演劇

『ハムレット』、『マクベス』、『オセロー』、『リア王』/シェイクスピア/岩波文庫、新潮文庫

いまさら解説の必要もない古典中の古典。人間についてここから学べるものは無限にあるといえよう。これを読まずして死ぬことなかれ。(荻野誠人)

『SUGURE者』/SUGURE者編集部(〒112東京都文京区水道1-11-9-301安西方)/12・13・15〜18号

歌舞伎への情熱、愛情、学術的価値をもそなえた質の高さ、その真摯な作り、学術誌にはない視野の広さ--同人誌ながら、まさに「SUGURE者」です。単に歌舞伎ファンのみならず、「生き方」について考える上でも参考になる雑誌としてお勧めいたします。最新18号「平成五年版役者評判記」をもって、これほどの雑誌が「ひとまず休刊」となってしまうのは残念な限りですが、その最新号は全国のたいていの大手書店に置かれており、バックナンバーの取り寄せ方法も末尾に記載されております。(齋藤建)

『平成歌舞伎俳優論』/水落潔/演劇出版社

歌舞伎俳優の列伝。著者は毎日新聞の編集委員で演劇記者。大阪に生まれ、歌舞伎や文楽に幼少から親しんで育った人。以下は「あとがき」からの抜粋。「私には、個々の俳優の生き抜いて来た時代、そこから生まれた役割といったものに、関心があった。」「俳優も人の子である以上、時代の波の中で生きている。その時代が、俳優を生み、育てていく。」「時代の波に乗った人、それに抵抗した人。そうした俳優諸氏の人間性と、そこから生まれた芸というものが私には、個個の舞台より興味深く感じられたのである。」なお、同じ著者の文楽方面での著書『文楽』(新曜社)もお勧めいたしておきます。(齋藤建)