方格規矩鏡(ほうかくきくきょう)について

この形式の鏡の裏面には、TLV の文様が描かれています。TLV の文様については幾つかの意見があります。ある意見は、これは一種のゲーム盤であると説明しています。しかし、主要な意見は、「 T 」は天を支える柱と梁であり、「 L 」はロープで、「 V 」は大地に打ち込まれた杭であると説明しています。この意見は、TLV の文様は古代中国人が抱いていた宇宙観を象徴するものであると主張しています。いずれにしても、この文様は、「吉祥」を表しているのでしょう。

本体の主要部分は、この TLV の文様によって、小さな八つの部分に分割されています。それぞれの小さな八つの部分には、「四神」と聖獣が描かれています。「四神」は、東西南北を守護する神々です。 


「四神」 青竜(せいりゅう) 東を守護する青い竜です。
白虎(びゃっこ) 西を守護する白い虎です。
朱雀(すざく) 南を守護する赤い不死鳥です。
玄武(げんぶ) 互いにからみあう亀と蛇で表現される神です。この神は黒色で、北を守護します。


今日でも、多くの人々が、「四神」は、幸運をよび平和を守護することができると考えています。

このTLVの文様を持った鏡、すなわち、方格規矩鏡は、前漢 (206.BC - AD 8) の中期から後漢 (AD 25-220) の末期にかけて製造されたものです。

この形式の鏡は黄河の下流域で作られたものといわれています。


SJ-1

方格規矩四神鏡(ほうかくきく、ししんきょう)
新 (AD 8-23)
縁から中央に向かって:鋸歯文帯、複線波文帯、鋸歯文帯、櫛目文帯、漢字銘文帯、規矩文と四神・聖獣帯、二重方格、四葉座、ちゅう(つまみ)、とあります。

青竜には聖獣を配し、白虎にも聖獣を配しています。朱雀には朱雀を配しています。玄武は、亀と蛇とに分かれています。この形式の玄武(分開式玄武)は、古く、初期の玄武です。分開式玄武は新王朝に特徴的なものです。

漢字銘文:「陶氏作鏡真大巧、上有仙人不知老、渇飲玉泉ケイ」
「ケイ」とは、「八」の字の下に「丁」と書く字で、感動を表す助詞です。
訳文:「陶氏の作ったこの鏡はこの上もなく巧緻である。天上界には仙人がいて老いることを知らない。のどが渇けば玉の泉を飲むことができる。」

赤い古色。無補修。完器。
531g
D-159mm
佳品
売却済み


SJ-2

細線式五聖獣羽人鏡 (さいせんしき、ごせいじゅう、うじん、きょう)
新 (AD 8-23)
後漢 (東漢) (AD 25-220)
鋳造時期:新 - 後漢前期
斜縁タイプ
縁から中央に向かって、唐草文帯、鋸歯文帯、櫛目文帯、漢字銘文帯、五聖獣と羽人 (仙人) と六個の突起帯、大きなちゅう (つまみ) とあります。聖獣は、鳳凰、虎、二頭の鹿と龍です。
漢字銘文:「尚方作鏡佳且好。子先備具、長相ホウケイ」
「ホウ」は、草かんむりに保と書いて「栄える」という意味。「ケイ」は、八の下に丁と書いて感動を表す助詞です。
訳文:「尚方 (鏡作りの国営工場) の作ったこの鏡は美しく好ましい。子供が、まず備わりととのえられ、長くともに繁栄する。」
無補修。完器。
390g
D-127mm
美品
売却済み



山下 秀一
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