−−−第九章−−−
『鬼退治が、猿退治になっちゃったな!!』
桃太郎は苦笑を交えながらそんなことを考えていました。
「さて、罠を仕掛けるか。」
猿を捕まえるために桃太郎は簡単な罠を仕掛けました。
桃太郎が持っていたバナナとらっきょを落とし穴の上に置いて、
その落とし穴に落ちたと同時に上から篭が落ちてきて猿を捕らえるという、
なんともシンプルな仕掛です。
『でもなぁ、こんな単純な仕掛に引っかかるかなぁ?
まぁ、もし、これに引っかからなかったら、
村のみんなに謝って、さっさとこの村から出てしまえばいいか。』
などと、桃太郎は考えていました。
それからもう1時間ぐらいたったでしょうか?
未だに、罠に引っかかった形跡は有りません
『やっぱり、こんな罠には引っかかる訳ないか。』
桃太郎は、そう思って村に引き返そうとしたとき、
キキッ!!キーキー!!
ウキョキョキョッ!!
キキキキィー!!
ウキャッ!!ウキャキャ!!
ムキャッ!!ムキョッ!!
ウッキキキー!!
何やら後方から猿の鳴き声らしきモノが聞こえてきます。
『あらら・・・・・
引っかかっちまったよ、オイ。』
桃太郎はビックリしてしまいました。
まさか、本当にこんな罠に引っかかるとは思ってもいなかったからです。
桃太郎が罠のある場所に言ったときは既に鳴き声はおさまっており、
中では猿がらっきょの皮を剥いて遊んでいました。
『こうも、こちらが意図した通り引っかかってくれると嬉しくなっちゃうなぁ。』
桃太郎は笑顔を浮かべながらそう思っていました。
『何はともあれこれで俺の役目は終わったな。』
桃太郎は一息いれると猿を連れて村に戻ることにしました。