釜ヶ崎

   就労枠拡大を勝ち取る

 釜ヶ崎反失業連絡会が呼びかけ六月十二日から約三百名の労働者によって三週間展開された大阪府庁前野営闘争は、大阪府が緊急対応として九月以降就労枠を拡大する(一ヶ月後までに確定)との確約を勝ち取り、成功裏に終結した。
 今回は、府知事が官僚肌の太田房江にかわったということもあり、警戒を強めていた中で開始された。実際太田は、要求書提出の四日後の六月九日、商店街の視察後に「浮浪者や外国人が増える中で快適な街をつくっていかないと」などという差別発言を行い、「外国人」労働者に対してとともに、野宿労働者に対する無理解と差別意識を露にしたのだった。太田は、その日の深夜にあわてて「『浮浪者』という不適切な表現を用いたことをお詫び致します」とコメントを発表しはしたが、野宿労働者自身のたたかいによる洗礼が必要だった。太田は釜ヶ崎に視察に来ることになる。
 ともあれ大阪府下で野宿を余儀なくされている労働者は、依然一万五千名及ぶ。釜ヶ崎でも数字上では求人が好転しているものの、労働者の状態は悪化しており、特に高齢者は深刻である。反失連が提出した「二〇〇〇年梅雨期要求書」は次ぎのように述べている。「高齢者就労については、登録者が増大し、再び一人当たりの就労数が減少している。寝場所対策としての『臨時夜間宿泊所』も六百名規模では間に合わず。北テント(三徳寮横)のひきつづきの利用はおろか、医療センター軒下を借りての布団敷きも継続しているありさまである。また、多数の労働者が『炊き出し』に依存せざるを得ない状態も続いている。行政施策は、まだ、野宿状態の解決には程遠いのが現状であるといえる。「臨時夜間宿泊所」においては、公衆衛生問題(ノミ・シラミ・感染症など)が利用者の栄養状態の劣悪さを背景に、大きな問題になる傾向を示している」と。今回の成果を切り口に、太田府政との闘いを前進させていかなければならない。
 昨年立ち上げた釜ヶ崎NPOは高齢者特別清掃事業の組織化を軸とする約半年間の活動を通して軌道に乗ってきている。今回の闘いは、それを踏まえ、野宿労働者の闘争力量の再構築を印すものであった。転換期の認識を深め、新たな運動構造を、より豊かに・より力強いものにしていこう。