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“「存在そのものへと加速する」あらゆる肯定の瞬間へと全てが向かうことである。”

私たちは日々あらゆる刺激に満ちた世界に暮らしている。赤ん坊の目で世界のひとつひ

とつを興味深く見つめていたころは。それを分析するわけではなく、只ただみつめ学習

しある判断を下していた。その判断は生きるという根元的な事に直接かかわりながも、

開放的でその時の中で美しく輝く瞬間、“あらゆる肯定の瞬間”でもあったのだ。やが

てその判断が体の中に蓄積されてくると、その瞬間に体感してる事態にたいして赤ん坊

の目をむけなくなる。蓄積された物(まがいものの知識とも言える)をつかって効率よ

く判断しようとするのだ。効率よい判断それがじつは、“問題の確信に至る新しい道”

をさらに私たちから遠ざける。そしてまたさらに“その瞬間を維持し続けることの出来

ない自分”をも見失うことになるのだ。自分という体そのものが、世界のなかに埋没し

ていくとき、その時こそ自分という唯一の身体を相対化するための“装置”が必要とさ

れるだろう。“その瞬間のボルテージを保ち続けながら”“もっともっと強烈にその世

界を認識し”“その機能を増大・触発させるための『装置』”それが加藤勇の作品のひ

とつの存在の証明である。



Art Wax_Illustration Center/Tadashi Kumai

“ ”にはさまれた文章は、作家・加藤勇氏によって書かれた
“存在そのものへと加速する”からの引用です。





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