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小耳に挟んだ日蝕騒動のタイトル画像
by 日蝕貧乏知恵者猫/福島 円


●11日の21時少し前にトルコ・シヴァスから電話
 携帯電話を持って行った人がいましたが、まさか現地から電話をくれるとは思っていませんでした。
 遠征していた友人達一同、素晴らしい日蝕を堪能したとか。よかった、よかった。嬉しかったです。
 まん丸コロナに大きなプロミネンスが沢山。
 やっぱりライヴが一番だと思いつつも、興奮冷めやらぬみんなの声を聞いていたら、自分も見たような気分になってしまいました。(お得なヤツ・・・)
 それにしても、便利な世の中になったものです。(イリジウム社の問題は何とも言えないけれど)
 気になるのは通話料金。
 数名の間を携帯電話が回って、随分話してしまったからなぁ。(*_*;)


●サウナ・バス
 サウナと言ってもトルコのハマムのことではありません。
 上記の電話に出たS氏は暑いのが大の苦手で、日蝕観測のように炎天下に長時間いなければならないと(氷点下のシベリアの空の下というのもあったけれど、そういうのは大好き)、大抵は第3接触(皆既食が終わって部分食になる)の頃にはヘロヘロになっています。
 ところが、電話口の声はまだ明るく弾んでいました。
 多くの方はトルコは暑い場所だと考えておられるかも知れません。
 確かにイスタンブールなどの夏は日本よりも湿度が高いという感じで、かなり蒸し暑い。(とのこと)
 しかし、トルコ東北部は渇いた丘陵や山岳地帯で(シリア国境には有名なアララト山もあります)、なんと冬には設備が揃ったスキー場で滑ることも出来ます。
 シヴァスは標高1300mもあり、陽射しはとても強いながらも湿度がほとんどないので、日陰に入るととても涼しく、夜間は寒い位だったそうです。ゆえに元気だった訳ですねぇ。
 と・こ・ろが・・・。
 日蝕観測の翌日にイスタンブールへ向けて移動したそうですが、最寄りの空港カイセリは便数が少ないので、シヴァスからアンカラまでバスで移動することになったそうですが、なんと途中でエアコンが故障してしまったそうです。
 トルコは空路も鉄道もありますが、一番発達しているのが道路で、長距離バス網が発達しています。
 日本のデラックス観光バスのような立派な車体が、整備された高速道路をビュンビュン走るのだそうですが、いかんせん窓が開きません。高原地帯のシヴァスを出る頃はまだよかったようですが、徐々に標高が下がり黒海沿岸に近づくに連れて湿度が高くなり、車内はサウナ状態。
 みんな急速に機嫌が悪くなって、S氏も体力を使い果たしてしまったらしく、翌日はS氏はイスタンブール観光をキャンセルして、エアコンの効いたホテルでZzz・・・。


●一攫千金は夢と消え・・・
 トルコには日米合わせて1,500名程度の観光客が訪れたとのことですが、それでも当初の予想を大きく下回ったそうです。
 今回の日蝕遠征者数トップはアメリカから、2番は日本からだそうですが、日本は不況のあおりなのか、キャンセルチャージがかかり始める出発40日前(お盆なので通常よりも早い)あたりには、随分の動きがあったようで、募集人員に達しなくなってしまったツアーやコースもあったと聞きます。
 かく言う私もキャンセルチャージがかかるようになってから、やむを得ない事情で遠征を断念したクチ。

 月が影を落とす地域では恒例の日蝕グッズが多数作られ、財産を注ぎ込んだ人も多かったようですが、英国コーンウォールでもトルコでも(他の地域でもそうなのかな?)人出は思ったように伸びず、途方に暮れている人が数多くいらっしゃるとのことでした。
 皆既帯下の宿泊ホテルなどは売り手市場で、どんどん宿泊費が釣り上がると聞きますが、今回トルコでは直前になって急に空きが出るようなこともあったようですし、大学寮なども蓋を開けて見れば、それほど混雑していなかった?


●オーバーブッキングは?
 一部の間で心配されていたオーバーブッキングですが、そのせいで予定通りに現地入り出来なかったとか、まさか日蝕に間に合わなかったなんていうツアーはなかったですよね?
 飛行機がディレイしたという話は聞きましたが・・・。
 往路はともかく、復路も1995年のエアインディアのようなことになっていないことを祈ります。


●ロスバケ
 ロスバケ(ロスト・バゲージ)が多発していた模様。
 成田出国の際、乗務員預けになった物が経由地でも出てこず、トルコ到着時も出てこない。
 結局、日本帰国時にも見つからず・・・。今はどこを旅しているのやら、という友人の物。
 上記の物は旅行に絶対必要な物でもないし、日蝕観測・撮影には使わなかった物だったのでまだ良かったのですが、他にも迷子の荷物はかなりあったようで、また航空会社の対応も悪かったのか、数日間着替えがないという目に遭った人もいたそうです。
 人の移動も多い上に、直行便ならまだしも様々な経由地を経て観測地に入るツアーも多く、その経由地からも多くの行き先へ飛んでいるので、どこへ行ったのか捜索するのも大変なのでしょう。

 そう言えば、イタリアへサッカー観戦に行った人がでロスバケに遭い、結局現地滞在中には出てこなくて、日本帰国後に出てきたというケースもありました。
 一応、そういう場合は航空会社が当座に必要なものを買い揃える資金を出してくれるらしいですが、「ああいう目に遭うのだったら、何にも持って行かなければ良かったぁ。向こうで買えば済んじゃったし」なんて言っていました。日蝕の撮影機材はそういう訳にはいかないですねぇ。
 ヨーロッパって経由や行き先が多岐に渡る分、ロスバケは多いのかも知れませんが、どうなのでしょうか?


●やっぱり親日の国だったトルコ
 日本からタチの悪い夏風邪をひいたまま赴いたK嬢。
 トルコでめでたく初めての皆既日蝕を見たものの、炎天下にいたせいか疲れが出たのか、第3接触が終わるとグッタリ。幸いにも観測していたのが大学敷地内で、通訳の人に伴われて大学病院のお世話になったそうな。
 行ってみると、ワラワラと医局中のドクターが出てきたのではないかと思うほどの歓待ぶり(?)で、口々に様々な質問を浴びせてくるので、どれに答えて良いか分からないような状況で、結局レントゲンを撮ったり点滴を何本か打ったり、さながら『トルコ版ER』を体験したかのような気分になったとか。
 海外旅行傷害保険に入ってはいるものの、取りあえずの支払いはしなければならない訳で、これは一体どの位のお金を支払わなければならないのか? トルコリラだと数百万?数千万???
 ところが「日本人が来たら、お金は要らないからキチンと治療するように」と、事前に政府からお達しがあったそうで、その後、無事帰国しています。
 親日派が多いと言われているトルコですが(バルチック艦隊撃退の話が教科書に載っていると聞きましたが、本当?)、なかなか太っ腹ですね。


●テロはなかったやうで、ホッ。しかし・・・。
 TVや一般紙では報じられていないので、定かかどうかも不明なのですが、米軍がイラクの修道院を爆撃したというニュースがありました。
 友人達が参加したトルコ・ツアーの中では「イランが米軍の攻撃を受けた」と伝わっていたそうです。
 イランへのツアーも出していたその旅行社では、添乗員が騒然。慌ててイランの日本大使館へ電話確認したところ、「その話はどこから聞いたんですか?」と、逆に根堀り葉堀り聞かれたとか・・・。
 どうもそのツアー参加者の誰かが、日蝕観測成功を告げるために日本へ電話をした時に先のニュースを聞き、「イラク」と「イラン」が入れ違ってしまったというのが、事の真相らしいです。


●窓取り合戦?
 地上より長く日蝕が見られると、10年近く前から噂されていた「コンコルド機上からの日蝕観望」。
 今回TVでその観望シーンが放映された時に、これは後できっと問題が起こるのだろうなぁ・・・と思って見ていたら、やはり問題になっているらしいという情報をいただきました。
 何故かと言えば、飛行機の窓は小さいし、日蝕を見るためには左右どちらかの窓からしか見えませんが、写された機体にはお客さんが満載だったのです。
 つまり、コンコルドは1列4人掛けのようなので、4名に1つの窓しか割り当てられていない訳です。(実際は窓の数は座席の列数よりも少ない気がするのですが、詳しい方教えて下さい)
 おまけにみんな第2・第3接触の瞬間は見たいだろうし、かと言って狭い通路や座席の間では1つの窓に4人が群がって見ることは不可能な訳で、当然のように「お金を返せ!」とか「あんな筈ではなかった」というような感じで揉めているようです。
 「7分で25万円(レート換算により28万円と書いてある新聞もありました)は高くなかった」という声しか表に出てこないのですが、果たしてどうだったのでしょうか?
 その頃、地上では厚い雲に阻まれて見えなかったとしたら、一瞬でも見られただけ儲けもの?


●トルコ大地震
 現地時間17日午前3時(日本時間午前9時)にイスタンブールから100km余り離れたイズミット付近を震源とするM6.7の地震が起こり(アメリカの観測ではM7.8)、かなりの被害が出てしまいました。
 トルコから戻ったばかりの方々には、大層ショックかと思います。
 長い日程のツアーでも出国後だったと思われますが、1日遅ければ・・・というところでしょう。
 それにしても日蝕ラッシュの最中でなくて良かったと思います。
 早速、日本から救助隊がトルコへ向かったようですが、イラン→トルコへ向かう高村さんがらみで早いのかも。
 私はトルコへ遠征していたら、日蝕観測後にイスタンブールに戻った時点でツアーから離れて、しばらくのんびりしてから帰ってこようと考えていました。もし仮にそうしていたら、まだイスタンブールに滞在していた筈なので、ゾッとしました。う〜ん、ヒトゴトは思えない。

 現在、トルコ在日大使館や日本赤十字社などを通じて義援金を募っています。
 詳しいことは[こちらへ]


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 その後の情報。
 地震による建物への被害影響は、イスタンブールのアフメットジャミィやブルーモスクなど、歴史的建造物は無事のようです。(その後起こったギリシャ・アテネの地震におけるパルテノン神殿も同様)
 ここ10年ほどの間に建てられた建造物の倒壊が甚だしいそうで、手抜き工事のせいではないかということです。
 それで、倒壊してしまった多くの建物の建築に携わった業者の社長が逮捕されました
 問題になったのは海砂を使っていたということだそうで、この社長は「コンクリートに海砂を使ってはいけないということを知らなかった」と弁明中の模様。
 トルコでは手抜き工事などの悪質な工事によって事故が起こった場合には、それを建てた業者が責任を取らなければならないという法律があるのだそうです。(PL法みたいなものかしらん?)
 この逮捕された建築会社社長は、最長の場合10年の刑だそうです。

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