200166

 

大阪府知事 太田房江様

 

大阪市長  磯村隆文様

 

      釜ヶ崎就労・生活保障制度実現をめざす連絡会

 

                                        共同代表 本田哲郎

                                                      山田実

 

失業と野宿問題に関する要求書

92年のバブル経済の崩壊以降、先行きのみえない大不況のもと、失業のために野宿状態に追いやられた労働者が、増え続けてきた。大阪では1万5000人の野宿生活者が、路上で、あるいは公園や河川敷を利用した仮小屋で生きざるをえない状況が続いている。「好きこのんで野宿しているのではない、仕事さえあれば…」というのが、野宿生活者の訴えであり、願いである。野宿生活者の平均年齢は55歳、その8割がなんらかの形でいったんは建設業に従事していた者である。建設業は、高度経済成長期に、順調に労働力を吸収し続け、70年代前半のドルショック、第一次石油危機以降も、製造業の構造不況への対抗策として実施された公共投資の大幅な増大によって失業者の受け皿機能をはたしてきた。こうした公共事業関連建設業への労働力移動に加え、1982年からのバブル期において、沸騰した土地投機熱により建設業界の労働力需要がさらに高まり、建設労働者の急増をもたらした。この10年間の失業からくる野宿労働者の急増は、それ以前の建設業への労働力集中が背景にある。IT・サービス業への基幹産業の移動にともなって、建設業からの労働力移動がスムーズにいっていない。基幹産業の移動と労働力の需要・供給の不均衡の回避は、個々の企業ないし市場に任せて、うまくいくものではなく、行政がその責任を担うべきものである。大阪で15000人の野宿生活者の困窮は、労働力移動促進のための政策の遅延がもたらした人災であるといえよう。

行政は、失業と野宿問題について、責任逃れをできない立場にあるはずだ。

 とくに、大阪府そして大阪市の責任は重大である。

なぜ、野宿生活者の数が、全国とくらべて大阪がとびぬけて多いのか?施策の呼び寄せ効果を指摘する行政関係者もいるが、釜ヶ崎で特別就労事業をやっているから、ほかの都市や地方から来阪したという野宿生活者の話などいっこうに聞かない。大阪における野宿生活者の急増は、大阪が、全国平均を2%近く上回る失業率になるなど経済施策において失敗し、釜ヶ崎地区を中心とする労働施策においては、根本的な対応を怠っていることに原因がある。

府・市は中小企業の活性化、ベンチャー企業育成による大阪経済の景気浮揚をうたっているが、税制面における優遇等の施策のみでは目標の実現は困難である。IT化の進展により東京への情報の一極集中が高まるなか、大阪で起業する利点というものがない。この現実を見据えたときに、赤字財政のなかで予算の重点配分が決まってくる。公共事業費が基幹インフラの整備からソフト中心へと移行する時代、ゼネコンを生きながらえさせるだけの大規模プロジェクトに浪費することなく、介護/ケアサービス事業における人材育成、起業ないし企画への配分、都市環境、地球環境に寄与するとともに地域振興、社会生活の質的向上につながる技術開発、設備投資、住民参加によるリサイクル事業等を実施する企業ないしNPO等に公共事業費を振り当てていくべきである。そうしたサービス業によって確保される雇用によって野宿生活者を吸収していくことが、長期的な雇用の安定、失業による社会不安の除去へとつながる。ベンチャー育成と安全網の構築といっても、失業率が6%を越え、1万5000人の野宿生活者をかかえる大阪の足元はふらついている。野宿生活者にどのように仕事と住居を保障していくかという問題こそ、関西経済の浮上の試金石である。オリンピック、ワールドカップ、USJ、関西新空港と華やかな夢ばかり追いかけていくのが、賢明な行政施策といえようか?オリンピック誘致競争で抜きんじることができず、ハブ空港競争で負け、観光客誘致によって地元経済が潤い税収アップというまったく不確実な賭けに多額の財政出動をおこなっていては、借金が膨らむばかりである。

これからの市民生活にとっての価値基軸が、個人および家族生活の質の向上から緑地・自然環境を含む公共空間、ボランティアや各種サービスのネットワークの整備を重視する社会生活の質の向上へと移動するなかで、大阪に人材と企業の吸収力をもたせていくためには、居住環境・社会環境に投資を行うことが必要である。居住環境への投資は、居住地と緑地及び自然環境とのバランスをとるとともに通勤時間ができるだけ短くなる都市デザインのもとにおこなわれるべきである。大阪府が撤退を決定した箕面の水と緑の健康都市における宅地造成の失敗は、市民生活の価値基軸の移動を読みきれなかったことに原因がある。郊外型の宅地造成ではなく、都市中心部での家賃の値上がりを抑えるために、公営の低家賃住宅を整備供給していく住宅施策に大胆に転換すべきである。都市への人口の集中による過密化、ごみ問題等住環境の質の低下に対しては、緑地維持と環境整備およびグループハウジングでモデルが提示されている公共スペース/ネットワークづくりによって、行政はじゅうぶんに応えていくことができる。こうした都市居住空間のグランド・デザインの一部にしっかりと野宿生活者に対する仕事と住居の保障を位置付けていくことこそ、一石二鳥であるとともに中長期的な視野に立った経済施策・街づくりの礎となるものである。

小泉政権の経済財政諮問会議は、今後5年間でサービス分野を中心とした500万人の雇用創出という目標を掲げたが、実際雇用創出が成功するか否かは、各自治体の企画力、実行力によって大きな差が生じるとことになる。自治体統合の流れが進みつつあるが、「大阪都」構想について府・市の足並みは一致していない。縄張り意識から府・市の協力関係の緊密化が遅れると、統合はともかく、赤字再建に向けた取り組みは決定的に遅れていくことになる。

また、建設業に特化した特別雇用対策も政府によってうちだされたが、建設業にたずさわる日雇労働者−その多くが、長期不況のもと野宿状態か近いうちに野宿に陥る危険のなかにある―を3万人抱える府・市は、特別雇用対策にもとづいて、釜ヶ崎地区の実情にそくした施策を実施していく立場にある。

反失連は93年の結成当初より縦割り行政を批判してきた。失業と野宿問題解消のためには、労働行政、民生行政一体となって、対策の規模が十分かつムダのないものとして策定していかなければならない。府・市行政に欠けているのは、失業と野宿の解消に向けて、現実に、対策の規模がどの程度であれば有効であるのかを、直視して対応する姿勢の欠如である。府・市は特別就労事業を実施しているが、現在の10倍の規模に拡充されない限り、大阪の失業―野宿労働者に、就労と生活の最低ラインを保障するにいたらない。まず、この現実を見つめ、仕事づくり、予算編成において失業―野宿対策の拡充に心血を注いでいただきたい。その上で自治体の範囲を超える部分については、府・市共同で国に働きかけ、財源の確保につとめる必要がある。

「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案要綱」をもとに議員立法化をめざした動きが進んでいる。失業―野宿対策に大規模な財源措置がおこなわれようとする流れのなか、責任ある府・市行政は、大阪で必要な対策について、従来の民生と労働の縦割りを越えて、共同で計画し、国に要求していく立場にあり、意見書採択等の取り組みはあるが、具体的な内容については明確になっていない。法制定まで国に下駄を預けるやり方は、大阪で1万5000の野宿に追いやられた労働者の危急を無視し、仕事と住居のあるあたりまえの生活を求める声から耳をふさぐものである。

 以下の要求項目を緊急に検討し、野宿生活者および野宿にいたる危険性がある者に対する就労と生活の保障に関して、抜本的な対策を講じられたい。

 

《要求項目》

 

野宿しなくともすむ就労と生活の保障制度を確立せよ。

大失業に対応しうる新たなる雇用の創出をめざせ。

 

T.野宿生活者支援法の制定を府・市共同で国に強く働きかけ、実効性のある就労−住居対策のための財源確保につとめられたい。

(1) 府・市間の協議を密にはかり、最低月例とされたい。

(2) 行政と民間の野宿生活者支援団体との政策協議を可能とする諮問会議を設置されたい。

(3) 府・市共同で国に対し、さらなる働きかけを早期に行われたい。

U.就労対策…特別就労事業を大幅拡大せよ。

(1) 高齢労働者のための特別就労事業を大幅拡大せよ。

(2) センター周辺環境整備事業などとしておこなわれている一般特別就労事業の拡大・拡充をはかれ。

(3)緊急地域雇用特別対策基金の期間延長ないしそれにかわる財源を全野宿労働者総体に対応できる規模で確保せよ。

V.居住対策

(1)低家賃住宅の供給を確保せよ。住宅扶助システムを確立せよ。

@単身者向け低家賃住宅を府・市共同で確保せよ。

A野宿生活者もしくは野宿に陥る危険性のある者に対する住宅扶助システムを確立せよ。

(2)緊急を要する野宿生活者支援活動のいっそうの充実をはかられたい。

@ 市街地小シェルターを多数を設置せよ。

A シェルターで食事の提供をおこなえ。

B失業―野宿労働者支援センターを大阪市内各区、大阪府下各市に設置せよ。

C南職安跡地等を利用した居宅保護受給者のための支援センターを開設せよ(要介護高齢者のためのケアセンターを併設)。

D自立支援センター出口で居宅保護・住宅扶助・就労対策をおこなえ。

W.労働対策

(1)雇用保険支給の条件を緩和すべく国に働きかけよ。

(2)有効な日雇労働者雇用促進策を実施せよ。

@ 府および市発注の公共事業実施にあたり、受注業者に予定労働力の一定割合について日雇

労働者の雇用することを義務付け、契約要件とせよ。

A 日雇多数雇用奨励金制度に代わる、センター求人の拡大に結びつく有効な施策が

実施されるよう国に働きかけよ。

B建設業に対する特別雇用対策を日雇労働者に対しても実施されたい。国に働きかけよ。

(3)「あいりん労働福祉センター」求人業者による労働条件低下、労働諸権利解体の責任をとれ。

@建設労働者の雇用の改善等に関する法律の規定どおり、建設土木事業に携わる業者は全て、センターに登録させ、労働条件が低下することが無いように指導せよ。

A同法違反業者による悪質ヤミ手配を取り締まれ。

 

《要求の細目》

 

野宿しなくともすむ就労と生活保障制度を確立せよ。

大失業に対応しうる新たなる雇用の創出をめざせ。

 

T.野宿生活者支援法の制定を府・市共同で国に強く働きかけ、実効性のある就労−住居対策のための財源確保につとめられたい。

1) 府・市間の協議を密にはかり、最低月例とされたい。

大阪府議会と市議会でさる3月野宿生活者支援法制定を国会で審議することを求めた意見書が採択された。意見書は失業―野宿対策の財源確保に向けて一定の役割を果たすであろうが、府・市が具体的にいかなる就労と生活保障施策、支援サービスを実施するのか立法化以前に計画を策定して、必要な予算規模を明示しないなら、有効な施策足りえない。自治体間の枠を越えていく内容をもった積極的かつ有効な施策が実施できるよう府・市間の協議を密にはかり、6月以降最低月例とされたい。

2) 行政と民間の野宿生活者支援団体との政策協議を可能とする諮問会議を設置されたい。

大阪府域で実施することになる就労―住居対策の計画を府・市及び民間の野宿生活者支援団体協議の上作成されたい。府・市行政と民間団体との協議機関としては、大阪市野宿者対策懇談会を、より具体的かつ有効な施策検討のための諮問会議として改編、発展解消されたい。

3)府・市共同で国に対し、さらなる働きかけを早期に行われたい。

   1)2)の協議によって野宿生活者支援のプランをまとめ、大阪圏で実施すべき対策の国への要望とし、必要な財源を確保するよう図られたい。府・市共同の要望(計画書)を、国に対して早期に行われたい。

 

U.就労対策…特別就労事業を大幅拡大せよ。

 

【要求の概要】

釜ヶ崎地区の失業―野宿問題対策として、55歳以上の高齢労働者のための特別就労事業、センター周辺整備事業、風倒木撤去事業がおこなわれている。対策の規模はいまだ十分なものではないが、事業自体はきわめて有効なものである。仕事に就きたくとも就けない3303名の高齢の労働者が、現在月あたり2回しか回らない輪番を心待ちにしている。労働者の声で多いのが、「おれ****番だから今度の土曜日あたるわ。4月から月2回ぐらいになってもうたから、なかなかまわってこうへんわ…」というものだ。ある労働者は、輪番の仕事を「砂漠のなかのオアシス」とたとえた。まさにそのとおりの働きを特別就労事業は果たしている。

おなじことはセンター周辺整備事業についてもいえる。抽選日時についての問い合わせがとても多いことがそのことを物語っている。多くの労働者が抽選にあたることを心待ちにしている。応募者が多いために抽選のたびにがっかりさせられることになるのだが。周辺整備事業の抽選にあたった労働者のたいていは「これで一息つける」と安堵する。周辺整備事業での就労は一度きりで、二度と抽選することができないにもかかわらず。5700円×6日で34200円の収入が入る仕事ですら、野宿せざるをえない状況に追い込まれている労働者にとっては、破格かつ貴重なものであることがわかる。このように失業―野宿労働者のニーズに応え実効性の極めて高い特別就労事業であるが、現在大阪で15000人、これから釜ヶ崎地区の内外を問わずさらに増加することになるであろう野宿労働者の自活を支えるだけの対策の規模たりえていない。

自立支援センターでのケース報告を今後も妥当なものと仮定すると、大阪府域の1万5000人の野宿労働者のうち約3割は生活保護等の福祉施策の対象者であることが予測される。そうならばすくなくとも1万人が就労によって野宿からの脱出を図らなければならない。野宿生活者に特化した緊急の就労対策が必要である。白手帳一律交付による雇用保険支給と併用したとしても1万人×5700円×13日×12ヶ月と計算すると一年あたり 889200万円、必要経費を入れて100億円強の財源が必要である。

長期的には自立支援センター等を利用した職業訓練、就職斡旋による常傭促進が前提であるにしても、センターの稼動効果(どれだけの人間が安定した雇用を確保できるか)が1割程度の実績しかあがらないことを考えて、当面の緊急対策として特就の大幅拡大が必要である。

初年度に100億円強の財源が必要だとしても年間1割程度の野宿生活者の常傭化が進むと予測すると、1年につき10億程度、費用が減っていくことになる。都市化による家賃の高騰や雇用状況のさらなる流動化、若年層の教育水準の後退により、抜本的な失業―野宿対策が行われた後も、一定水準で野宿におちいってしまう人口は維持しつづけるだろうが、就労・住居対策が恒常的に実施されている場合、必要な費用は2002年度で実施されるべき対策費よりもはるかに減少する。このような施策を行うことの効果は、生きる意欲等の向上を生むとともに、健康が維持され、疾病率が激減し、ひいてはばらまき的な医療・福祉費の相対的削減につながることになる。結果的に緊縮財政につながり、行革推進上ももっとも有効な施策といえる。バブル崩壊以降の景気後退局面において失業を原因とする野宿対策が放置されていたことを勘案するならば、年間100億円以上の就労対策費は妥当であるばかりか、行政が負わねばならない痛みであるといえる。

(1)高齢労働者のための特別就労事業を大幅拡大せよ。

現在、釜ヶ崎地区で実施されている特別就労事業は、困窮のもと野宿に追い込まれている高齢労働者の衣食の支援のため確実な効果を上げている。しかしながらその対策の規模は、高齢の野宿労働者の総数とニーズに見合うものにいまだなりえていない。2001年度、3303名が新規登録しているが、府・市あわせて1日あたり193(休日明けは199人)名の求人では、番号の飛びを計算に入れても月に2回しかまわらない。しかも登録者数が2815名だった2000年度3月までと比較すると1.5回分減少することになった。月211400円の収入で1月を過ごす辛苦は想像を絶するが、アルミ缶等廃品回収の手段とルートを持たない者は、現実にこのわずかの収入で衣食の足しを得て、あとは民間の炊き出し、シェルター等で寝泊りすることで生命をつなぐ困窮状態にある。毎日廃品回収に従事している者も平均月収は1万5000円程度であり、特別就労による収入を加えても25000円の収入では、野宿からの脱出にはいたらない。

輪番労働の月2回への減少でわずかな仕事に希望を託している登録労働者の間には急速に失意が広がっている。特就事業は衣食の足しとなるにとどまらず、困窮状態にある高齢野宿労働者の心理的なカスガイの機能をも果たしている。就労が保障されるからこそ自立への志向が高まる。職業訓練等による雇用のミスマッチ解消がもっとも困難である高齢層に社会的ニーズのある公的就労を緊急に開拓、大規模に実施することが必要である。公的就労によって市場原理ではまかないきれない側面で市民生活の質を高めていくとともに、安全網の構築によって停滞する個人消費や投資を高めることで経済活性化につなげていく中長期的な政策を実施されたい。当面2002年度より現行1日あたり求人193人を1500人とされたい。1日あたり1500人でとりあえず輪番登録者3303人が、印紙を月13枚貼ることが可能。貯蓄誘導と低家賃住宅の確保とあわせて野宿からの脱出支援/定住化を図られたい。

(2)センター周辺環境整備事業などとしておこなわれている一般特別就労事業の拡大・拡充をはかれ。

厚生労働省が、就労可能で意欲のある者については自立支援センターへの入所から職業訓練・仕事探しという方針を出し、大阪では2000年中に3ヶ所の自立支援センターが開設された。常傭化・定住推進施策として一定の評価ができるものの、その効果は十分にはあがっていない。開設以来半年近くを経過、3ヵ所合わせて入所総数は、311人。うち就職が決定して退所した者は31名に過ぎない。この退所者のうちには飯場等の仕事をみつけ、退所した者も多く、安定した雇用について退所した者の実数は、さらに下回る。すなわち自立支援センターの費用対効果は10%であり、まったくの非効率であることが指摘できる。入院・施設入所等の施設保護を実績として計算しても費用対効果は、(就職退所31人+入院3人+施設入所12人)/311と計算すると15%にとどまる。巡回相談員の活躍により現在2000人以上に及ぶセンター入所希望者が待機中であると聞いている。しかし、センターの稼働能力の低さが判明しているがゆえに、長期滞留を避けるため、3ヵ所あわせた入所枠が280名であるにもかかわらず、191人しか入所させることができない状況である。半年で45人が就労、または福祉による自立を果たすと好意をもって計算して、1年で90人がセンターにより自立。特別就労事業の大幅拡大の概要で述べたように、福祉吸収分をのぞいた10000人が安定した仕事につき定住化するまでは100年以上かかる。

野宿労働者一般のための特別就労事業の大幅拡大が必要である。

小泉内閣の産業構造改革・雇用対策本部がまとめた地域経済再生策「新市場・雇用創出に向けた重点プラン」は、今後10年の間に10万人規模での地域雇用創出案を提案している。かりにこのプランが成功裏に終わるとしても10年弱の緊急雇用対策が必要である。おまけに不良債権処理によって100万人の失業者が出るという民間試算がでている。失業者の急増と地域雇用創出との時間差を埋めるのは緊急雇用対策しかない。その中で、野宿労働者に特化した緊急雇用対策すなわち特別な公的就労事業の創設は火急を要する課題である。野宿労働者一般を対象とした特別就労事業立ち上げのための財源は、緊急雇用対策の基金以外にも、懸案となっている公共事業のソフト面での展開のモデルとして、公共事業費からの支出を検討すべきである。公共事業のソフト面での展開の具体例としては、都市環境保全・緑地化推進、里山保全・国有林の営繕、大規模リサイクル事業、不法投棄監視活動、介護ヘルパー養成派遣事業等公共性が強く、かつ市民の生活の質的向上に寄与する(個人生活の質の向上から社会生活の質の向上という流れに即した)ものがあげられる。心身の力と専門技能を必要とするこれら公共就労は、常傭化促進に役立つとともに、自立支援センターを経過した者が2度と野宿に還ることがないための支援機能をかねそろえる。自立支援センター通過以降安定した雇用関係に入れるまでの中間ステップとしても利用しうるものとされたい。

(3)緊急地域雇用特別対策基金の期間延長ないしそれにかわる財源を全野宿労働者総体に対応できる規模で確保せよ。

現在釜ヶ崎地区で実施されている特別就労事業のうち、緊急地域雇用特別対策基金によってまかなわれている部分(1日あたり13人、生活道路清掃NPO委託分、保育所・公園・バス・区の市担当分、府の仕事、センター周辺整備事業)については、基金が2001年度いっぱいで終了するため、2002年度以降の継続のめどが経っていない。これら基金を活用した事業は、すでに実績を確立しており、地域住民のニーズにもかなうものとなっている。緊急地域雇用特別対策基金の期間延長ないしそれにかわる財源措置をもって、特別就労事業の規模を縮小することなく、大幅に拡大されたい。

 

V.居住対策

 

【要求の概要】

生活保護法に則って、厚生労働省社会・援護局は200135日付けで「いわゆるホームレスに対する生活保護法の適用については、単に居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の用件に欠けるということはなく、真に生活に困窮する方々は、生活保護の対象となるものである」旨を指示している。大阪市は野宿からの生活保護をおこなっているもののそのほとんどが施設(入院/入寮)保護である。仮に福祉窓口から、救護ないし更正施設へ入所したとすると月あたり25万程度の費用がかかるが、居宅保護の場合12万程度の費用で済む。不良債権処理にともなう失業者数の増大→野宿生活者数のこれからの増大を見越して、施設保護から速やかな居宅保護への移行を図る運用を行うべきである。またさらなる野宿対策の効率化のため法外援助であるシェルターから1〜2ヶ月程度のアセスメント/ケアを経て、当面自活可能なシェルター利用者は居宅保護に移行する方が、1人あたりにかかる費用を半分以下に削減し、その分広範に野宿生活者の支援活動にふりわけることができる。

施設の職員数については新規採用を減らして段階的な施設規模の縮小をはかるとともに、より効果的な小シェルター(後述)や失業―野宿労働者支援センターを利用した支援活動等に浮いた予算を振り当てられたい。

自立支援センター、シェルターなどから住居に移行する際には、当労働者の雇用状況、収入状況、健康状態などに即した支援が必要である。とくに生活保護支給並みの収入である場合、解雇、疾病等の要因によって家賃を払えなくなり、再度野宿に陥ってしまう危険性が高い。そうした場合には、住宅扶助制度が必要である。

住宅扶助を行うことによって、生活保護なみの生活レベルが保障されなければ、常傭に就職するためハローワークに通うなどの就労自立に向けた努力のための時間を捻出することができず、アルミ缶集めなどの過酷かつ低収入の労働に従事する現状を固定化することにつながる。稼働能力がありながらも、不況による就労機会の減少のため生活保護受給レベルより低い収入しか得られない者については、不足分について保護費を支給すべきである。

その上で稼働能力所持者の場合、生活保護の受給が長期化しないために、「U、(2)一般の野宿労働者のための特別就労事業」で述べた公的な就労を活用して勤労控除の活用により労働への意欲を高め、貯蓄と消費を喚起するなどの柔軟な施策を実施するための新たな生活保護法の運用とそれを可能にするシステムを早急に作り出すべきである。また、自立のために活用しうる職業訓練講習等を実施し、受講を勧奨ないし義務化、労働力の移動に対する援助を行われたい。

健康状態が悪く、施設(病院)保護が適用された場合も、回復にともなって居宅保護にいったん移行する方が、有効な野宿対策である。仕事と住居がない野宿生活者にとって、退院は野宿への逆戻りと等しい。健康を害している野宿生活者は現在次のような悪循環のなかで、徐々に路上死へと追い込まれている。

野宿による健康悪化→入院→転院→退院→仕事と住居がないゆえの野宿→野宿による健康悪化→入院

入院費は保護費であるとともに、このループを絶たない限り一人当たりに対する行政の負担が膨大なものになる。こうした悪循環は以下のチャートによって無くされるべきである。

野宿による健康悪化→入院→居宅保護(通院・特別就労を活用した常傭促進・職業訓練)→自立

この野宿からの脱出を段階的に支援し、押し上げていく方向への転換により大幅な福祉予算の効率化・施策の充実化を図られたい。

(1)低家賃住宅の供給を確保せよ。住宅扶助システムを確立せよ。

@単身者向け低家賃住宅を府・市共同で確保せよ。

居住環境の整備のため行政が果たすべき役割は大きい。特に低所得にある野宿経験者には、必要に応じた住宅扶助および低家賃住宅が確保されるべきである。文化的で人間らしい居住環境が保障されるべきことはもちろんであるが、長年主に肉体労働によって生活スタイルを築いてきた単身の野宿労働者の要求する居住水準は、家族生活を営む者とは異なっている。現行の公営住宅の水準をそのまま当てはめる必要はない。6畳1間、炊事場、風呂、トイレ、および高齢化に対応したグループホーム的活用を可能とする共同居間などで最低居住環境を確保できる。野宿にいたる、あるいは野宿に還る要因のひとつとして都市化の進展に伴う家賃の高騰があげられる。単身者のための低家賃住宅の供給はこうした条件を緩和するために有効である。

低家賃住宅の供給に関しては、府・市・民間共同で計画をつくり、国土交通省に提出、計画への助成措置を講じさせ、早急に実施されたい。計画策定については、予算規模が拡大しやすく即効性を欠く新規の公営住宅建設にかたよることなく、文化住宅、老朽化したアパート・ホテルの買取→改修など、既存建築物を活用することを優先されたい。

 A野宿生活者もしくは野宿に陥る危険性のある者に対する住宅扶助システムを確立せよ。

自立支援センター、シェルター、福祉窓口等を経由して低家賃住宅に入居したものに関しては、その収入が生活保護以下の者については、全額家賃扶助を行い、生活が一定程度の安定をみると判定できる収入にいたるまで、増収に応じて家賃扶助率が減少していく住宅扶助制度を確立されたい。この住宅扶助制度を確立するためには、ケースワーカーの訪問頻度を月一回程度維持して、2度と野宿に陥らないよう制度運用を図るとともに、きめこまかなケアによって自立への意欲付けを行なう必要がある。ケースワーカーの増員が必要である。行政機構内でのケースワーカー増員が予算上不可能であれば、民間への委託、NPOの活用等含めて検討されたい。

(2)緊急を要する野宿生活者支援活動のいっそうの充実をはかられたい。

@市街地小シェルターを多数設置せよ。

昨年12月大阪市は長居公園に264人が利用できる大型シェルターを建設した。続発する襲撃から野宿生活者の生命を守るためには一定の機能を果たしている。またシェルター入所者のためにはじめられた輪番の仕事は、アルミ缶収集や時々の日雇い仕事で衣食をつながねばならない入所者に一定の就労支援となり、少ないながらも衣食の足しとなっている。厳しい野宿生活では得られなかった安心感の醸成の面も見逃せない。しかしながら、長居型の大型シェルターにはいくつかの問題点がある。

()当事者が制度決定および運営に積極的に参加できず、地域社会にねざしていないこと。

()自立支援センター入所後の就労保障がはっきりしていないため、シェルターでの長期滞留傾向が顕著であること。

()入所者が多数であるため、相談員が積極的かつ親身な支援活動をおこないにくいこと。

()について……長居公園にテントを張っている野宿生活者および地域住民に対して丁寧な説明・啓発活動を実施しきれなかったことに一つの原因がある。はじめに施策の決定ありきではなく、当事者および地域住民が主体的にかかわれる論議の場等を設けて、民主的なシェルター運営を模索すべきであった。地域住民に対しては、公園適正化を強調するあまり、公園内にシェルターを作ることの意義を歪めてしまった。地域住民に対する説明は、まず失業と野宿問題についての啓発活動から綿密に立ち上げていくべき性格のものである。そのうえで当事者・地域住民参加の検討会での意見のすりあわせをシェルターに反映するのであれば、長居シェルター開設前後の混乱は大幅に避けられたはずである。また米国の野宿生活者支援のNPO報告によるとシェルターが大型であるとそれだけ目立って地域住民との軋轢が生じるということだ。地域社会との交流が薄いということの結果は、単に当事者・地域住民・行政の対立を生むだけではなく、民間の手による野宿生活者のための雇用創出の機会と基盤をあらかじめ失わせることに帰結する。民間活力・サービスの利用という自治体の方針ともそぐわない。

(イ)について……公的就労ないしボランティアによって社会参加がおこなわれる形でのシェルター運営が、自立支援のスタート地点として最も適切である。社会参加=市民社会の側からの再包摂という図式のうえで、シェルター利用者が、再参入しやすい環境作りが自立支援のために欠かせない。

()について……入所者が多数になると相談員との間に信頼感を醸成することが難しくなる。それゆえ入所者が抱えている困難や将来への意欲についてプラスの触媒として相談員が能力を発揮しにくくなる。ケア活動の有効性を決める大きな要因として、相談員と入所者の比率上では現れない問題がこの点である。限られた数の相談員による密なコミュニケーション、すなわちグループホーム的なシェルター運営こそが、迅速な自立支援のための鍵である。

()()をまとめると、自活支援の入り口としてのシェルター策は、小シェルターを市街地に多数設置という結論になる。小シェルターを構成する要素としては、

a)既存施設の利用。

b)30人規模、最多でも50人規模

c)公的就労、ボランティア活動が実施されること。

d)グループホーム的な運営に、作業場・食堂・シャワーの併設。

e)野宿生活者支援活動について経験を積んだ民間への委託(問題化しているエセ支援団体による生活保護費等のピンはね等を許さぬよう審査については厳正におこなう必要がある)。

Aシェルターで食事の提供をおこなえ。

 東京都は、厚生労働省の一時避難所方針では不十分であるとし、自立支援策の一環として三食の提供を決定した。一時避難所の緊急性という性格からいって三食提供は適切な運営であるといえる。食事の提供は心理面のケアとして重要である。心的な疲労またショック状態にある者が炊事場や食堂において一定回復するのは、常識である。食事の不安があると、将来の自活へ向けた活動に集中することができない。シェルターの目標が、入所時点での自立であるならば、すぐにも運営は頓挫する。将来の自立を支援することになる食事の提供については積極的に採り入れるべきである。長居公園シェルターおよび今後建設されるシェルターにおいてしっかりとした三食の提供、および釜ヶ崎の緊急一時避難所においてカンパンに代えて歯の無い高齢者も食することが可能な握り飯等の提供を実施されたい。

B失業―野宿労働者支援センターを大阪市内各区、大阪府下各市に設置せよ。

 失業から野宿に追い込まれた労働者あるいは野宿に追い込まれる可能性のある労働者は、さまざまな生活の形とニーズをもっており、野宿からの脱出の過程は、「シェルター→自立支援センター→自立」という道筋に一元化できるものではない。失業保険を受給することができ、ある程度の貯金がある一般の労働者であれば、ハローワークの職業紹介と職業訓練を活用することが可能であるが、自立支援センター経過後いったん自立しても再度野宿に近づいている者、現在はアパートや簡易宿泊所での生活を維持できているが短期間で野宿にいたるおそれがある者については、ハローワークの機能だけでは対応しきれない。野宿の危機に迅速な対応を行うには、就労と住居保障、福祉・医療相談の連携が欠かせない。そのためにも、仕事探しはハローワーク、アパート・生活を維持しきれなくなったら、各区の福祉窓口へという縦割り行政のシステムを改革する必要がある。野宿の危機に対して機敏かつ有効な相談支援事業をおこなうため、府・市協同で「失業―野宿労働者支援センター」を設置されたい。

また、現在公園・河川等でテント生活を送っている労働者にとって、自立支援プログラムの最初のハードルは、団体生活になじめるかどうかという問題である。シェルターおよび自立支援センターによる宿所機能は、寝所のない、あるいは地域住民等との軋轢によって居所を確保できなくなる野宿生活者のニーズに応えるために維持されるべきだが、「シェルター→自立支援センター」を経過せずとも一定の職業訓練や相談対応によって自活して野宿から脱出できる層については、失業―野宿労働者支援センターのスリムな事業が有効であり、全体としての必要経費を押し下げることになる。

  また自立後のアパート訪問活動や相互扶助活動の支援のためのステーションとしても利用可能なセンターとされたい。

C南職安跡地等公有地を利用した居宅保護受給者のための支援センターを開設せよ。要介護高齢者のためのケアセンターを併設。

失業からくる野宿の問題は釜ヶ崎地区に限られたことではなく全府・市に広がっている。かつて野宿経験があって居宅保護に移行する者のさらなる増加が予想されるが、生活保護受給者は高齢・障害・疾病などさまざまな問題を抱え、訪問ケア態勢の早急な立ち上げが必要である。野宿生活者の多くが単身者であり、コミュニティーからの支援、家族からの支援から排除された存在である点、きつい日雇労働/野宿労働を中心とする生活形態から急激な変化を経過し、今後あらたに安定した仕事探し、経験を生かしたボランティア活動など自己実現へ方向転換しなければならないが支援システムの発達が未成熟であり、福祉施策検討において考慮されるべきである。特に釜ヶ崎地区では近年ドヤ改造福祉マンションが林立し、高齢野宿生活者の住所確定→居宅保護の道筋を拡大することに成功しているが、生活保護における家賃支給額限度いっぱいの高額家賃にもかかわらずその住環境は三畳一間に共同トイレ・共同炊事・共同風呂という条件である。せっかく風呂があっても体にさまざまな支障や障害がでてきた高齢者の場合、狭さと他利用者への配慮ゆえに十分に活用することができない現状である。炊事場においても同様のことがいえる。高血圧や糖尿病など食生活に格段の配慮をしなければいけない者も症状に即した自炊ができない。こうした低いレベルの住環境において、最大限に福祉施策の効果を上げるには、さまざまな現状を抱えた野宿経験ある生活保護受給者が多面的に利用できるセンター機能が釜ヶ崎地区内に必要である。食堂施設、大型共同炊事スペース、高齢者/野宿生活者のエンパワメントのための学習会・ワークショップなどに利用できる集会場等を設備し、さまざまな福祉ないし社会参加への窓口へのアクセスを支援する専門的なケア担当員を配置して釜ヶ崎地区に即した福祉施策を推進するとともに、今後拡大するであろう野宿経験ある居宅保護受給者の集住地域の施策のモデルケースとされたい。

かつて野宿のつらさを身にしみて感じ、生き延びてきた高齢者多くが、今後なんらかの形で野宿生活者の支援活動に携わりたいという望みをもっているものが多い。単に65歳以上の高齢野宿生活者には生活保護支給によってこれからの余生を過ごさせるというのは、非人間的かつ非効率的ある。高齢者ボランティアの育成により、人的資源を確保し、相互扶助的な野宿生活者支援や介護等の社会的労働を充実させるべきである。

○食事配給サービス

○さまざまなボランティア養成活動

○ボランティア以外の生きがい提供活動

○健康増進、各種依存症キャリアーのための学習会・ワークショップ

○現在の野宿生活者への衣食サービスとからめた相談活動(アルコールや薬物依存からの脱却のための支援・学習活動、ギャンブルへの依存からの脱出/生活自立支援、自立生活を妨げる大きな要因の一つであるところの、野宿経験あるいはそれ以前の経験によってもたらされたPTSD(心的外傷後ストレス障害)に対応しうる丁寧な心理的サポート/相談活動など)

○野宿生活経験者が中心となって展開する、失業―野宿問題に関する市民啓発活動

  センター開設にあたっては、南職安跡地等、現在使われていない施設・設備を活用することで低コスト化およびサービスの充実を図られたい。

D 自立支援センター出口で居宅保護・住宅扶助・就労対策をおこなえ。

2001年3月5日づけの「厚生労働省社会・援護局主管課長会議資料、第1指示事項 1生活保護制度の運営について ()生活保護の実施 エ ホームレスに対する生活保護の適用について」において自立支援センター入所期間を経過した者について以下の指示がでている。「保護施設・自立支援センター等において、健康管理、金銭管理能力や生活習慣の回復のための指導及び就労の支援等を図りながら、自立した生活が営めるように支援する、そして生活管理能力が身についた場合や、努力したが就労に結びつかないまま自立支援センターの入所期間を経過した場合には、必要に応じて居宅での保護の適用を行うことが適切なものである」

就労可能な者については、就労によって自立を果たすのが原則であるが、当面就労自立が定まらない者に対しては、公的就労をベースにした居宅保護に移行した上で、就労自立促進を図るべきである。大阪市が3ヶ月から6ヶ月へと延長した入所期間を越えても、居宅保護に移行した者は1人もいない。退所者は、常傭雇用によって敷金をためてアパート自立を果たした一部の者以外は、住み込みや飯場就労など不安定な就労・生活形態での退所、もしくは自主退所である。また、就労していても敷金を貯めるまでにはいたらない者、一月の収入を合計しても最低生活を維持するにいたらない者は7ヶ月目に入っても自立支援センターに入所したままである。自立支援センターの出口がつかえたままでは入所希望者の増加に応えることができない。巡回相談員を通じて、現在既に入所予約をした2000人以上の労働者が野宿のまま待機させられていると聞いている。仕事さえあれば自活の見通しが立っている入所者に対しては社会・援護局の指示どおりに居宅保護を実施されたい。その上で、居宅保護移行者にさらなる就労機会を保障するため(常傭促進化事業を延長した)公的就労の拡充を図られたい。また退所者のための就労あっせん相談事業の拡充を図られたい。労働意欲を生み出していくためには努力に相応して生活が向上することが可能になる生活保護運用が必要である。全収入が家賃を含めた生活保護受給レベルを越えるまでは、収入の一定率を還付し、生活の足しに回せるような運用(勤労控除)制度をしっかりと活用できるようにしなければならない。

 

W.労働対策

 

【要求概要】

現在、野宿までにいたらないものの、周期的ないし不断の失業状態にある日雇労働者は、野宿一歩手前にあって、苦しい労働と生活の日々を送っている。一時は13500円以上になった単価が長期的な不況下に切り崩され、現在は9000円から10000円まで下落している。なかには9000円を切る業者もいる。なんとか飯場に入って野宿をさけることができたにしても、日当が9000円しかないのに飯代を13500引かれ、3日おきしか仕事につけない飯場での飼い殺し状態におかれていては、飯場を出て手許にほとんど金を残すことができないばかりか、へたをすると業者に借金をする羽目に陥る。必死に飯場仕事を探した結果が、借金である。単価が下落しているからといって、その分求人数が増えるわけではない。しかしながら業者が元請に、労働者1人あたりの雇用につき請求する金額は以前とほとんど変わっていない。下請け業者が延命のために労働者の権利を削っている構図がある。下請け業者が、淘汰へと向かう状況のもと、労働者は、賃金の不払い、労災のもみ消し等によって、権利が守られない環境で働くことを余儀なくされている。日雇労働者の中長期的労働対策として、ゼネコン再編による下請け業者の淘汰をにらみながら、相対方式にかわる雇用システムを立ち上げる必要がある。 

 

また、不正業者に対する取締り・規制を強化、労働条件の遵守を図ることで、今なんとか野宿に追い込まれずに踏みとどまっている層に対する援護をおこなわれたい。

 

さる6月2日政府は、ゼネコン再編にともなって生み出される建設業の失業者に対する特別雇用対策を打ち出した。再就職の重点的なあっせんや教育・能力開発訓練を実施し、訓練に時間がかかる場合を考慮して、雇用保険給付期間延長の検討に入っている。しかしながら、対策の中心はゼネコンや中小の建設会社が抱える労働者に向いており、建設業を現場で下支えしてきた釜ヶ崎の日雇労働者への対策は明確化されていない。3万の日雇労働者をかかえる府・市行政は釜ヶ崎の日雇労働者に対する特別雇用対策のプランを共同で作成し、建設業に携わってきた日雇労働者への雇用対策が遅れることがないようにされたい。

(1)雇用保険支給の条件を緩和すべく国に働きかけよ。

(2)有効な日雇労働者雇用促進策を実施せよ。

@府および市発注の公共事業実施にあたり、受注業者に予定労働力の一定割合について日雇労働者の雇用を義務付け、契約要件とせよ

A日雇多数雇用奨励金制度に代わる、センター求人の拡大に結びつく有効な施策が実施されるよう国に働きかけよ。

B建設業に対する特別雇用対策を日雇労働者に対しても実施されたい。国に働きかけよ。

 建設業からの再就職が円滑に進むよう、特技や資格の取得などを促す教育・能力開発プログラムが新設される。政府は、訓練等に時間がかかる際の、雇用保険の給付延長の検討に入っている。常傭化促進のためには専門的かつ長期を要する職業訓練が必要である。しかし、釜ヶ崎の日雇労働者は雇用保険の給付システム上長期訓練が受けられない状態にある。釜ヶ崎地区の実情に即して、日雇労働者も長期訓練が受けられるようにし、それを支える特別な雇用保険の給付制度の確立が必要である。また常傭雇用促進につながる特別就労事業を実施されたい。

(3)「あいりん労働福祉センター」求人業者による労働条件低下、労働諸権利解体の責任をとれ。

@建設労働者の雇用改善に関する法律の規定どおり、建設土木事業に携わる業者は全て、センターに登録させ、労働条件が低下することが無いように指導せよ。

A同法違反業者による悪質ヤミ手配を取り締まれ。                      

                                              以上。