう。   (遠藤、車でアパーヤジャハを向かえにいく。    道場から、颯爽とアパーヤジャハ登場。車に乗り込み、尊師の許に向かう。)   (舞台は朝の上九一色村。尊師・青山・遠藤による話し合い。) 青山:調査をしてみたんですが、やはりおかしい様ですね。芦川君と同じ東京大    学の信徒さんや、彼を良く知っている友達を初めとして、何人かに話を聞    いてみたんですが、母親がブロックするというんですね。電話連絡も.... 遠藤:ええ。居留守を使ったりして、母親は「伝えておきます」というんだけれ    ど、結局本人から連絡は入ってこないと。どうもおかしいんだけれど、よ    く分からないというところです。 尊師:監禁はもう間違いがないのだから、早速あした徳島に飛んで、直接あたっ    て見てくれ。 遠藤・青山:はい。 尊師:医師のヴァジラティッサも連れていった方がいいなあ。薬を飲まされて、    肉体に異常が出ているだろうから。 遠藤:分りました。早速病院の方に連絡してみます。   (舞台は飛行機の中。青山・遠藤・中川が並んで座っている。) 青山:まず、母親に面会を申し入れて見ましょう。 遠藤:そうですね。どうせ本人と逢わせてもらえないでしょうが。母親は一応信    徒さんですしね。 青山:ええ、多分何とか逢えると思うんですよ。 スチュワーデス:いかがですか。(と、コーヒーを差し出す) 中川:いいえ、私はコーヒーはあまり好きじゃないんです。   (徳島の「芦川病院」に到着。) 遠藤:あれですね。   (病院に入る。) 看護婦:こちらの方でお待ち下さい。   (207号室に通される。) 中川:なかなか立派な建物ですねえ。あの家のどこかに、芦川君が閉じこめられ    ているんですかねえ。 遠藤:おそらく....   (すると、いかにも困惑した表情で、芦川君の母親が部屋に入って来る。) 芦川君の母(以下母親):ど、どうして急に来られたんですか。困ります。 青山:いえ、私たちはただ、芦川君が5月に出家するとオウムの方に言っていた    のに、それから全く連絡がないので、どうなさっているのかと思って、心    配して来たんです。 遠藤:友達にも「僕は強く出家するんだ」って強く言ってみたいですし。彼の誠    実な人柄や熱心な活動からして、完全な音信不通には、ちょっと考えられ    ないんで。 青山:本人の意思を確認したいので、ご両親立ち会いの許で結構ですから、逢わ    せていただけませんか。 母親:もう順一はオウムの方から完全に気持ちが離れています。オウムには連絡    したくないとあの子は言ってました。 青山:今、家にいらっしゃるんですか。 母親:いえ......今はちょっと...... 青山:こちらには、帰ってらっしゃらないんですか。 母親:帰ってはいますが。 遠藤:どちらかに。 母親:りょ....旅行に出ています。 青山:では、是非本人と連絡をとりたいので、順一さんが行かれた住所と電話番    号を教えていただけませんですか。 母親:連絡先は分かりません。 青山:分からないんですか? 母親:はいそうです。 青山:では、いつ帰って来られるんですか。 母親:それも分かりません。 青山:何故、旅行などにでてらっしゃるんですか。    確か学校は休学中でしょ? そんなときに.... 母親:家にいると父親と顔を合わせるので、おり辛いんだと思います。 青山:お父さんと逢いたがっていないんですか、彼は。 母親:ええ、父親がオウムに反対していますから、つい喧嘩になってしまうので。 青山:喧嘩をするということは、オウムへの出家の意思はまだあるということです    ね。 母親:(動揺して)いえ、まだ、心の整理がついていないようです。 青山:心の整理がついてないということは、出家の意思があるんだという事ですね。    あのですねえ......   (すると、血相を変えた顔で父親が部屋の中に入ってくる。) 父親:何の用だ!! 今、忙しいんだ! 下らない話なら、帰れ!! 青山:私たちはただ、芦川君が連絡を絶ったので、どうしたのかと思って。 父親:診療中なんだ、非常識だろ! こんな時間に訪ねて来るなんて。 青山:どうもすいません。こんなお忙しいところ。 父親:まったくだ。さあ、用件が済んだら帰ってもらおう。 青山:いえ、まだ.... 母親:いや、すみませんが、うちの者もこう言ってる事ですし、今日のところは    これでお引き取り願いませんか。 青山:それじゃあ、あの、お昼頃ならよろしいですか。 母親:ええ、ええ。そうして下さい。 青山:じゃあまた、お昼にお伺いしますので。 母親:何のおかまいもできませんで申し訳ございません。   (青山、公衆電話で尊師に電話をかける。) 青山:やっぱり、ちょっと様子がおかしいですね。ええ。    母親は何か動揺していたようでしたし、父親の方は怒りまくっていました。 尊師:ううん。 青山:ですが、これといった確かな証拠がないので、今一つ確信が持てないので    すが。 尊師:お前達は騙されているぞ。母親がグルになってるんだ。母親が、信徒だと    いう観念は捨てるんだ。必ず監禁されているんだから、もう一度いって見    てくれ。 青山:分かりました。お昼に会いに行く約束はしてありますので。 尊師:うん。頼んだぞ。   (部屋にいるヤソーダラー(以下知子)が尊師に話しかける。) 知子:なかなか、大変なようですね。 尊師:私はね、5月の終わり頃に一度、芦川君の様子を、神秘的な力によって透    視をしてるんだよ。私が透視したとき、彼は出家に対する意欲と、両親に    対する情との板挟みで、苦しんでる状態だった。しかし、私はこんな事で、    前生からの修行者である芦川君の、信と帰依が揺らぐことはあるまいと考    え、そのまま放って置くことにした。    できることなら、納得できるまで話し合いをさせてから出家させた方が、    彼の為にもなる。行かなければよかったのに、という弟子もいたが、彼が    納得するまでやらせたらいい、と私は考えていたんだよ。 知子:ですが、医大生というのは、何故かこういうトラブルが多いですね。 尊師:それだけ、親の執着が強いんだね。まあ、それだけお金がかかってる訳だ    し、単なる情だけではなくて、地位や名誉、老後の安定といった、いろい    ろな要素を親としては持ってるからねえ。   (舞台は再び芦川病院へ。    芦川君の両親と、青山・遠藤・中川との話し合いが再開する。) 父親:朝はどうも失礼しました。診療中は忙しいもので、つい。 青山:いえ、こちらこそ。    あのお、先ほどのお話ですが、お母さんのお話で、納得いかないところがあ    るんです。    お母さんは、「順一は、オウムから心が離れている」と、初めはおしゃって    いましたが、その後には、「オウムのことで、父親と喧嘩するから、家にい    たくないんだと思う」と、おっしゃってます。はっきりいって、これは矛盾    していると思うんですが。 母親:あの時は突然来られたのでビックリして、少し気が動転してたんだと思いま    す。    とにかく、今現在はあの子はここにはいません。 遠藤:では今日でなくても構いませんから、一度本人と会わせていただけませんか。    どうしても無理ならば、電話だけでも構いませんから。 中川:彼の意思さえ確かめれば、こちらも安心できますので、もうご迷惑をおかけ    することはないと思います。 父親:いえ、私の方もどこへ連絡すれば良いか分からないし、いつ帰ってくるかも    分からないので、そういう事はお約束できません。 青山:もし、聞き入れて下さらないのなら、こちらとしましても、法的手続きをと    るかもしれませんが。 父親:私は全財産を抛ってでも、「被害者の会」に入り、そして一生をかけてオウ    ムと戦います。 遠藤:あのお........ 父親:横浜弁護士会とも、連絡をとります。 青山:あの、私たちはただ、本人の意思を確認させていただきたいと思っているだ    けなんですが。 父親:ええ、ですからそちらが法的な手段をとるというのなら、私の方も、それな    りの覚悟があると言っているんです。 中川:何か変ですよ。躁鬱病の状態と似てますね。   (再び青山弁護士、尊師に電話。) 尊師:何でお前たちはそんな風に考えるんだ。 青山:確かに不審な点はありますが、ああいう応対をされますと、ますます確信が    なくなってしまって。 尊師:よし、じゃあヴァジラティッサを出してくれ。 中川:はい。ヴァジラティッサです。 尊師:お前の考えはどうだ。 中川:確かに、何かを隠している様子はあります。ですが、薬を飲ませてないと思    います。 尊師:何故だ。 中川:私が、精神病院にいれられて薬を飲まされていた平松さんという例があるか    ら、心配しているということをいったんです。そうしたら、 「(父親の声)親が子どもに、そんな事をすると思いますか。血を分けた子どもに、  そんな事をするはずがないでしょう」。 中川:医者は、薬の怖さをよく知っていますから、やはり薬を使うなんて事は、な    いんじゃないんでしょうか。 尊師:監禁されて薬を飲まされてるのは間違いないんだよ。 中川:はあ。 尊師:とにかく一度バックして来なさい。   (尊師、カミサンを呼ぶ。) 尊師:ヤソーダラ、マイトレーヤに連絡を取ってくれ。 知子:はい。 尊師:やはり、人的保護請求という法的手続きをとる線で、押していった方が早い    だろう。   (ソファーに集まり、尊師、上祐、青山、遠藤、中川が鳩首会談。) 上祐:確かに確固たる物的証拠は何もない。しかし、事は人命に関わることなんだ。 尊師:それに、このままにしておくと、結局、芦川君と真理との縁を弱める事にな    ってしまう。    これは彼の人生に於いて、いや、彼の輪廻転生において、取り返しのつかな    いダメージとなってしまうだろう。 青山:分かりました。勿論推測が成り立つので、違法な訴えという訳ではありませ    んが、まあ失敗したら非常な恥をかくというのか、そういうケースなので、    私自身かなり迷っていた訳ですが、今のお話で決心がつきました。 尊師:よし、頼んだぞ。 上祐:しかし、尊師の神通力がなければ、八方ふさがりの全くどうしようもないケ    ースでしたね。 尊師(ナレーション)  というわけで、7月27日に、私達は徳島地方裁判所に、芦川順一君の人身保護 請求を、提出したのであった。そして8月1日には、彼の両親に対する尋問が、裁 判官の手によって行われ、父親から先に、裁判官による質問がされたのであるが、 父親の話は、その問いにたいする答えになっておらず、裁判官から窘められる程で あったという。 青山:3日には、芦川君本人の呼び出しがあるので、彼に会えるでしょう。 上祐:これを拒否することはできませんですからね。 尊師:うん。その日はおそらく彼は親に連れられて弁護士事務所によるはずだから、 そこで待っていれば、話をするチャンスがあるだろう。   (上祐・青山・遠藤・中川は再び徳島へ。    「徳島弁護士事務所」があるビルの前で待ち合わせている。    すると、芦川君が一人でやってきた。) 遠藤:あ! 芦川君 芦川:お久しぶりです。 中川:どうしたんだいったい。連絡が途絶えてたんで、みんな、心配してたんだぞ! 芦川:父が、僕が出家するなら、被害者の会に入ると言っていたんで、そうさせた    くなかったんです。何とか説得したいと思っていて...... 上祐:芦川君。君のやり方は間違っているよ。父親が被害者の会に入ろうが何をし    ようが、そんなことは構わないじゃあないか。大切なのは、君自身の修行だ    ろ?   (舞台は徳島地方裁判所へ。芦川君本人の尋問の場面)。 裁判官:出家の意思はありますか。 芦川:今、直ちに、オウム真理教に出家したいと思います。   (がっかりする両親。見つめ合い喜ぶ上祐・青山。)   (そして場面は、上九に向かう車中に。車の中には上祐・青山・遠藤・中川・    芦川君) 芦川:監禁ですか。いいえ、そんな事はないです。 青山:ええっ? じゃあ家で何してたの。 芦川:何って、あのお.... なんというのか、もの凄く愚鈍な生活をしてたんです。 青山:愚鈍? 芦川:ええ、まあ.... 例えば、レンタルビデオを一日に何本も見ていたり、おや    つとか、いろんなものを食事以外に食べたり、とにかく、母が出してくれた    ものは、何でも食べてましたから。後は、殆ど寝てましたね......。 青山:君がかい? 芦川:ええ。 上祐:出家の事はどうするつもりだったの? 芦川:うーん。勿論するつもりだったけど......   (芦川君は眠ってしまい、中川の肩にもたれ眠る) 中川:帰ったら早速、血液検査の手配をしておきましょう。 尊師(ナレーション)  血液検査の結果は二回とも、クロル・フロマジンが検出された。これは、重度の 精神分裂病などに用いられるかなり強い薬である。また、合わせて行った肝機能検 査では、薬の影響で、肝障害を起こしていることも発見された。何と、入院が必要 なほどの数値が検出されたのである。   (修行場へ。多くのサマナに混じり、修行に励む芦川君。)   (道場にサクラー正悟師が入ってくる。芦川君と顔をあわせる。)      (サクラー、祭壇にお祈り) 尊師(ナレーション)  彼の話によると、「ある時、急に意識が戻ってきたように感じた」等と言うが、 その時期が、オウムが、両親にアプローチを開始した時期と一致していた。おそら く、事の成り行きに不安を抱き、事件の発覚を恐れた両親が、その時点で、薬の投 与を中止したのだろう。しかし、それからかなりの日数を経て、今なお薬が検出さ れ、そして肝障害がみられるとは。  やはり、助けを求める芦川君の声を聞いた瞬間から、確信をもって、救出活動を 押し進めたことは間違っていなかった。もし、あの時ひるんでいたならば、天耳界 の神々の言葉通り、彼の精神性は破壊されてしまったに違いない。  まさに危機一髪だったと思う。このクロル・フロマジンという薬は、副作用で、 精神状態が狂ってしまうこともあるのだ。神々は、ここまで教えてくれたのだ。   (朝の上九。サティアンの屋上で佇む尊師。) 尊師(ナレーション)  成長した小鳥は、いつかは巣を飛び出すのだ。いつまでも、親鳥の物ではありえ ない。 (そして、上九で朝の掃除をする芦川君に微笑みかける。)  この事を芦川君の両親が悟ってくれたら良いのにと思う。  彼はいま、健康を取り戻し、修行とワークに励んでいる。
(歌)超越神力のエンディングテーマ(天へ帰れ) 1.わたしは天から降りてきた   この世の喜びの少なさに 苦悩を悟り修行に向かう   もしもあなたが悪趣からの転生をしていたとしたなら   この世は喜びだ   人間界は悪趣と比べたら 喜び多い世界だから   もしもあなたが 天から生まれたら   この世は苦しみだけの世界   そして真実の幸福求め 必ず必ず修行する   人の五感と神の五感は 全く別のものなんだ   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   煩悩超えて超越神力だ 2.わたしは天から降りてきた   この世の楽しみの少なさに 苦悩を認め出離に向かう   もしもあなたが悪趣からの転生をしていたとしたなら   この世は楽しみだ   人間界は悪趣と比べたら 楽しみ多い世界だから   もしもあなたが 天から生まれたら   この世は悲しみだけの世界   そして真実の平安求め 必ず必ず出離する   人の力と神の力は 全く別のものなんだ   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   苦楽を超えて超越神力だ  あなたは神からの転生かな?  それとも、あなたは悪趣からの転生かな?  それは、あなたが修行するかどうかで決まるね! 3.わたしは天から降りてきた   この世の幸せの少なさに 苦悩を超えて解脱に向かう   もしもあなたが悪趣からの転生をしていたとしたなら   この世は幸せだ   人間界は悪趣と比べたら 幸せ多い世界だから   もしもあなたが 天から生まれたら   この世は憂愁だけの世界   そして真実の大楽求め 必ず必ず解脱する   人の世界と神の世界は 全く別のものなんだ   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   天耳・他心・宿命・天眼・漏尽   カルマを超えて超越神力だ  もともと備わっているわたしたちの神通力。  早く君も得よう! おわり。いやあ、芦川君、無事に救出されて良かったですねえ。

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