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夫人への手紙

上杉守道

短い間だったけれど幸せをくれてどうもありがとう。いっしょに幸せになるつもりで結婚したのに、僕はずっと病人でした。いずれは死ぬとわかっていても、あまりに早く、しかも幼い子供を二人ものこして先立ってしまう僕をゆるして下さい。

あのときこうしておけばとか、こうしないでおけばとか後悔することはたくさんありますが、今からではどうすることもできません。ただ、それぞれの機会にかかわりのあった人たちを責めないで下さい。すべては僕のおろかさです。

自分のやりたいことをそれなりにさせてもらい、それなりの成功をおさめ、世界で一番チャーミングな女性と結婚し、子供を二人もさずかり、その成長をある時期まで見せてもらった私は幸せな人生をおくらせてもらったと感謝しています。

もし僕の寿命がここまでと決まっていたとしたら、これまでの間に十分いろいろやらせてもらったと思います。


それだけに今後の苦労をすべてあなたひとりにおしつけて、あの世に行ってしまうことが申しわけなく心のこりです。

経済的苦労、子育ての苦労、精神的苦労などたいへんでしょうが、どうかぜひ幸せを見つけてくれるようにと祈っています。

もし神様からおゆるしいただけたら、あなたと緑と綾の三人を霊界からご守護させていただきます。

幸せをどうもありがとう。

1992・11・9 守道

光栄へ


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