いつ、どこへ行けば会えるの? by 日蝕貧乏知恵者猫 |
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◆磁気嵐中のフライトで被曝するか? | |||
りゅうさんが拙ゲストブックに書き込まれたご質問から派生したコメント・ツリーを掲載します。(敬称略) 文中の日付は2003年です。 |
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(1101)磁気嵐中の飛行機 投稿者:りゅう 投稿日:11月 2日(日)10時34分59秒 はじめまして、りゅうと申します。 磁気嵐がすごいようですね。 磁気嵐中に高高度を飛行する飛行機に乗ると人体に有害な放射能を浴びる可能性があると聞いたのですが本当でしょうか? オーロラを見に行こうと考えていたのですがこの話を聞いて躊躇しています。 ▲Page Top |
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(1120)磁気嵐中のフライトで被曝するか?★ミ 投稿者:日蝕貧乏知恵者猫 投稿日:11月11日(火)00時26分40秒 >りゅうさん 書き込みをありがとうございます。 コメントが大変遅くなって申し訳ありません。m(__)m 黒点群はもう太陽の裏側へ行ってしまいましたが、次に戻ってきた時の振る舞いが気になります。 「磁気嵐中に飛行機に乗ると、人体に有害な放射能を浴びる可能性があるか?」 実は…あります。(^^;;) 決して脅かすつもりではないのですが…。 健康被害があるかどうかはさておき、量の多い少ないはあるとしても、有害な放射線を浴びる可能性は、普段の飛行機のフライト中にもあるのです。 (可能性じゃなくて、断言できるのかな。地表にいても自然放射線を浴びている訳だし…。) 私はそういう分野に詳しくないので、うまく説明できるかどうか…。 「強力な磁気嵐の最中」と限定すると、私は飛行機で(特に)北極近辺をフライトしたいとは思いません。 巨大な太陽フレアが発生すると、地球上空1万メートルでも宇宙放射線量は桁違いに大きくなることがあると聞いたからです。 (まさかチェレンコフ光を見てしまったりしませんよね…。ゾゾ…。*_*;) しかし、私は今回の磁気嵐と同様に非常に活発な磁気嵐中だった最中に(日本時間2001年4月1日)アラスカから帰ってきましたが、それを起因とする健康被害は見当たりません。 (もともと半病人みたいなものだから、今更分からないという話もありますが…。^_^;) 非常に強力な磁気嵐の時には、飛行機も計器がおかしくなる可能性があるので、飛行しないかも知れませんネ。 ご存知かも知れませんが、宇宙には太陽やその他の恒星などが放出する様々な放射線が飛んでいます。 しかし、その量の多くは地上には到達していません。 地球には磁場があって、それにより私達は有害な宇宙線から守られています。 そして、オーロラも見られるのです。 地表から高度が高くなるに従って、その線量は増えていきます。 飛行機に乗らなくても、山へ登れば地表より線量は増えます。 つまり磁気嵐が起こっていなくても、地上に居る時に比べると飛行機に乗れば多い放射線(宇宙線)を浴びることになり、赤道上を飛ぶよりも北極圏内(南極圏内も同様だと思われますが、一般航路がないのでデータは不明)を飛行する場合のほうが、被曝量が多くなることが分かっています。 宇宙線量は、1万メートル上空では地表の約40倍〜100倍程度と言われており、飛行経路、飛行高度や飛行時間によっても、被曝線量は異なります。 成田〜ニューヨークの往復で100マイクロシーベルト程度とのこと。 国際放射線防護委員会(ICRP)が定める一般人の許容限度は、年間1ミリシーベルトとされているので、成田〜ニューヨークの往復を年間100回※くらい飛ばない限りは大丈夫ということのようです。 (※次の月の虹さんからご指摘の通り、年間10回の誤りです。(^^;;) それでもフライト中の被曝量を少しでも減らしたい場合にはどうしたら良いのか? それは窓際ではなく、機体の真中の座席に座ることだそうです。 窓際の席は、窓から直接振り込む放射線に晒されるだけでなく、機体の鉄骨(?)に反射した放射線の飛来も多いそうです。 繰り返しになりますが、自らの身を持って言えるのは、これまで14年間オーロラを見るために毎年北極近くを飛ぶ飛行機に乗っていますが、それによると思われる健康障害は出ていません。(多分…。) こんなのでお答えになっているでしょうか? (岡本さん助けて〜!^^;;) 放射線のことは気になさらずに、是非オーロラをご自分で体験されることをお勧めします! ご出発の時には磁気嵐ではなく、現地着の頃に磁気嵐が発生しますように…。 オーロラ・ウォッチングに行かれたら、是非オーロラ報告をお寄せ下さいネ。 お待ちしています。 P.S. 妊婦さんのフライトが良くないと言われるのは、窮屈なシートに詰め込まれて血行不良になる等の問題の他に、放射線問題もあるのかしらん? 誠に勝手ながら、この発言を元に発生したいかなる問題にも、私は責任を持てませんので、どうかご了承下さいませ。m(__)m 大磁気嵐中のフライトだと、やっぱりマズいのかなぁ? そういうフライトに遭遇する確率は限りなく少ない訳で、一年に一度くらいオーロラを見るために北極近くを飛ぶくらいの被曝量では、問題ないのでは…と楽観しております。 ▲Page Top |
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(1125)磁気嵐中のフライトで被曝するか? 投稿者:月の虹 投稿日:11月11日(火)12時34分11秒 代休や年休がたまっているので、月末(=10/30の27日後付近)で年休まとめ取りを画策している月の虹です。 http://www005.upp.so-net.ne.jp/nakky/talk/space/space_cond.1.htm に、『フレア』に伴って 「高度1万メートルで最大毎時10ミリシーベルトが観測されるなど、宇宙放射線は桁違いに大きくなる。」 という記載を見つけました。 一般人の許容限度は、年間1ミリシーベルトなので、1フライトで軽く許容値をオーバーしてしまいます。 やはり、磁気嵐の中のフライトは避けるほうがよいでしょうね。 それから、 ・成田〜ニューヨークの往復で100マイクロシーベルト程度の被爆から計算すると、許容限界は100往復ではなく10往復ですね。 ▲Page Top |
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(1126)re:磁気嵐中のフライトで被曝するか? 投稿者:岡本 投稿日:11月11日(火)19時10分27秒 >「高度1万メートルで最大毎時10ミリシーベルトが観測されるなど、 >宇宙放射線は桁違いに大きくなる。」 確かに磁気嵐が起こると高高度の宇宙放射線は増えるのですが、通常観測される宇宙線と比べて太陽のはエネルギーは低いので、だいぶ相互作用に差があります。 で、具体的に1万メートルでの宇宙線のスペクトルを持ってるわけではないのではっきりしたことはいえないので調べてみないと、、 ただ、エネルギーの高い放射線はあまり相互作用をしないで人体を通過してしまうのですが、もっとエネルギーの低い散乱線が体に吸収されやすかったりします。 なので、飛行機の骨格に近い部分のほうが被爆量が増えるということが在ります。 なので、外骨格のある窓際、構造体が多い羽の付け根なんかは被爆量が増える可能性があるのです。 このあたりはスカイラブの時の実験データが沢山あったはずなんだけど、どこにおいたっけかなぁ? もっともスカイラブと飛行機じゃ高度がえらく違うか。 ▲Page Top |
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(1128)磁気嵐中のフライトで被曝するか? 投稿者:月の虹 投稿日:11月12日(水)00時49分19秒 岡本様 当方、放射線については詳しくないので、お教え下さい。 ベクレル等いくつかある放射線の単位のうちで、シーベルトは人体への影響の大きさを表す単位だと理解しています。 だから、シーベルトで表した数値だけ見れば被曝量がわかるかと思ったのですが、やはりスペクトルまで調べないといけないのでしょうか? # 当方、高エネルギー線(粒子)の貫通力が高く # 低エネルギー線の方が吸収されやすいというくらいは、お話について行けます。 ▲Page Top |
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(1130)re:磁気嵐中のフライトで被曝するか? 投稿者:岡本 投稿日:11月12日(水)02時27分20秒 >シーベルトは人体への影響の大きさを表す単位だと理解しています。 >だから、シーベルトで表した数値だけ見れば被曝量がわかるかと思ったのですが、 >やはりスペクトルまで調べないといけないのでしょうか? 実は、この値が機体の中で測定されたものか、機体の外で測定されたものかで違ってきます。 機体の外ではかったものであれば、機体を透過するときにスペクトルによって透過率が変わるからです。 機体による測定値の違いをきらって機体の外で計ることもあるらしいので、実はそれが大きなポイントだったりします。なので、「どこで測定されたか」と「スペクトル」は重要な因子になります。 またちょっとずつ、生物学的放射線吸収量の評価に対する考え方もかわりつつあるようですね。 ▲Page Top |
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(1131)re:磁気嵐中のフライトで被曝するか? 投稿者:Rack 投稿日:11月12日(水)14時21分37秒 放射線の単位は難しいですね。 シーベルトは 「1Svとは、X線またはγ線を物理的な放射線計測量である吸収線量で1Gy受けた場合の影響(危険度)を表す放射線量である。」 です。 同じシーベルトでも線量当量なのか実効線量当量なのかで意味が違ってしまいます。 線量当量の場合は 「測定される量ではなく、吸収線量と放射線の種類などから計算で求められる。人体に対して同じ吸収線量の場合でも、例えばγ線とα線ではα線の方が影響が大きいなど、影響は放射線の粒子の種類とそれが持つエネルギーに依存するという事実によって考えだされたものである。」 実効線量当量として使われている場合は 「人体の一部に受けた放射線をすべて足し合わせて、全身で受けたらどのくらいになるか換算した値。例えば、肺だけ10mSv受ければ、全身が均等に1.2mSv受けたのに等しく、この値が実効線量当量となる。甲状腺に10mSvであれば、実効線量当量は0.5mSvとなる。」 となります。 いずれにしてもシーベルトは被爆した放射線量ではなくて人体に及ぼす影響の単位です。 ずいぶん昔ですが、1ヶ月程、原発の炉心のある部屋の隣で一ヶ月間ほど、仕事をしたことがあります。 首から被爆線量を測定するペンダントのようなのをぶら下げていました。 被爆線量を測定するときは、どのくらい被爆したのか楽しみにしていたのですが、ほとんど被爆しませんでした。 それと、体内に放射性物質が入っていないか調べるのですが、もちろんはいっているわけないですよね。 私は放射線の専門家ではありません。 引用:緊急被ばく医療情報ネットワーク 参考ページ 緊急被ばく医療情報ネットワーク http://www.remnet.jp/ 放射線医学総合研究所 http://www.nirs.go.jp/ ▲Page Top |
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(1137)re:磁気嵐中のフライトで被曝するか?補足 投稿者:岡本 投稿日:11月13日(木)22時15分09秒 「1Svとは、X線またはγ線を物理的な放射線計測量である吸収線量で1Gy受けた場合の影響(危険度)を表す放射線量である。」 もうひとつ。 同じ1Gyでも、エネルギーによって、「DNAを切断する」「ラジカルをつくる」「温度が上がる」等の生物学的な影響が違うので、やはり同じ1Svでも影響の差は出てきます。 ▲Page Top |
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(1139)磁気嵐の時は地上に居たい?!★ミ 投稿者:日蝕貧乏知恵者猫 投稿日:11月16日(日)02時09分28秒 >月の虹さん > 成田〜ニューヨークの往復で100マイクロシーベルト程度の被爆 > から計算すると、許容限界は100往復ではなく10往復ですね。 はい、おっしゃる通りですぅ。(^^;;) 単純計算もロクに出来ない…。 ★☆★ 国際放射線防護委員会(ICRP)が定める一般人の許容限度は、年間1ミリシーベルトとしていると先日書き込みました。 住んでいる場所によって差があるものの、自然被曝量の平均は年間1.4ミリシーベルトとのことで、普通に暮らしていても許容量以上の放射線を浴びてしまうというのは、許容値の意味がないような薄れるような…。 健康診断のX線検査では1回に0.1〜1.5ミリシーベルト、CTスキャンでも1ミリシーベルト近くの線量を浴びることもあるとか。(部位によって必要な放射線量が異なることと、部位によっての吸収量が違うということがあるのだと思います。=骨髄線量ということ?) そして、一度に250ミリシーベルト浴びると何らかの健康被害が出るとされているようです。 一度の量は少なくても何度も回数を浴びる場合、少ない線量でも長時間浴びている場合…きっと身体に及ぼす影響は違ってくるのでしょうね。 医療用放射線の場合は全身に浴びている訳でもないし…。 (これは上のリンク先ページにも書いてありました) 以前、宇宙飛行士の健康管理というカテゴリーで宇宙線についてのお話を少し伺ったことがありますが、「宇宙放射線被曝管理」でサイトを探したけれど見つからない…NASDAからJAXAに移管されていないのかなぁ? 放射線総合医学研究所Q&A 宇宙と呼ばれる地球圏(その1) 赤松整形外科 検査 放射線被曝に係わる健康管理について(PDF) 「日本人宇宙飛行士健康管理計画書」に盛り込むべき事項等について(PDF) 毎日浴びていて、医療でも身近に使われているのに知らないことばかりです。 今回上記のようなページを拝読しましたが、やっぱり全貌は「?」。(^_^;) 月の虹さんやRackさんからもご紹介いただき、ありがとうございました! 岡本さんも詳しいコメントありがとうございます。 でも、難しくて分からないですぅ。(^_^;) 磁気嵐中のフライトは、できれば控えたほうが良いということになるかも知れません。 年に何百時間もフライトしている訳ではないので、磁気嵐が起きていない普通の時のフライトは気にしないで搭乗する…これからも私はそうだと思います。 第一、磁気嵐が起きたからと言って「搭乗を止める」のも難しいし、機上からのオーロラが見られるのならば、喜んで乗ってしまいそう。 (私が搭乗した磁気嵐の時のフライトはアメリカ本土からの帰国便だったから、機上からのオーロラは無理でしたが、フェアバンクスからの便では降り注ぐ光の雨が…。) 個人的には磁気嵐中には飛行機の中じゃなくて、オーロラの真下の地上に居たいものであります。 もちろん夜であり、晴天であること! (…なんちゅ〜贅沢モノ!) ▲Page Top |
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(1147)Re: 磁気嵐の時は地上に居たい?!★ミ 投稿者:月の虹 投稿日:11月18日(火)00時21分31秒 岡本様 Rack様 詳しい説明、ありがとうございます。 シーベルトって単位は、一筋縄ではゆかないものなのですね。 勉強になりました。 ところで、磁気嵐のときに飛行機に乗るかどうかについては、日蝕貧乏知恵者猫様のおっしゃるように磁気嵐が発生したからといって急遽フライトを取りやめるのも難しいので、「わざわざ狙って乗るのはやめよう。」くらいが落ち着きどころなんでしょうね。 ▲Page Top |
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(1175)飛行機での放射線 投稿者:月の虹 投稿日:12月29日(月)11時52分53秒 大阪科学技術センターへ出張したとき、日本原子力研究所が出している「放射線ってなんだろう?」という冊子を見つけてもらってきました。 (単に、表紙のオーロラの写真が目に入っただけなんですが。) その資料と科学技術センターの展示資料とに、被爆量の話が載っていたので紹介します。 ・一人あたりの自然放射能からの被爆は世界平均では2.4ミリシーベルト(既出) ・人工放射線の被爆量は、医療用を除いて1ミリシーベルト以下/年に押さえたい → 「不必要な被爆の増加は、1ミリシーベルトまでにしましょう。」ということなので、 「自然放射能だけで1ミリシーベルトを越えているので、こんな基準は無意味」という性質のものではないでしょう。 ・東京〜ニューヨーク間の往復航空機旅行(高度による宇宙放射線の増加)は0.19ミリシーベルトと記載されています。 1ミリシーベルトという資料とは2倍の開きがあります。 どちらが正しいのか、あるいは、測定条件による差異なのかはわかりませんが、この数値を元にすれば、被爆量から算出される限度は5往復となります。 (私的には、「海外出張が続きそうなときには、この数字を引き合いにして断りたい。(最近はないけど) でも、オーロラを見に行くときはカウント外。」ですが………) ▲Page Top |
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Dec.30,2003