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オーロラを楽しく安全に見るためのガイドブック
by 日蝕貧乏知恵者猫
静電気
 日本の冬とは比べ物にならないくらい乾燥していますので、静電気の洗礼を受けることが度々あります。
 ブラッシングの時や着替えの時はもちろん、ドアのノブ、車のドアを触る時には心して下さい。
 最初に爪の先でチョコっと触ってから、グイッと握るといいと思います。
 日本で売られている手首にする静電気を逃がす「輪ゴム」「ブレスレット」を試してみましたが、余り効果はありませんでした。
 キーホルダ・タイプの物は試したことがないので効力不明です。(ドアノブを触る前に、そのキーホルダでノブを触れて静電気を逃がすようになっている物)

 プラスティック製のブラシやくしで髪をとかそうものなら・・・毛がものすごいいきおいで逆立ち、バチバチすごい音を立てます。枝毛製造機になりそう。(^_^;)
 誰かの手に触れた時にも「バシッ」と音を立てて「ビリッ」が来ることもあって、「ギャァ!」なんて悲鳴をあげますし、暗闇で衣服を脱ぐと「ミニ雷」が沢山見えます。綺麗だけれど痛い・・・。
 全身木綿づくめでいても、カーペットと靴の底や靴下がすれて帯電するらしく、何を着ていても不可抗力って感じです。(;_;)
 帯電防止スプレー(「エレガード」など)を使うと、少しは違うようです。

乾燥
 乾燥は(私にとっては)並大抵の物ではなくて、リップクリームやハンドクリームを始終塗っているにも関わらず、唇はひび割れて血が出たり、指の先が指紋通りにペリペリと剥がれて来て(これで分かりますか?)顔を触るにも痛いし、指先もヒリヒリ痛むようになることが良くあります。
 リップクリームやハンドクリームは、ビタミンE配合のものは血行促進効果があるということで、乾燥や凍傷予防に良いと聞いています。
 乾燥していても、水も空気もいいせいか、何故か肌や髪のコンディションはとてもいいです。

凍傷
 凍傷のおみやげは好ましくないので・・・。
 オーロラを見ている時にも、すごいのが出た時には見とれて他の事は忘れてしまうものですが、待っている時にはたまに顔(特に頬や口のまわり)をモゴモゴと動かしてあげて下さい。
 この時に「何となく顔がこわばった感じ」とか「痛い」と思ったら、必ず部屋へ戻って暖を取るようにして下さい。オーロラがとても綺麗だからと言って無理をしてそのまま見続けていると、本当に凍傷になってしまいます。
 いわゆるしもやけでも赤くてムズムズ痒いですし、しばらく治りません。
 人によっては、例年寒くなると同じ所が赤くなるという後遺症を残すようですので、くれぐれも気を付けて下さい。
 予防策の一つとしては、オーロラを見るために外へ出る時には、顔や手にたっぷりと
乳液やハンドクリームを塗ると良いようです。(現地では、冬になると顔を洗わないという人もいるとか!)

 なお、低温で肌の新陳代謝が悪くなるために、女性にとってはありがたくない
シミそばかすもできやすくなるようで・・・。低温だけではなく、紫外線も強いからかも知れません。
 オーロラ・ウォッチングや戸外でのアクティヴィティを楽しむ時には、乳液をたっぷり塗ってあげると良いようです。
 ビタミンEやビタミンC、L−システインの服用も効果的とも聞いています。
 うう・・・既に肌の下には大きなシミが準備万端しているような・・・。>私(;_;)
 ああ、恐い! 出てこなくて良いからねぇ!>シミ

 
凍傷になってしまった時には、一気に暖めるのは良くありません。
 既に見た目に赤くなっていたり、逆に全く血の気がなくなっているようでしたら、一気に熱いお湯などで暖めず、手で優しく包み込むように暖めるとか、ぬるま湯につけるなど徐々に体温をあげなければなりません。一気に暖めると逆効果で、組織が壊死することがあるそうです。(そこまでひどい凍傷にかかることはまずないと思いますが・・・)

(↑2005.5.6訂正 詳細は、以下の凍傷としもやけの項目を参照のこと)

 オーロラ・ウォッチングのために泊まる施設の近くには、医療施設がないことが多いので、各自注意して下さい。
 
おかしいと思ったら、経験豊富な現地の人や医療機関の助けを求めるべきです。

 それから、金属製フレームのメガネ、ピアスや指輪などのアクセサリーも凍傷の恐れがあります。
 けれども、現地在住の人たちは日常的に使っているので、昼間の観光やショッピングなどの時はよほど長い時間外に居るのでなければ大丈夫でしょう。
 しかし、特に厳寒期などオーロラを見る時や戸外でのアクティヴィティ(スノーマシン、犬ゾリ、スキーなど)
の時には、メガネのフレームにはティッシュペーパーやウレタン製のカバーを巻くなどの対応をし、肌が露出している部分のアクセサリーはできる限り外すほうが安心だと思います。

凍傷としもやけ
しもやけ
 5℃から10℃程度の状態が長時間続き、皮膚の血管が麻痺して血液循環不全が起こったために、組織に障害が起こっている状態です。
 皮膚がかゆくなったり暗赤色になって腫れたりします。

◆処置◆
 1:熱いお湯(42℃くらい)で患部を20〜30分暖めて、血行を良くします。
 2:タオルで水分を良く拭き取ります。
 3:患部をよくマッサージして、ハンドクリームなどを塗ります。
 ※しもやけの予防にはビタミンEの服用や、ビタミンE配合のハンドクリームをマッサージしながら塗り込むなどが良いとされています。


凍傷
 皮膚が凍結して血液循環不全が起こり、皮膚に障害が起こっている状態です。
 軽度:初めは皮膚が白くなって痛みます。
 中度:徐々に感覚がなくなり、水疱ができることがあります。
 重度:最後には皮膚の組織が死んで、ロウのように白くなったり潰瘍ができたりします。

◆処置◆ 2005.4.30訂正
 このページをしたためるにあたって、家庭の医学のような書籍やウェブの情報などを参考にしましたが(随分昔のこととは言え、参考文献などを明記するのを忘れていました。^^;;)、この度ご覧になった方から、最新の医療では状況が異なっているとのご指摘を頂きました。(ありがとうございました!>Bさま 2005.4.30)

 
1:手、足、耳たぶ、鼻先、頬などといった部分的な凍傷は、最初は患部をぬるめのお湯で徐々に暖めます。
 
2:次に熱めのお湯(42℃くらい)で20〜30分入れて血行を良くします。
 
3:タオルで水分を拭い、清潔な布で患部を覆ってから、至急外科か皮膚科、整形外科などへ行きます。
 
※雪や布で摩擦したり、焚き火などで直接暖めてはいけないそうです!!
 4:最初は寒そうに震えていたのに、次第にあくびをして眠そうになったりうわごとを言うようになったら、全身が低温状態に陥っている恐れがあります。そのような時はすみやかに暖めることが必要です。
 全身を電気毛布にくるんで暖めるとか、できれば40℃位の温浴が有効です。(水を飲まないように付き添ってあげないと危険です)
 意識がない時には、保温に注意しながらすぐに救急車を呼んで下さい。


 上記のように、これまで凍傷は患部を一気に暖めることは禁忌事項とされてきました。
 アラスカやモンゴルでは、しもやけや凍傷になりそうだったら、まず最初に雪で患部を包んで揉め…と聞いたくらいです。
 しかし、最新の研究結果では、全く逆の処置が効果的だと分かったとのこと。
 徐々に暖めるよりも、
急速に温めた方が組織中の氷の結晶が速やかに溶け、血管が拡張して患部の回復を促し、結果的に損傷を最小限に食い止められる…ということだそうです。
 凍傷と比べるのはけしからんかも知れませんが、身近なところで考えると冷蔵庫のパーシャル庫があります。組織や鮮度を保つには−2℃の温度帯をすばやく通り抜けることが肝心なのだそうです。(冷凍のお刺身を美味しく解凍するには、お寿司屋さんでは塩を入れたお湯に短時間漬けると聞きました。)

 社団法人日本形成外科学会サイトの凍傷の項には、凍傷の治療として以下の記述があります。
 (詳細はリンク先をご参照下さい。)

 ◆急速融解法
 ◆神経療法
 ◆血液粘稠度低下の改善療法
 ◆血管拡張療法
 ◆局所療法

 「患部が凍結状態にある場合、最初にすべき治療は、
40〜42℃の湯内に入れて、急速に凍結を解除すべき」で、これまでの知識とは逆の処置をします。なお、患部を溶かしている間には、かなりの疼痛があるとの記述もありました。(神経療法などと組み合わせると、より効果的)
 この行為自体も素人がどこまで試みて良いのか分かりませんが、これ以上のことは医療施設で行われるべきものでしょう。

 ここで凍傷などについて取り上げたのは治療目的ということではなく、あくまでも
低温下では危険が伴うということを踏まえた上で、安全にオーロラ・ウォッチングを楽しんで頂きたいと思ったからです。ご参考まで。


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凍傷についての項目を、最新の医療知識に基づき訂正(May,6,2005)
加筆(July,27,2003)