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オーロラを楽しく安全に見るためのガイドブック
by 日蝕貧乏知恵者猫
防寒ポイント
 やはり何度も行っている所の方が詳しいし、北欧に比べて概して寒さも厳しいので、例としてアラスカを取り上げます。
 アラスカと一口に言っても日本の4倍(アメリカ本土の1/5程度)の広さがある土地なので、その気候は場所によって大きく異なります。
 日本人がオーロラ・ウォッチングに訪れる内陸アラスカ(フェアバンクス)の冬の気温も月によってかなり違い、平均最低気温も一番寒いのが1月で、並んで12月と2月となっています。3月になると少し暖かくなり、4月になると日差しが伸びるのと共に一気に上昇します。
 オーロラ観測のために利用することが多いチナ温泉、マンレー温泉、チャタニカ付近はフェアバンクス市内よりも気温が低下するので、3月でも夜間は−30〜35度になることがあります。
 これに風が加わればもっと寒く感じるのは言うまでもありませんから(Wind Chill)、体調を崩したりしないためにも装備は万全に整えて臨みたいものです。

◆防寒は闇雲に着込むことではありません
 暖かく過ごすコツは、
『空気を上手に着る事』『露出部分を減らす事』
 含気性のある物を用意して下さい。

凍傷にはくれぐれも注意
 観望中に顔(鼻や頬)の感覚がなくなってきたと思ったら、それは赤信号です。(黄色か?)
 すみやかに部屋に戻って暖を取りましょう。(
詳しくは後述

コンタクトレンズ
 空気が乾燥しているので外れやすくなりますが、使用に支障はありません。
 「眼の中で凍らないか?」という質問をよく受けますが、眼球は血が通っていて暖かい訳で、もしコンタクトレンズが凍るようならば、眼球も危ないのでは?
 ちなみに私は−30度以下でハードとソフトの両方のタイプのコンタクトレンズを使用したことがありますが、問題ありませんでした。
 先に書いたようにレンズが乾いて外れやすいので、レンズの上から点眼可能なタイプの目薬を持って行かれると良いでしょう。(但し、夜間オーロラを見るときに使おうと思って外へ持って出ると、目薬の方は凍って使えなくなります。^_^;)
 なお、低温下では感覚が鈍くなるので、コンタクトレンズを通常よりも長い時間使用していても苦にならないかも知れませんが、眼はいつもよりも過酷な状況で頑張っている訳ですから、装用時間には充分注意して下さい。


メガネ
 金属フレームは凍傷の危険を考えて、厳寒期には取り扱いに注意したほうが望ましいかも知れませんが(これも凍傷の項で詳しく)、日常的な使用の範疇でならば、おそらく大丈夫ではないかと思います。
 問題は、夜間のオーロラ・ウォッチングや犬ゾリ、スノー・マシン(スノー・モービル)などのアクティヴィティを楽しむ時でしょうか。

 何よりもメガネが不便なのは、すぐに曇ってしまうことです。
 自分の吐いた息がレンズに凍り付くことがあって(−10度程度ならば大丈夫)、これは厄介です。
(凍ってしまうと、曇りと違ってサッと拭けば見えるという訳ではないし、無理やり拭おうとするとレンズが傷つく恐れもあります。)
 特にオーロラを見ている時は露出部分が少ないので、吐いた息はまつげや眉毛、レンズなどで見事に凍ってつららが出来ることもあります。
 スキーのフェイスマスクも少しは効果がありますが、温度が下がると効果が薄れるようです。
 曇り止めスプレーも気休め程度ではありますが、効果があります。

 なお、セルフレーム+プラスティックレンズのメガネの方から、次のような報告が以前ありました。
 年末年始の厳寒期(その時の最低気温は−40℃以下・・・−50℃近かったかもとのこと)にチナ温泉でオーロラ・ウォッチングをしていて、ある時に左右の眼の見え方が違うことに気づいたそうです。不思議に思ったら、いつの間にか片方のレンズがどこかで落ちてしまっていたというのです。
 外で凍えると部屋に入って暖を取るというのを繰り返していらしたそうですが、屋外と部屋の中の温度差によって、おそらくメガネのフレームとレンズの熱収縮率の差でレンズが落ちてしまったのではないかと思われます。
 それも一度ならずも二度までも・・・で、予備に持っていたメガネも同様にレンズが落ちてしまったとのこと。さすがにこれには参って、懸命にレンズを探したそうです。(無事に発見、なんとかフレームにレンズを収めて事なきを得たとのこと)
 レンズが落ちてしまうような事態がどれだけの頻度・確率で発生するものかわかりませんが、極低温下では物は脆弱化します。メガネに限らず、金属もプラスティックも壊れやすくなります。
 メガネもできれば予備を持参されると良いでしょう。

 こういう時って、本当に視力の良い(裸眼でOKの)方々がとても羨ましいです!
 メガネは夏は汗で鼻や耳の部分が煩わしいし、冷房が効いた場所から外に出ると結露することもあります。首都圏の冬では凍るようなことはないにしろ、曇って視界が・・・。
 私は近視で、日常生活を裸眼で過ごすことができません。
 それゆえか、メガネについて日頃思うことがいくつかあって・・・これ以上は長くなるので、もしご興味がおありの方はこちらをどうぞ。(別ページが開きます)

オーロラ・ウォッチング中の服装について
 厳寒期の内陸アラスカの気温は、最高気温の平均でも−15度です。
 日本で−15度というと冷凍庫の中の様にとても寒いような気がしますが、アラスカは空気が乾燥しているので体感的にはもっと暖かく感じます。
 しかし、これは無風状態の時で、風があれば一変します。風があると昼間で日差しがあっても頬が痛い位に寒く、油断をすると凍傷になります。

 それから、戸外と屋内の温度差がかなりありますので、脱ぎ着がしやすい服装であること(レイヤード=重ね着)が重要になります。
 どれだけの装備が必要になるのかというのは、『夜間ずっと外に出たまま』なのか、それとも『オーロラが出た時だけ外へ出る』のかで、随分違ってきます。
 また、耐寒の度合いは個人差が大きいので一概には言えませんが、前者の場合は南極越冬隊員並の装備が必要になるでしょうし、後者であれば日本のスキー場へ行く服装+αでもしのげるかも知れません。
 冬山登山やスキーなどは、同じ寒い戸外でのスポーツとは言う物の、動いているので自己発熱でかなり暖まりますが、オーロラ・ウォッチングはただジッとしているだけなので、自らの体温がどんどん奪われていきますから、その点を考慮しなければなりません。

 寒さは足下から襲ってきますし、露出部分から体温は奪われます。
 『肌着』『靴下』『靴』を耐寒仕様(寒冷地仕様)の物にするだけでも、かなり暖かくなります。
 この程度であれば、費用もそれほどかからずに、しかも快適に過ごすことが出来るようになります。
 それでは、次から説明したいと思います。

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