−−−最終章−−−
「ただいまぁ!!」
桃太郎はあのジジババコンビの元へと帰ってきました。
「あー、あんたは誰じゃ?」
「じぃさまや、桃次郎ですよ、桃次郎。」
ズコッ!!
桃太郎は思いもよらない反応にズッコケてしまいました。
「あんた達が桃太郎って名付けたんだろうが!!」
「おお、そうじゃったそうじゃった。
桃太郎、おまえはここへ何しに来たんだい?」
「そこん所をあたしも聞きたいやねぇ。」
「ア・ン・タ・等、ホントに覚えてないのか?
鬼退治してこいと言ったのを忘れたのか?
しかも、その証拠としてお宝を分捕ってこいといったじゃねぇか!!
本気で忘れたのかよ!!」
「あー、そうじゃったそうじゃった!!
すっかり忘れていたわい!!
ハッハッハ!!」
「あたしもだよ!!
ホホホ!!」
「笑ってごまかすんじゃない!!
この死に損ないども!!」
ピクンッ!!
ピクピクピクッ!!
おじいさんとおばあさんの表情が険しくなりました。
「ほほぅ、桃太郎も面白いことを言うようになったなぁ、ばぁさまや!!」
「そうですね、じぃさまや!!」
おじいさんとおばあさんはそう言ってむっくりと立ち上がりました。
その時になって、桃太郎は自分がとんでもないことを言ったことに気付き、
慌てて今の失言について謝りました。
「ご、ごめんなさい!!
今のは失言でした!!
僕の事をすっかり忘れていたようだったので、
つい悲しくなってしまったんです!!
どうかお許し下さい!!」
桃太郎は土下座して、額を床にこすりつけながら謝りました。
どうやら、おじいさん達の怒りもようやく納まったようです。
「で、桃太郎、成果はどうじゃったんだ?」
「バッチリですよ!!
庭を見て下さい!!」
桃太郎はそう言っておじいさん達を庭まで連れ出しました。
「ほぇぇー!!」
おじいさんとおばあさんは驚嘆の声をあげました。
「凄いでしょう!!
鬼どもに四方八方囲まれましたが、
疾風のような速さで動き、鬼どもを蹴散らしてやりましたよ!!」
桃太郎は自慢げに語りました。
「だったら、もう鬼ヶ島に観光に行っても大丈夫だな。」
おじいさんは思いがけもない事を言ってきました。
「あ、それは駄目です。
鬼どもは死ぬ寸前にあの島に呪いをかけてしまいましたから・・・・・」
桃太郎は鬼ヶ島に滞在した一年でとても口が上手くなっていました。
その後も言葉を巧みに操って事実とはかなりかけ離れた武勇伝を語りました。
それが後に桃太郎として語り継がれていったのです。
−−−完−−−