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オーロラに会いに行こう!
いつ、どこへ行けば会えるの?
by 日蝕貧乏知恵者猫
オーロラ
 日本ではAurora(オーロラ)と呼ばれますが、英語ではNorthern Lights(ノーザンライツ=北の光)がこれまで一般的でした。呼び名の由来にもなっているように、北半球ではオーロラは北の空に見えることが多い現象です。
 なお、グリーンランドはオーロラが現れやすい地域の北側に位置しているために、オーロラは南の空に見えることが多いようです。けれども人口比率から言うと、後述のように北の空に見える地域に住んでいる人が圧倒的となり、多くの人が見るのは「北の光」なのでノーザンライツの言葉が生まれたのでしょう。

 ところで、私が1990年に初めてアラスカを訪れた時には、現地の人に「オーロラ」と言っても通じず、学術用語であるAurora Borealis(オーロラ・ボレアリス=北極光)とボレアリスまで付けるか、ノーザンライツと言わなければ通じませんでした。シアトルでの入国審査の時も同様でした。
 英語の辞書ではAuroraは北極光よりも暁光(ぎょうこう=夜明けの光)という意味の方が上位のようで(他に暁色、形容詞化するとバラ色の、輝かしいなどの意味がある)、ローマ神話では暁の女神のことを指し、夜空に舞う光のことをオーロラと命名したのは、かのガリレオとのこと。

 話は戻って、今や日本から年間何万もの人がオーロラを見に出かけるようになり、アラスカでもカナダでも、オーロラ観光地では「オーロラ」が日常的に通じるようになってきました。(経験的にはフィンランドでも通じましたし、おそらくその他の地域スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、グリーンランドでもOKでしょう。オーストラリアやニュージーランドでも大丈夫そうだし・・・ロシアではどうなのかしらん?)
 なお、南半球のオーロラはAurora Australis(オーロラ・オーストレイリス)で、Southern Lightsの呼び名もあります。

北半球でオーロラが頻繁に見られる地域
オーロラ帯の図 一般にオーロラと言えば、指しているのは極域オーロラのことです。
 この他に
低緯度オーロラ亜熱帯オーロラがありますが、ここでは極域オーロラについて取り上げ、その他2つについては簡単にご紹介します。

 地球は北半球と南半球に2つのオーロラの光の環をいただいていますが、南半球で極域オーロラが見られる地域の大半は南極大陸になってしまい、一般の人がオーロラが見られる冬期に南極に出かけるのは難しいので、ここでは北半球での例を取り上げます。
 北半球でオーロラが頻繁に見られるのは、アラスカ〜カナダ〜グリーンランド〜アイスランド〜北欧〜シベリアを取り巻く地域で、オーロラ帯やオーロラ・ゾーン、オーロラ・ベルトなどと呼ばれます。(詳しいMAPは次ページ
 また北極と南極の地磁気共役点では、同じ時に同じような形や動きをしたオーロラが見られることが分かっています。南極の昭和基地とアイスランドが共役点なのですが・・・詳しくは国立極地研究所の「共役点オーロラ」をご参照ください。

低緯度オーロラ
低緯度オーロラの解説図  太陽活動が活発な時に「北海道で**年ぶりにオーロラが見られた」と報道されることがあります。
 極域オーロラと低緯度オーロラは同じオーロラです。普段見られる地域に現れるものを極域オーロラ、それよりも南の地域(緯度)に現れた時に低緯度オーロラと呼ばれます。
(地域=緯度でも問題ないとは思うのですが、オーロラは地磁気極を中心としたドーナツ状の地域に現れるため、厳密には「地磁気緯度」が低い場所ということになります。またここで「現れる」としたのは、肉眼では見えなくても写真などで撮影が可能な場合があるためです。正確を期すならば「発生する」なのかも・・・。)

フェアバンクスの南天に現れた上部が赤い活発なオーロラ これは、右上の図のように、オーロラが南に下がった時に、地球が丸いのでオーロラの上部が北の地平線上に現れたということです。
 極域オーロラの代表的な色は緑白色ですが、左の画像のように活発なオーロラの上部は赤い色をしていることが多いので、北海道で見られるオーロラの多くは、赤くて動きもほとんど分からないことがほとんどのようです。けれども、オーロラ活動が非常に活発な場合、緑白色の筋の構造を伴っていたり、動きも分かることもあるそうです。

(画像:2001年3月、フェアバンクスの南天に現れた上部を赤く染めた活発なオーロラ。この夜のオーロラは非常に活発で、かなり南下してアンカレジでも綺麗に見えたそうです。)

 しかし、より活発なオーロラの場合は上記の例とは異なるようで、リンク先の内容によると、とてつもないエネルギーを持ったオーロラの場合(とてつもないエネルギーが流入した場合・・・か?)、空全体が暗赤色に覆われ、緑白色のオーロラは余り現れないようです。
 この場合、全て酸素が二次励起された赤いオーロラしか出ないということでしょうか??(う〜ん、もっと勉強が必要だぁぁ!)

 ちなみに、緑白色のオーロラは地球に酸素がある証し!ですし(暗赤色のオーロラも酸素が源ではあるのですが・・・。^^;;)、オーロラが発生するのは地球に磁気圏があるからです。
 磁気圏がないと、生物に有害な宇宙線が宇宙から直接地球に降り注いで、人間はおろかほとんどの生物は地球上で生きられません。(さながら電子レンジの中?!)
 宇宙と地球の境目で起こっているオーロラは、宇宙の過酷な環境から我々を守ってくれる
天然のシールドを視覚化している様子とも言えるのではないでしょうか。
 オーロラって綺麗なだけないのです。
 (守ってくれるだけではなく、通信障害、停電、金属腐食、宇宙飛行士の被曝などの問題を引き起こしてくれるのではありますが・・・。^_^;)

 話が少し逸れましたので、低緯度オーロラに戻りましょう。

 ・・・と言いつつ、個人的未解決問題などに逸れてしまったりします。(^^;;)
 科学的に「極域」と「低緯度」とでは、高・中層大気や電離層での状態が違うとか、何か差異があるような気もしないでもないのですが、それはオーロラが発生している上空大気でのこと?
 オーロラ・オーヴァルの真下と端とでは見えるオーロラに違いがあるように、やはり差異があるものなのかも知れません。
 うう〜、やっぱりまだまだ勉強不足であります。m(__)m
 非常に細かい点はムニャムニャ・・・状態なのですが(^^;;)、概説的には「低緯度オーロラと極域オーロラは同じオーロラで、オーロラが南下して頻繁に現れない地域に現れたかどうか、オーロラのどの部分を眺めているかの差である」でOKだと思います。

 「地磁気緯度何度以南に現れた場合に低緯度オーロラとする」という定義はあるのでしょうか?
 例えば、アラスカで頻繁にオーロラが現れるのはフェアバンクス以北の地域で、アンカレジや州都ジュノーでは頻度は少なくなります。このような地域にオーロラが現れた場合には、「低緯度オーロラ」と称するのかと言えば、経験的にアンカレジでは「低緯度オーロラが見られた!」とは誰も言いません。
 Kp指数5の時に、地磁気緯度56度付近までオーロラは見えるとされているのですが、地磁気緯度でその地域はこの図の黄緑色の線を結んだ地域となります。
 Kp指数やNOAAのオーロラ・アクティヴィティ・レヴェル(1〜10、10+、10++の12段階)で決めているのかしらん?

 カナダ・ケベック州やマニトバ州、ブリティッシュコロンビア州の南の方でもオーロラを見た!撮った!という報告例は多いのですが、やはりオーロラが現れるのは北の地平線低くになってしまい、天頂までオーロラがやってくることはほとんどない模様。
 アラスカに何度か一緒にオーロラ・ウォッチングに行った知人はカナダ・ロッキー山脈を何度か訪れているのですが、夜間、確かバンフあたりでバスの車中から数度オーロラを目撃しています。でも、アラスカで見たオーロラとは「別物」という感じだった、と言っていました。ガラス越しということを差し引いても、北の空低くにかかるカーテンと、頭上から降り注ぐ光の矢とでは比べようがないと言ってしまえば、そうかも知れません。

 オーロラ活動が活発な時には、赤毛のアンで有名なプリンスエドワード島やモントリオールでも見られることがありますし、アメリカ東海岸のニューヨークなどのアメリカ本土の北に位置する多くの地域でも見られることも、想像以上に多いです。しかし、大都市の場合は夜空が明るいので、気付かないことも多いので、よほど気をつけていないと見逃す可能性があります。(オーロラ・ウォッチングにはまず「人工的な灯りがない(少ない)場所」ですネ。)
 またオーロラの活動が非常に活発な時には、アリゾナやメキシコ北部にまで南下することもあります。(『オーロラ報告』のページを参照)

 先に述べたように、南半球の場合は極域オーロラの主な観測地は南極大陸になってしまいますが、低緯度オーロラがニュージーランド南島やオーストラリアのタスマニア島に現れることがあり、オーストラリアのパース付近で観測・撮影されたこともあります。
 数年前のゴールデンウィークに、友人達がニュージーランドのテカポ湖へ南天撮影旅行に行った折、南の地平線が低緯度オーロラで赤く染まった星夜写真を撮って帰ってきました。

亜熱帯オーロラ
 とても淡いために肉眼では確認できないでしょう。
 衛星などの画像でのみ分かりますが、赤道を挟んで2本の帯のように存在するとのことですが、その発生のしくみは研究中の模様。

 斎藤尚生著 モダン・スペース・アストロノミーシリーズ 『オーロラ・彗星・磁気嵐』(共立出版 ISBN4-320-04598-X ¥2,500- 1988年現在)の口絵写真4には、アメリカの人工衛星DE-1によって撮影された画像が掲載されているのですが、夕方側の緯度20°付近に南北一本ずつの亜熱帯オーロラの存在がわかります。(DE-1のサイトから該当画像を探したのですが、見つかりませんでした。何故っ??)
 上記書物の本文によると、亜熱帯オーロラはその成因が極域オーロラとは大きく異なることに加え、これを光らせているエネルギーは極域のものに比べると一桁小さく、光の強さも両極域より一桁弱いとのこと。(やはり肉眼では絶望的)
 それで、これはオーロラとは呼ばずに、
Glow(グロー)やArc(アーク)と表すようです。

 ちなみに、グローは(熱を伴わずに)光る、冷光を発する、(炎を上げずに)赤々と燃える、(赤く)輝く・・・などの意から、赤いと判断して良いのでしょうか?
 もしそうならば、夕方に現れるこの光は夕焼けの色の中にあって、やはり人工衛星からのみ確認可能ということになるのでしょう。

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オーロラ帯の図を追加、低緯度オーロラの内容に加筆、赤道オーロラを亜熱帯オーロラに訂正、加筆(Jul.,1,2003)
Aurora Australis、低緯度オーロラ、赤道オーロラを追加(Aug.16,2000)