小説

『下天を謀る』/安部龍太郎/新潮文庫

 できるスゴイ実力派武将ながら従来は“要領の良い世渡り上手なやな奴”と云う敵役に属する人物として描かれる事の多かった藤堂高虎(1556-1630)が堂々の主人公で、しかも読んでいて「この高虎、やたらとひとかどの者達から惚れられ頼られとるな」と思わせてくれます。(斉藤建)

『背教者ユリアヌス』/辻邦生/中公文庫

 ローマ皇帝ユリアヌス(331−363)の生涯を描いた大河小説です。ユリアヌスは有名なコンスタンティヌス大帝の甥にあたる人物ですが、当時帝国を支配しつつあったキリスト教を抑えようとしたので「背教者」という不名誉な呼称を付けられています。
 力作です。日本人が古代ローマ帝国を舞台に大長編を書くということ自体、困難な仕事だと思います。おそらく作者は、膨大な文献を読むだけでなく、現在のフランスからイラクあたりまで現地に足を運んで取材したのでしょう。
 ユリアヌスは、大変な人格者として描かれています。幼いころ、猜疑心の強い当時の皇帝に一家を皆殺しにされながらも、復讐心に我を忘れることなく、理性的に振る舞い、質素な生活を貫き、地上の秩序を愛し、ローマ帝国を人類の到達した英知の結集として守り抜こうとします。余りにも理想化されていると受け止める向きもあるかもしれませんが、マルクス・アウレリウス帝という実例もありますし、決して無理な設定ではないと思います。塩野七生さんの『ローマ人の物語』を読んでいますと、このような骨太の男が何人も出てきます。
 前半生は、皇族ではあるものの、ただの哲学青年であったユリアヌスが、皇帝により突然副帝に登用されると、一気に天才的軍人、英邁な支配者に変身してしまうのは唐突な感じなのですが、これは史実で、しかもその理由は解明されていないようなので受け入れるしかないでしょう。
 歴史書ではなく、小説ですので、色々と潤色されていることと思います。戦闘場面などは見てきたように描かれていて、作者の手腕がうかがえますが、おそらく想像の産物でしょうし、学友や下層階級の人物などは多くが架空の人物でしょう。主要な女性登場人物二人が美人であるというのも読者サービスかもしれません。
 キリスト教徒はかなり否定的に描かれていて、信者が読んだら怒るだろうと思います。不寛容で暴力的で、異教に対してのみならず、キリスト教内でも派閥争いに血を流すほど。ローマ帝国の秩序を無視して、天国を大切にする態度はユリアヌスの目には非常に危険に映ります。
 私は塩野さんの『ローマ人の物語』も愛読していますが、言っては悪いですが、文章力は辻さんの方がずっと上です。
 長くて大変ですが、みごとな人生を描いたこの小説、読む価値は大いにあると思います。(荻野誠人)

“文学少女”シリーズ(@『"文学少女"と死にたがりの道化(ピエロ)』 A『"文学少女"と飢え渇く幽霊(ゴースト)』B『"文学少女"と繋がれた愚者(フール)』C『"文学少女"と穢名(けがれな)の天使(アンジュ)』D『"文学少女"と慟哭の巡礼者(パルミエーレ)』以下続刊)/野村美月/エンターブレイン・ファミ通文庫

 作中の語り手であり、主人公Bである少年・井上心葉(このは)は、生来受け身の性分の上に、中3の夏に好きだった少女との悲惨な出来事による別れがあって以来、ネガティブで消極的になっていた。そんな彼が、高1になって出会ったのが、1年先輩の“文学少女”こと主人公A・天野遠子であった。遠子が部長となって立ち上げた文芸部の部員として、心葉は毎日、遠子のおやつとしての三題噺を書かされている。そして、『人間失格』『嵐が丘』『友情』などの世界文学がベースとなった怪事件に遠子が首をつっ込むのにつき合わされながら、心葉は徐々に前向きに成長していく。そして、自らに仕掛けられた第5の怪事件に向き合うことに。
  今後、番外編や完結編(遠子卒業編)が出てシリーズ完結ということで、楽しみで待ち遠しい限り(遠子の正体も謎めいた面があるのが明らかにされていくであろう)。読んでいて、「なるほど! この作品にこんな読み方があったとは!?」と感じさせられることと思うし、人の心の陰翳や闇にまで踏み込んでいる点で、同じ作者のこれまでの熱血ラブコメ路線の作品群から一転してもいる。(斎藤建)
  付記/寄稿者の斎藤建さんが “文学少女”シリーズアンソロジー企画への参加を希望されています。お誘いくださる方は、荻野誠人までご連絡くだされば幸いです。


『吉永さん家のガーゴイル』/田口仙年堂/エンターブレイン・ファミ通文庫

 忘れ去られ失われつつある良き尊きものへのノスタルジーに満ちた良質のコメディーと思います。(斎藤建)

『ゴリオ爺さん』/バルザック/新潮文庫

 フランス最高の小説家バルザックの代表作。主人公ゴリオは、パリの名士に嫁いだ二人の娘への愚かしいほどの愛情のため、一文なしとなって悲惨な死を遂げる。商人上がりのゴリオは婿たちからはうとまれ、ゴリオの純粋な与えるばかりの愛情も、卑俗な社交界に染まってしまった娘にはろくに理解されない。
 ゴリオの最期を見取ったのは、出世欲にとりつかれてはいるものの、優しい心を失わない青年ラスティニャックであった。この青年の苦闘が小説のもう一つの物語になっている。
 ラスティニャックを援助しようとするカリスマ的な悪役ヴォートランも含めて主要な登場人物がみなすさまじい情念の持ち主である。日本の小説にはこういう人物は余り見当たらないのではないか。作者の人物造型力は大変なもので、筋立ても面白く、娯楽作品としても一級品である。 (荻野誠人)

『夢に殉ず』/曽野綾子/新潮文庫

 偉業を成さずとも、強烈に印象に残る人がいます。これは、悪評を柳に風と受け流し、型破りな生き方を貫いた男の物語です。天馬翔は、定職がなく貧しいながらも独自の生活基盤を固め、心の贅沢さを満喫しています。最愛の妻と健気に生きる3人の女性達との間で、展開してゆく奇妙な愛の形は、爽やかに見えながらも常に哀しさが付きまとっていました。
 主人公の巧みな話術や、常識にとらわれない人生観と歯に衣着せぬ社会批判に、私は引き込まれていきました。忙しさの中ストレスを溜め込みがちな現代人に、魂の自由と幸福の形について考えさせてくれる作品です。(橘まあこ)

『チボー家の人々』/マルタン・デュ・ガール/白水社

 人間に対して懐疑的で現実主義者の兄アントワーヌと頑固で反抗的で理想家の弟ジャック。ブルジョワのチボー家の兄弟が第一次世界大戦に突入していくフランスを舞台に時代と戦い、時代に翻弄され、犠牲になっていくさまが描かれる大長編小説。特に戦争が迫り、多くの社会主義者が登場し、随所に人間についての深い考察が見られる後半が面白い。私はアントワーヌの人間の弱点や限界を直視する見解とジャックの不屈の行動力ともに共感を覚える。ノーベル賞受賞作品。(荻野誠人)

『アラスカ物語』/新田次郎/新潮文庫

 数奇な運命でアラスカのエスキモーの指導者となった明治生まれの日本人フランク・安田が、絶滅の危機に瀕したエスキモー部落の人々を苦難の末、新天地に導く物語。安田の誠実さ、温かさ、強靱な意志。エスキモーの風俗。アラスカの厳しい自然。人種差別や異文化交流、と見どころは尽きない。伝記作家の小島直記さんはこの作品を、近代日本文学の傑作と言われる『暗夜行路』以上と評している。芸術的にはどちらが優れているか、私には分からないが、作品の与える感動、主人公の性格や生き方のすばらしさという点では、間違いなく『暗夜行路』をしのいでいる。(荻野誠人)


『安楽病棟』/箒木蓬生(ははきぎ・ほうせい)/新潮社


 あなたの身近に痴呆症の方がおられますか? 私の身近に今は痴呆症の人々はいませんが、「実は父が痴呆症で...」等の話を三名の知人から、亡くなってから聞かされました。プライバシーや偏見や世間体等のさまざまな事情によって、病気であるにもかかわらず、その実態は多くの場合プライベートに包まれているのが現実だと思います。高齢化が進む日本では、今後三人に一人は痴呆症の可能性が指摘されています。
 本著『安楽病棟』は、痴呆症患者30名の病棟を舞台に、若い看護婦の目を通して、看護とケアと医療、安楽死、尊厳死の問題まで含めた医療現場の実態を問うヒューマニティードラマです。ミステリー小説としての評価は、分かれると思いますが、ノンフィクションでなく小説だから迫れる真実もあり、しかもミステリー仕立てだから問題点に踏込むことが許されるように、私は感じました。
 作者は現役の精神科医であり、精神病患者を題材にした『閉鎖病棟』で山本周五郎賞を受賞され、医療問題の小説を多く執筆されています。現場の生の声が、本著の描写と問題意識にも色濃く反映されているように感じます。どのような重度の痴呆症になっても、人間は、何処までも個性的であり、人間性を失わないことに、私は深い感動を受けました。(下町カラス)

『火星年代記』/レイ・プラッドベリ/ハヤカワ文庫

 人類の火星移住を描いたSF短編集。人類は火星人に取って代わって火星に定住するが、決して理想郷を築くことは出来なかった。やがて地球に最終戦争が勃発して・・・。作者の人類に対する静かな、しかし厳しい批判が感じられる。SFには珍しい情感豊かな美しい文章が悲しく切ない雰囲気を醸し出す。(荻野誠人)  

『レ・ミゼラブル』/ユゴー/新潮文庫

 余りにも有名な大長編小説。社会に虐げられた主人公ジャン・バルジャンが激しい葛藤を乗り越え自己犠牲を繰り返し、人間として大きく成長していくありさまが19世紀前半のフランスを舞台として描かれている。革命家・犯罪者・売春婦・浮浪児など、主に下層階級の人々が登場し、物語を盛り上げているが、作者はこのような人々を生んでしまう社会に怒りを向けているのであろう。人物造形の点では、バルザック・フローベール・ゾラなどの方が優れているようだが、面白さや読者に与える感動の点では本書に軍配を上げたい。もっとも、かなりフランス、特にパリについての知識がないと分かりづらい点もあり、私が中学時代に一度読んで全く記憶に残らなかったのも無理もない。(荻野誠人)

『高山右近』/加賀乙彦/講談社

 キリシタン大名として著名な高山右近の一生を描いた作品。右近は豊臣秀吉に棄教を迫られ、身分も領土もあっさりと捨て、余生を信仰に生きた高潔な人物。この作品は徳川幕府による、すでに老齢に達した右近の国外追放を軸に回想とポルトガル人宣教師の手紙が織り込まれる苦心の構成である。右近は澄みきった心境と深い思慮の持ち主として登場する。迫害の中で布教に献身する宣教師たちの姿も感動的。作者の描写力は大変なもので、特に嵐と右近の臨終の場面は賛辞の言葉が見当たらぬほど。(荻野誠人)

『されどわれらが日々−−』/柴田翔/文春文庫

 1950年代の大学生、大学院生の青春群像。当時は政治の季節。ずいぶんと理屈っぽい人間ばかりが登場するが、皆真剣に自分を見つめ、生き方を追究している。特に、安易な妥協を排し、一人で新しい人生を切り開こうとする節子の姿は感動的。(荻野誠人)

『クォ・ワディス』/シェンキェビィチ/岩波文庫

 ポーランドが世界に誇る歴史小説。舞台はネロ時代のローマ帝国。帝国の寵臣とキリスト教信者の美女との恋愛を軸に、ギリシア・ローマ世界と当時広まり始めたキリスト教との衝突を壮大に描く。特に第三巻は、迫害に堪えかねた信徒の不満に対するペテロの説教、卑劣な裏切り者の回心、巨人と野牛との一騎討ち、キリストの来臨、と感動的な場面が次々と展開する。美男美女のメロドラマ的な恋愛描写には閉口したが、展開はスリリングで、娯楽作品としても一級品である。2000年も前の時代を生き生きと描き出した著者の力量には脱帽の他はない。ノーベル賞受賞作品。(荻野誠人)

『女の一生 キクの場合』/遠藤周作/新潮文庫

 幕末のキリシタン弾圧時代の長崎。耶蘇教を信じぬ女キクの愛する男は、隠れキリシタンとして捕らえられる。キクは、拷問を受けているだろう若者への恩情を期待して、役人に身を売る。そしてやがて胸を患い死の間際にマリア像に祈り、その足元で吐血して死を迎える。そんな話です。この作品も心に残りました。長崎では有名な「浦上四番崩れ」という実話を元に書いた話だそうです。これを読んで、一度浦上を訪ねてみたいと思いました。(矢内 孝)

『SF妙法蓮華経』/石川英輔/講談社

 釈尊が、二十一世紀後半の末法的日本を弟子たちに示しつつ、法華経を説かれていく形をとった、長編SF宗教小説である。SFとして味わうより、法華経の精神をやさしく伝える読み物として楽しめた。小説を読むときはマーカーを手にしないのだが、この本に対してはつい手にしてしまった。(向井俊博)

『道草』『明暗』/夏目漱石/岩波文庫、新潮文庫

 人間のエゴをここまで深く、しかも平明に描いた作品を私は知らない。(荻野誠人)

『貧しき人々』/ドストエフスキー/岩波文庫、新潮文庫

 文豪ドストエフスキーの処女作。ペテルブルクの貧しい役人と少女の間に交わされた感動的な往復書簡から成る小説である。薄幸な登場人物への作者の優しく温かいまなざしが感じられる。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』などの巨大作のかげに隠れて目立たないが、私はこの作品が一番好きである。(荻野誠人)

『死の棘』/島尾敏雄/新潮文庫

 本書は、夫の不倫のせいで発狂した妻と、その妻に日夜責められる夫の凄惨な物語である。人の心の矛盾や非合理性が余すところなく描かれている。私はこれを読んで、人の心を傷つけることの恐ろしさ、罪深さを感じないわけにはいかなかった。同じような重苦しい事件が執拗に繰り返され、難解な比喩があり、文も段落も長く、決して読みやすいとはいえないが、まれにみる傑作だと思う。(荻野誠人)

『織田信長』(全五巻)/山岡荘八/講談社文庫

 日本の中世における革命児・織田信長を描いた読み物の類いは数多い。その多くを読破した訳ではないが、多読したものとなると山岡氏のものだけである。読み物としての面白さは勿論であるが、戦国時代の苛酷な環境のなかで、天下統一に向けて自ら運命を切り拓いていった、かみそりの切れ味の大なたを思わせる人物、時代を越えた洞察力と天性の激しい性格、これらが誠にリアルに描写されていて心打たれる。ロマンの中に無言の教訓を見る思いで、時が経つと再読の念に駆られる。気軽に読めるものとして一読をおすすめしたい。(向井俊博)

『影武者徳川家康』(全三巻)/隆慶一郎/新潮文庫

 関が原の合戦で暗殺された家康の影武者、世良田二郎三郎の胸のすくような大活躍。関が原の合戦を勝利に導き、秀忠の政権奪取の野望をくじき、駿府に自由と平和の理想郷を築き、徳川、豊臣両家の共存をはかる。読み進むうちに、人生の指針となりうる言葉が随所に見い出せ、「よし、自分も歴史の流れに斬りつけてやる」と勇気づけられる本。(齋藤建)

『楢山節考』/深沢七郎/新潮文庫

 極貧の村の老母と息子を中心とした物語。謎解きのような結末を迎えるので、筋は書けないが、気丈な老母と孝行息子の別れの場面は実に感動的。思わず涙の出る読者も多いのではないだろうか。「おっ母雪が降ってきたよ」のせりふは忘れられない。こんな感激は初めてのような気がする。親不孝者、是非とも読むべし!(荻野誠人)

『手毬』/瀬戸内寂聴/新潮文庫

 表題の手毬は、主人公の貞心尼が、敬慕する老いた良寛様に差し上げるべく、ぜんまいの綿毛を芯に、絹糸でかがって作り上げたもの。良寛様に「あんまりきれいなので、土でつけない」と言わしめる。晩年の良寛と若き貞心尼の魂のふれあいを美しく悲しく描く佳作。煩悩に生きる生身の人間に、魂のふれあいを考えさせてくれる。(向井俊博)

『アルジャノーンに花束を』/ダニエル・キース/早川書房

 かつて雑誌『SFマガジン』に掲載されたSF小説の傑作。子供の知能しかない主人公チャーリーが、脳外科手術により天才に変貌するが、様々な遍歴の末、元の知能へ戻っていく。この孤独な青年の心の移り様を、手記風につづったもの。裏庭の白鼠アルジャーノンの墓に花束をあげてくれと願うラストが胸を打つ。この感動をテーマに同名の曲を作ろうと思っていたが、ポップス分野でプロミュージシャンに先を越されてしまった。曲名のつけられたゆえんは知らないが、この本に触発されたものではないかと推測している。(向井俊博)

『神々は渇く』/アナトール・フランス/岩波文庫

 フランスのノーベル賞受賞作家の代表作。舞台はフランス革命のパリ。ロベスピエールに心酔する真面目な若者ガムランは革命裁判所の陪審員となり、次第に無実の罪の市民さえも平然と断頭台に送るようになっていく。しかし、ロベスピエール一派の没落の日は近づいていた・・・。正義を振りかざす人間の狂気を端正な文章と構成で描いた歴史小説の傑作。牧師や零落した元貴族など、脇役にも魅力的な人物が多い。この小説が提出した問題は今日でも全く古びていない。(荻野誠人)

『蠅の王』/ウィリアム・ゴールディング/集英社文庫

 著者は戦後イギリスを代表する小説家。この作品は発表当時異常な反響を引き起したという。飛行機が南海の孤島に不時着し、小中学生の少年だけが生き残って、救援を待ちつつ共同生活を始める。最初は楽しい日々を送っていたが、やがて対立が起こり、ついには血なまぐさい闘争へと発展する。人間の、しかも少年の心の奥底に潜む獣性を暴いた陰惨な作品。こちらに知識がないためか、訳文では島の描写が少々分かりづらいのが難点。(荻野誠人)

『旅の重さ』/素九鬼子/筑摩書房_品切れ

 十五、六歳の少女が、ふと一人で家を出て、野宿をしながら、四国を旅して行きます。途中、旅芸人の一座を手伝ったり、病気になって漁師に助けられたりしながら、大人の世界を肌で感じ、成長していきます。その少女の姿に当時高校生だった私は理屈抜きに感動しました。残念ながら、この本は今自分の手元にはありません。時々無性に読みたくなり、よく古本屋を探しますが、見つかりません。とにかく、「今までで一番印象に残っている本は?」と聞かれれば、直ぐに出てくるほど好きな一冊です。(矢内 孝)