−−−第四章−−−
「よし、ばぁさまや、こいつは桃から生まれたから桃太郎と名付けよう!!」
「おお、それがいい、それがいい。
さすがじぃさまだ!!
なんてセンスの良いネーミングだ!!」
センス・・・・・いいですかね?(笑)
そうは思えませんが、まあ突っ込まないでおきましょう。
桃太郎と名付けられた人物はそれを聞いて慌てて反論しました。
「ちょっと、待ってくれ!!俺には【瀧 一矢】という立派な名前があるんだ!!
それにこれは桃じゃないし、ましてや俺はここから生まれたわけではない!!」
おじいさんとおばあさんはそれを聞いて、
「だそうですよ、じぃさまや。」
「ああ、そうみたいだな、ばぁさまや。」
どうやら理解してくれたようです。
「で、桃太郎や、今日の飯は何がいいべか?」
「おお、そうだ、桃太郎、何が喰いたいか言っておけ!!
兎か?猪?熊?たぬき?どれでもいいぞ!!
わしがとってきてやる!!」
前言撤回。
ボケが始まったのかどうか知りませんが全然理解していないようです。
「だぁかぁらぁー!!
俺は桃太郎じゃないっていってんだろ!!
俺の名は【瀧 一矢】だ!!」
「おお、そうじゃったな。
桃太郎、いまから猟に行くがついてくるかね?」
「だから桃太郎じゃないって言ってんじゃねぇか!!
そんなセンスのかけらもみえない名前で呼ばないでくれよ!!」
ピクンッ!!
おじいさんの顔がひきつってます。
「センスが無い・・・・・だと?
このわしにセンスがない・・・・・だと?」
おじいさんの顔が怒りで真っ赤に染まっていきます。
と、同時にそばにあった斧を持ち出し構えました。
「奥義!!怒竜旋風斬!!」
すさまじい力がおじいさんに集まっていくのを感じます。
それをみて一矢は、
「じょ、冗談です!!
桃太郎・・・・・なんて良い名前なんだ!!
稀代の天才と言われる人達でさえこのような名前は思いつかないだろう!!
これほど、良い名前が他にあるだろうか?いや、ない!!」
と慌てて絶賛の声をあげました。
普通のおじいさんとおばあさんならここまで卑屈になる事もないでしょうが、
何しろ相手は筋肉ムキムキのマッチョマンです。
逆らえなかったのは仕方の無い事だったといえるでしょう。
こうして、桃太郎は誕生したのです。