
540との比較: AP29Lはカン全長はAP36L(550/SP600)クラス、直径はAP29(SP480)と同等です。重量は約140g。
T-33EDFで過熱気味のAP29Lは巻線8515で6セル無負荷32000rpmも回るので、これにロッベプラネタギヤでも付ければ良好な性能を発揮するでしょうが、やはり小さな4x4mmブラシがネックとなりコミュが駄目になるのは時間の問題でしょう。使用されているマグネットは相当強力な様なので、手巻きECOパワーでダイレクトドライブの9インチペラを回してみます。
AP29(SP480系)とも同等の直径のこのモーター缶は元々エアガン用だそうで、そっち系のサイトではコレのチューンナップ版が高値の様です。一方欧米ではMultiplex/Permaxブランドで、ダイレクトドライブのSP500-600クラスの軽量機においてコレに換装されている様で、8インチペラを回せるタイプもあり、軽量パワフルで将来性もありそうです。但しデータを見ると30Aも食わせてあり、やはりブラシとコミュが心配になりました。
私のT-33EDFでの感触は、ちょっと無理しているなぁと思われるものでした。約60%の負荷/無負荷rpmで負荷電流25-30Aの設定は、その発熱具合から効率も良くなく540カーモーターの方がかなりマシではと思いました。事実T-33EDF搭載のAP29Lの寿命は、ヘタすると7セルで20回程度との情報もあり、キット付属モーターは初期型のフロントベアリングのみのから、エンドベルの冷却を良くしたダブルBB、さらにはV-スペシャル(?)となり、やはりかなり無理があるのではと思わせます。
AP29Lをバラす:

コミュはノーマル540と同じ径8mm、ローターは540の径23.0mm、21.8mm長に対して径19.5mm、27.6mm長と細く長く、AP36Lに近い長さです。ローターの部品はほぼ540タイプのそれと同じです。であればブラシも5x4mmで良かったのでは? 私のは6セルで飛ばしていた為かコミュは良い状態でした。同じ入力(W)でモーターの軸出力(W)を増加させるには、ローター径を大きくして軸中心と発生トルク点の距離を長く取るか(力x腕の長さ)、ローター長を長くして発生トルク幅を稼ぐ方法があります。この事からAP29Lは直径はSP400(380)サイズでローター長を長くとり540クラスの軸出力を実現したかったのでしょうか? それと細身に作ってエアガンに組込める事も大事です....^^。
”こうしてバラしていた頃、ちょうど「軽模型飛行機研究所」の高崎氏よりAP29Lを手巻きしてみたとの連絡があり、なんと奇遇なのでしょう!”
コイル巻線の長さをノーマル540ローターと比べるとAP29Lローターの方が20%ちょっと長くなり、コイル単体としてはAP29Lローターコイルの方が大きい事になります。これは単純に30ターンのAP29Lローターと35ターンのノーマル540ローターが同等の巻線長という事です。事実20m巻のウレタン線が30ターンのダブル巻きで2mも余りませんが、540ローターでは15m巻で足ります。
10数年前ASMEの会員だった頃、ASMEジャーナルでローターとケースを逆にしたモーターのスケッチを見ました。つまりケースの方が出力軸と共に回転するのです!! こうすると発生トルク点の距離が最大となる為、ハイトルクが可能になり目から鱗でした。但しケースが回転すると言う事に起因する問題点、更なるトルクアップを求めて減速ギヤを使用したくなったら? そして固定されているローターコイルの極性コントロール等、出来たらいいなぁと思っていたら、5年程年前からケラーさん達が作ってNEWTOR という名で販売しており、現在では大型スケールグライダーや、それの曳航機のパワープラントとして最適の様です。と思ったら、最近 Aeronaut も本格的にカタログに載せており、今度のは小型機にも使えそうです。コレはいいなぁ!!

| Rotors | Dia.(mm) | Length(mm) |
| 540normal | 23.0 | 21.8 |
| AP29L | 19.5 | 27.6 |
| AP36L | 23.0 | 30.0 |
| 540short | 23.0 | 19.0 |
巻線表: 直径及びシングル巻き、ダブル巻き断面積
| d(mm) | A(mm^2) | doubleA(mm^2) |
| 0.4 | 0.126 | 0.251 |
| 0.45 | 0.159 | 0.318 |
| 0.5 | 0.196 | 0.393 |
| 0.55 | 0.238 | 0.475 |
| 0.6 | 0.283 | 0.565 |
| 0.65 | 0.332 | 0.664 |
| 0.7 | 0.385 | 0.770 |
| 0.75 | 0.442 | 0.884 |
| 0.8 | 0.503 | 1.005 |
| 0.85 | 0.567 | 1.135 |
| 0.9 | 0.636 | 1.272 |
コイル一巻き当たりの断面積を同じにした場合、シングル巻きより多重巻の方がスキマ効果によりターン数を稼ぐ事が可能。結果、入力(W)あたりの発生トルクを増加させる事が出来る。コイルのターン数を同じにした場合、シングル巻きより多重巻の方がスキマ効果により巻線の断面積(和)が大きくなる。つまりコイル抵抗の減少によりエネルギー変換効率アップが可能。これの両方の効果を狙うと、コイルスロットにめいっぱい細線を多重巻きした「シコタマ巻き」となります。
| Type | 540/7030 | 29L6527 | 29L5535 | 29L5535 | 29L5535 | 29L4030D | 29L4030D | 29L4531D |
| Cells | 6RC1700 | 6scrc1700 | 6RC1700 | 7*500AR | 6RC1700 | 6RC1700 | 6SP1400 | 6CP1700 |
| rpm@NL | 18900 | 20600 | 14400 | 16800 | 14400 | 19300 | 19000 | * |
| Prop | 9*5G | 8*4E | 8*4K | 8*4K | 9*5G | 9*5G | 9*5G | 9*5G |
| rpm | 8900 | 9500 | 9400 | 9000 | 8100 | 8300 | 8200 | 8500 |
| Prop(km) | 67.8 | 57.9 | 57.3 | 54.9 | 61.7 | 63.2 | 62.5 | 64.8 |
| rpm/NLrpm(%) | 47% | 46% | 65% | 54% | 56% | 43% | 43% | #VALUE! |
| 入力(V) | 6 | 5.9 | 7.1 | 6.9 | 6.7 | 6.1 | 6 | 6.3 |
| 負荷(A) | 22 | 23 | 14 | 13.3 | 16.5 | 20 | 20.5 | 21 |
| 入力(W) | 132.0 | 135.7 | 99.4 | 91.8 | 110.6 | 122.0 | 123.0 | 132.3 |
| 算定軸出力(W) | 110 | 67 | 65 | 57 | 83 | 89 | 86 | 96 |
| 効率(%) | 83% | 49% | 65% | 62% | 75% | 73% | 70% | 73% |
| 熱損失(W) | 22 | 68.7 | 34.4 | 34.77 | 27.55 | 33 | 37 | 36.3 |
| スポーツ機重量(g) | 1100 | 670 | 650 | 570 | 830 | 890 | 860 | 960 |
| 高翼練習機(g) | 1650 | 1005 | 975 | 855 | 1245 | 1335 | 1290 | 1440 |
6527: まず手持ちのウレタン線の0.65mm線(0.332mm^2)を巻いてみると27ターンでいっぱいになりました。これが上手く行けばそれで満足だったのですが、APC8x4Eペラで9500rpmはムサシノ37Tモーターより強力であるものの、すでに過負荷で23Aは食い過ぎ。これで9インチはさらに過負荷で回せません。しかしYokomoプロストック27Tやジョンソン540よりパワフルだと思います。願わくば進角調整したい所ですが、0.65mm線に23Aも流せば相当発熱するでしょうから効率が良い筈もありませんね。
5535: 次に0.6mm線(0.283mm^2)をテストしたかったのですが、0.55mm線(0.238mm^2)しか手に入らず、巻いてみると35ターンでコイル溝がいっぱいになりました。これは6セルRC1700で9x5G折ペラを8100rpm/16.5Aと大変良好で、エクセルモドキに搭載してみると適度な旋回上昇で長時間フライトが可能でした。競技志向でなければこれで充分! ちなみに7セルでも500ARではこれ以下の出力しか出せませんが、500ARでも実用範囲です。
4030ダブル: 0.55mm線(0.238mm^2)よりもコイル断面積増加を狙って0.4mm線をダブル(0.251mm^2)で30ターン巻く。ところが巻き終わってもまだかなり巻けるスペースがありスキマ効果を痛感しました。これは6セルRC1700で9x5G折ペラを8300rpm/20Aと少しパワフルで、540ローター7030に少し近づきました。しかし新型軽量バッテリーのタミヤ1700MPではRC1700の回転数に達せず、軽量化と引換えで8100rpm/19.5Aに落着く。飛行性能は軽量化でさらに良好。
4531ダブル: もっとパワーをと線材屋を探し、やっと秋葉原のラジオデパート正面のオイヤデ電気にて0.45mm(0.159mm^2)と0.5mm線(0.196mm^2)を調達。UEW線は被服を剥がさなくても半田付けが出来ることを学習! この辺で手巻きAP29Lにおいて6セルで9x5G折ペラをダイレクトで回すには4531ダブル(0.318mm^2)が限界であろうと目星をつけ「シコタマ巻き」を敢行。コイル断面積では0.6mm線を凌ぎます。そしてこれ以上は巻けません! ターン数が半端なのは勘です....^^。これで実装バッテリーの1700MPで8300rpm/20Aと、上昇力も40秒でなんとかサーマル戦闘高度を実現出来ました。なんと静かな事でしょう。打倒目標のハイライト無制限軍団の減速ギヤの発するウナリ音が一層響きます。

注)このプロジェクトデータの補足: @グラウプナー3.2mmシャフト9x5折ペラは高回転がでやすい。 AAstro Super Wattmeterと回転計のデータの一気読みでタイムラグがある。 B RC1700(355g)は当たりバッテリーで特に元気が良い。 Cタミヤ1700MP(Sanyo CP1700/280g)は定評あるタミヤ1400SPと同等のパンチ力がある。その他:Kyosho LeMansのデータはこちら。
なーんでAP29Lなのか?:
ココで、なーんでAP29Lを使うのか? 元々540の7030/9x5Gペラ@8900rpmで満足しておきなら、-40gに拘る? いえいえ、-70gです!? 30gは尾部のバラスト。 そーです、このAP29Lプロジェクトは重心位置が最適化出来なかった為に生じたのでした....^^; エクセルモドキを製作するにあたっては、尾部に積むバラストは極力避けようと、主尾翼フィルム張り完成後必要な物を全て仮止めしCGを35-40%に合わせてからテールブームのカーボン釣竿を切断、ノーズモーメント寸法決定と、細心の注意を払ったにもかかわらず飛行調整において尾部に約30gのオモリを必要としたのでした。軽量機にこの大きなテールバラストによる操縦性の悪化は許せません。そこで以前から興味の有ったAP29Lを手巻きしてみて、コレは使えそうだと採用したのです。結果的に尾部のオモリは、付けても5g以下となり、タミヤ1700MP搭載で全備重量880gとなりました。めでたしめでたし....^^
おまけ: ジョンソンをばらす:

RCカー・ノーマル540レースにおいて、マブチ540SHより絶対強力といわれる秘密を探るべくジョンソン540をバラしてみました。この香港製マブチコピーチープカンは一度分解したら組立て不可。ハンダ付け組立てと言う手はありますが、エンドプレートの形状から進角調整も不可(ニュートラルのみ)でメリットは有りません。巻線はストックモーター世界標準の0.65mm線の27ターン。事前の性能チェックで顕著な点は無い様です。軽量グライダーや、減速ギヤであれば飛行機でも使用可能でしょう。
さて取り出したローターのバランス取りが、高度なのかウデが悪いのか独特ですが、別段変わった所はありません。が、しかしローター長がノーマルより長い事を発見(21.8mm<=>23.1mm)!! もしこれがマブチをしのぐ性能の秘密だとすると大発見(でもないか?) 手元にマブチ540SHのローターがないので実は同じサイズかも知れませんが....^^; マグネットはスルスルで、マブチのそれ同様弱々しいです。画像で見える様にローター前部に外せないスペーサーがあり、これはカンの寸法上必要なのですが、このスペーサーがある為このローターを強力モデファイ缶に組込む事は出来ませんでした。ホントはそれがやりたかったのですが...。
次はAP29BB(480)をマキマキして8インチペラをダイレクトドライブも面白そうです!