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できる範囲でするささやかな「ボランティア」

荻野誠人

 昨年7月に木の手入れをしているうちに腰痛になりました。これで3度目です。ぎっくり腰のような動けなくなるほどのひどいものではなく、一応回復はしたのですが、半年経った今でもすっきりはせず、草むしりをしたり、立ち続けたりすると以前よりも早く痛みが出ます。
 もともと頑健なタイプではなかったのですが、もう重いものを運んだり、やんちゃな子供と遊んだりするといったたぐいのボランティアはやめておいた方が無難のようです。テレビを見ますと、私より年上でけっこう年配の人たちが震災のガレキ撤去などに汗を流したりしているんですが・・・でも、人は人、自分は自分です。
  そこで、腰痛になる少し前から、自宅から少し広い通りに出るまでの30mくらいの道に落ちているゴミを一人で拾っていたのですが、これを続けることにしました。自宅前の道は、きれいな方ではあるものの、時々お菓子の袋や吸殻などが落ちています。写真のように法面(のりめん)の排水口に入れられているゴミもたまにあります。
 と言っても、いかにもゴミ拾いやってます、という感じでするのではなく、その道を歩いて家に戻るときに素手で一つ二つだけさりげなく拾うというやり方です。これは私の好みです。素手で吸殻などに触るのは、抵抗を感じる人も多いでしょうから、お勧めはしませんけど。処分したあとは必ず手を洗っています。これなら手軽ですし、一瞬で終わって、重くもなく、腰に負担はかかりません。で、現在まで続いています。実にささやかな行ないですが、まあ一応ボランティアのほんの片隅ぐらいには入るかも。
  ボランティアというものは、体調だけでなく、時間やお金など、都合のつくときにすればいいのではないでしょうか。献身的にやっている人は、尊敬しますけれども、そこまでしなくてもボランティアになり得るのではないか、というのが私の考えです。何らかの事情でできなくなったからといって、後ろめたい気持ちになることもないでしょう。ただ、体調不良のような状態でも、頭をひねれば、無理のない範囲で何かしらボランティアらしいことはできるものだと思っています。

2012・1・13


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