自己啓発

『「いいこと」が次々起こる心の魔法』/ウェイン・W・ダイアー/三笠書房

 著者のダイアーは、アメリカの心理学博士であり、数多くの心理カウンセラー経験を通して、人々の心の悩みを解決して来た。その経験を元に、自らをも自己実現に導いた人物である。その教えは、徹底的な自己信頼を通して、全ての人間に共通する精神分野を発見し、それを“愛”と名づけた。奇しくも、それは、歴史上の宗教者や哲学者が求め続けた「真理」と同じものだったという。頭の中だけで作り上げられたものではなく、実際の人間とのカウンセリングを通して得られた著者の「真理」は、多くの人々をも、この混迷の社会から救い出せるのではないだろうか?(近藤真一)    

『人間の魅力』/ボブ・コンクリン/創元社

 魅力的な人間の条件は、「人の話を真剣に聞き」、相手に「楽しみと利益を与える人物」である。そのための自己変革の方法が、分かりやすく書かれている。なかでも人を「説得」するための 「十の戒律」は、繰り返し読んで記憶したい。「大きな点のために小さな点を譲る」「決して言い争わない」など、参考になる点が多い。
 相手の立場に立って考える」ことでは、こんな説得力のある事例を紹介している。むずがってなかなか動かない子牛も、指をしゃぶらせながら誘導すると、乳首だと思っておとなしく納屋に入る。人間も子牛と同じで、自分の利益や幸福を考えてくれる人に従うのである。
 また、熱意の高め方も面白い。熱意を高める秘訣はまず熱意のあるように行動することにある。熱意を習慣化してしまい、人間性を織り上げる縦糸と横糸にすることが眠っているエネルギーを揺り起こし、人生を変える力になるという。熱意が湧くのを待つのではなく、まず熱意ある言葉と表情を持って、行動をおこす。そこから、やがて本物の熱意が生まれてくるということだろう。
 「人間の魅力」が、「成功するための最大の要素」であり、法則に基づいて繰り返し努力することで磨き上げ得ることを、教えてくれる一書。(服部桂子)

『セルフヘルプ』/ケン・シェルトン/フロンティア出版

 世界に名だたる成功者がそれぞれに語った「成功するためのエッセンス」をまとめたもの。本書の特徴は、成功の条件には、富だけでなく、個人の精神の豊かさも含まれる点だ。
 俳優アーノルド・シュワルツネッガーは言う。「私がこれまでやってきた仕事のうちでもっともやりがいに満ちたものは、実社会の中での奉仕活動だ」また経営コンサルタントのケン・ブランチャードも「人間は 生存以外の目標を持つ唯一の種だろう。・・・愚かな出世競争に巻き込まれるよりも、人生の質を向上させること」が重要だと語る。共に豊かな精神性を備えた成功者の言葉だ。
 加えて、通読するうちに、華々しい活躍をしている人の「成功の秘訣」ほど、実は誰にでも実行可能であることが明らかになっていく。なかでも、プロ・バスケットボールのスーパー・スター、マイケル・ジョーダンの「まずは小さくて短期的な目標をたて、とりあえずそこに一歩一歩近づいていくようにした」という言葉は、学生やビジネスマンにも参考になるだろう。
 また一貫して「成功における自助の精神」を説く一方で「神への愛を行動に」(マザー・テレサ)「信仰心は社会において極めて重大な役割を果たしている」(デイブ・トーマス)など、成功する上で信仰心が不可欠であるとの指摘も見逃せない。どこからでも読み始めることができ、成功の秘訣が詰まっている一冊だ。(服部桂子)