出会った人々・・・

礒ひろし

　お世話になった人、心を通わせた人、あこがれていた人・・・、年月が経っても心に残る人がいます。誰にでも、心のよりどころになる人がいます。逆境の中でそういう人を思い出すと、勇気がわいてきます。
　さまざまな境遇で出会った人々・・・。自分にとって忘れられない人がいるよ うに、もう会えなくても、あなたのことを忘れない人がいます。その中には、あなたを気にかけてくれる人がいるものです。
　風の便りを聞いて、あなたがうまくいったことを喜んでくれる人がいます。あなたを遠くから応援してくれる人がいます。
　遠く離れても、いろんな人を通して心の師友とは、どこかでつながっているものです。いかなる時でも、ひとりぼっちではないのです。
　どこかで、あなたを見てくれているのです。
　思い出の中に存在する人、これからも関係が続く人、すべての出会いに存在する価値を見つけられる人は、心豊かな日々を過ごします。誰の人生にも意味があるように、出会いにもそれぞれの意味があります。人との出会いを通してなにかを学び取り、それを自分の生き方に活用するところから、出会いの意味が見つかります。
　出会いは大切な財産です。運命を変えるようなめぐり逢いがあります。そばにいる時はわからなくても、離れてみて、その人の大きさに気づくこともあります。過ぎ去った出会いへの反省があるから、いま、まわりにいる人たちを大切にすることができるのです。していただいて嬉しかったことを、身近な人にしてあげれば自分のまわりが明るくなります。苦手な人を反面教師として、されて嫌だったことを人にしなければ、人にかける迷惑が少なくなります。
　心を支えていただいた人への最大の恩返しは、自分がよい人生を生きることです。どうしても許せない人がいるかもしれません。許せない人に対する最大の復讐は、自分がよい人生を生きることです。いかなる過去があろうと、よい人生を歩むことは、恩返しにも復讐にもなるのです。
　過去を生かすことが、よい現在をつくり、よりよい未来をつくります。人はさまざまな角度から物事をとらえる心を持っています。見方を変えてみれば、すべての人から学ぶことができます。なにかを教えてくれた人には、自然な形で感謝の気持ちが生まれます。通り過ぎたすべての人たちに感謝できれば、まわりにいる人にも感謝することができます。感謝の気持ちが強くなれば、人間関係に悩むことも少なくなります。ストレスの多い時代だからこそ、まわりとの不和を減らしたいものです。そうすれば、人生がもっと楽しくなるのです。
　「人の善悪は友による」ということわざがあるように、人生は出会いによって決まると言っても過言ではないでしょう。人は、さまざまな人との交流を重ねながら、人間をつくりあげるのです。すばらしい人たちとの出会いが、明るい人生をつくるのです。
　出会いには、不思議なタイミングがあります。その時々に、自分にふさわしい出会いがあります。「類は友を呼ぶ」のごとく、自分を磨いていけば、今まで以上に、すてきな出会いが訪れます。人から理解されることは、幸せへの近道です。自分を磨くことで、背伸びをしなくても、自分をより深く理解してくれる人たちとも出会えるのです。
　自分が送り出したものは、いずれ自分が受け取ります。人に対する思いやりは振り子のように、やがて自分にも返ってきます。人に対してプラスを送り続ける人が、多くのプラスを受け取ります。見返りを期待しないで、人に愛情を注げる人に、もっとも大きな愛が返ってくるのです。人と人との良好なふれあいが、こころに豊かさを与えてくれます。豊かな心が、よりよい人生をつくりあげるのです。
　地球の人口６３億人に比べれば、一生の間に出会える人は微々たるものです。限られたわずかなめぐり逢いだからこそ、人とのふれあいを大切にしたいものです。すべての出会いに感謝したいものです。